日本放射線技術学会雑誌
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79 巻, 11 号
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巻頭言
Editorial
臨床技術
  • 西岡 早紀, 沼田 美保, 谷口 菜摘子, 福井 亮平, 本田 貢
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1241-1248
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル フリー

    【目的】ディジタルブレストトモシンセシス(DBT)は画像収集条件がいくつか選択可能であり,また検出器全体かつ全深さ(Z軸)方向が観察対象となる.本研究では,DBT画像において試料となる微小金属球(ビーズ)の収集条件がZ軸分解能へ与える影響について検討した.【方法】ビ—ズを配置する高さ,ビーズの配置位置,ビーズ直径といった条件を変更し,振角の異なる二つの撮影モードでDBT画像を取得し検討を行った.ビーズ像の深さ方向のプロファイルを取得,その半値幅をZ軸分解能として,各条件下におけるZ軸分解能を比較した.【結果】Z軸分解能は乳房支持台からの高さが高くなるほど,またビーズ直径が小さくなるほど高くなった.また,検出器中心より辺縁部でZ軸分解能の値は低くなった.【結語】本研究により,ビーズ直径やビーズと検出器の幾何学的な変化がZ軸分解能測定に影響することが明らかとなった.

  • 篠原 範充, 畑中 正雄
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1249-1255
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/14
    ジャーナル フリー

    【目的】近年,マンモグラフィ診断用モニタに最高輝度2000 cd/m2を超える機種(以下,高輝度モニタ)が導入されている.本研究では,輝度計による計測値を最小弁別値(just noticeable difference: JND)Indexに変換することで高輝度モニタの視認性ついて検証を行った.また,同時に環境光についても検討を行った.【方法】高輝度モニタは,最高輝度3000 cd/m2が可能な21.3型IPS方式のモノクロームモニタであり,最低輝度を0.6 cd/m2として最高輝度を500, 850, 1200 cd/m2に変化させて実験を行った.また,輝度比を1 : 2000として最高輝度を500, 1000, 2000 cd/m2に変化させて実験を行った.環境光は,8.7, 36.1, 61.3, 129.6 lxに変化させ,Japan Radiological Society推奨ファントムの各段の輝度値とグレースケール標準表示関数の測定を行った.【結果】最低輝度を同一にした場合,輝度比を同一にした場合のいずれにおいても,最高輝度を高くするほどJNDが高くなり視認性が向上した.【結語】高輝度モニタの使用により環境光を61.3 lxまで高くできると考えられた.また,高輝度モニタは視認性を向上させ,環境光を高くできる可能性が示唆された.更に,目の疲労度などについても検証が必要である.

  • 伊藤 真理, 中村 登紀子, 今野 祐治
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1256-1265
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/04
    ジャーナル フリー

    局所的な高濃度な領域の画質の安定性を評価する試験としてEUREF Fourth edition-Supplementsに「局所的高濃度領域試験」が示されている.この試験は,矩形PMMAの上にLDAを模した小さいPMMAプレート(以下,小プレート)を配置し,その厚さを変化させたときの撮影条件とSNRを合わせて評価するものである.本研究では,この試験を応用し,矩形PMMAを乳房形状に近いD型PMMAファントムに置き換えて試験を行った.また,インプラントや大胸筋に模した筋肉ファントムを挿入した試験と,小プレートの胸壁端からの距離を変化させた試験を行った.ほとんどの試験で,撮影条件は小プレートの厚さが増すと増加し,変動の少ないSNRを得ることができた.しかし,筋肉ファントムの挿入面積や,小プレートの位置によっては適正な撮影条件にならず,変動の少ないSNRを得ることができなかった.

  • 小林 剛, 小山 智美, 寺田 正巳, 根岸 徹
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1266-1273
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/02
    ジャーナル フリー

    マンモグラフィの精度管理において平均乳腺線量(AGD)の把握は重要である.AGDの算出には,半価層(HVL)と入射空気カーマ(ESAK)の測定が必要である.通常,HVLの測定は,エネルギー依存性のない電離箱線量計を用いたアルミニウム減弱法で行われる.この測定方法は,ジオメトリ設定が煩雑であり,また測定に多くのX線照射と時間を要する.近年,1回のX線照射で,線量の他に照射時間やHVLなど測定できる非接続形多機能X線測定器が普及している.今回,多機能X線測定器を使用したAGDの測定をロジウム(Rh)ターゲットX線管およびタングステン(W)ターゲットX線管搭載装置を対象に行い,電離箱線量計を使用したAGDと比較評価した.電離箱線量計との測定誤差は,HVL:5.8%,ESAK:3.3%,AGD:2.9%が最大であった.多機能X線測定器を使用したAGDの測定は,簡便で精度を維持しつつ,測定時間の大幅な短縮が可能であった.

  • 谷川原 綾子, 青木 陽介, 壁屋 真夕, 小川 あづさ, 田中 裕貴, 上杉 正人
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1274-1279
    発行日: 2023/11/20
    公開日: 2023/11/20
    ジャーナル フリー

    【目的】マンモグラフィのポジショニングを評価する深層学習モデルの生成を目指している.精度良い学習用データセットの生成のため,ラベリングにおける評価者間信頼性とその作業負荷を評価した.【方法】107枚の画像について,検診マンモグラフィ撮影認定技師2名が画像評価基準に基づいて判定し,カッパ係数にて一致度を評価した.更に,1枚当たりの作業コストを作業時間と月収から算出した.【結果】カッパ係数は,乳房下部は0.71, 乳頭側面性は0.43, 大胸筋は0.45, 左右対称性は0.10, 乳腺後隙は0.61であった.乳線の広がりは有意差が認められなかった.作業コストは1枚11.0円となった.【結語】評価者間信頼性は,乳房下部,乳頭側面性,大胸筋,乳腺後隙は「中程度の一致」から「かなりの一致」となった.左右対称性は「わずかな一致」で,ラベル付与には評価者間の十分な合意形成が必要と考えられた.ラベル付与のコストは既存サービスと同等もしくは高い値となった.

資料
  • 篠原 範充, 秋山 忍, 伊東 孝宏, 岡田 智子, 齋藤 久美, 千葉 陽子, 根岸 徹, 広藤 喜章
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1280-1286
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー

    近年,ディジタルブレストトモシンセシス(DBT)技術を搭載した乳房X線撮影装置が普及している.そのため,その性能評価と品質管理手順の確立は急務である.これまでわれわれは,EUREFを参考にDBTのための受入試験項目について検討してきた.2020年2月にIEC 61223-3-6が公開され,受入試験だけでなく,不変性試験についての項目が明示された.そこで本研究では,日本で販売されている5社のDBT装置を用いてデータ収集を行い,受入試験に加えて不変性試験についても実施可能な項目について検討した.各装置で実施が困難な品質管理項目やデータ形式の違いも確認できたが,多くの装置で実施可能な品質管理項目を確認できた.また,日常試験としても迅速な評価が可能である項目を確認できた.これらの結果をもとに,われわれは「ディジタルブレストトモシンセシス品質管理マニュアル」を作成した.本資料では,これらマニュアルの概説と日常試験の結果について報告する.

  • 堀田 浩, 鳴海 杏南, 鎌田 美智子, 小笠原 克彦
    2023 年 79 巻 11 号 p. 1287-1292
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/13
    ジャーナル フリー

    検診や精密検査など,乳房超音波検査における乳腺疾患の形態・血流・硬さを評価した適切な診断カテゴリを行うためには,超音波検査のBモード(BM),カラードプラ(CD),エラストグラフィ(EG)における所見評価への影響を把握することが検査精度の向上につながると考えられる.そこで,本研究では超音波検査を行う技師による検査精度の高い乳房USへの支援を目的として,質的診断における各機能の影響の大きさを明らかにした.対象は悪性腫瘍531症例とした.超音波検査の最終判定を5段階とし,BMを5段階,CDは血流評価により4段階,EGはつくば弾性スコアを参考に9段階として,数量化II類によりそれぞれの影響度を算出した.BM,CD,EGの寄与率は,全症例(相関比0.87)では70.4%,15.0%,14.6%であった.BMが最も重要であり,CDとEGに差はみられなかった.悪性腫瘍別の評価では影響度にそれぞれの特徴がみられ,良悪性の評価と組織型の推定に総合的な評価が重要であることが明らかとなった.

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