日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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80 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
新春座談会
原著
  • 田中 茂久, 阿部 美津也, 芳賀 喜裕, 加賀 勇治
    2024 年 80 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,核医学(SPECT)における放射性医薬品の投与量を適正化することである.そこで,99mTc製剤を用いた安静時心筋シンチグラフィにおいて,体重を指標とした可変用量法(VD法)を検討した.【方法】本研究では,VD法と,体重による変動のない固定用量法(FD法)を比較した.対象はVD法50例,FD法50例とした.VD法については,SPECT 1 viewあたりの目標平均カウント(counts/pixel)を設定した.FD法における心筋平均カウントと検査開始時推定体内放射能量を用いて,体重によって適宜変動するVD法の投与量を算出した.【結果】VD法はFD法より心筋カウントのバラつきが少なく目標カウントに近くなり,投与量の中央値は減少した.【結語】VD法により安静心筋血流シンチグラフィにおいて,体格に依存しないカウントの取得と安定した画質の提供および医療・職業被曝低減の可能性が示唆された.

  • 平井 健太, 志賀 弘基, 多田 朋弥, 中谷 英仁, 本岡 眞琴, 髙橋 孝太朗, 竹内 泰代, 中村 元哉, 坂本 裕樹
    2024 年 80 巻 1 号 p. 26-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/02
    ジャーナル フリー

    【目的】膜性中隔(membranous septum: MS)長の心周期,計測方法による変化を経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve replacement: TAVR)の術前computed tomography(CT)画像を用いて検証した.【方法】TAVRを目的として造影CT撮影を実施された連続34症例を対象とした.MS長の計測は,心周期のR–R 10%間隔のデータを三つの計測方法(Coronal, StretchedおよびReformatted coronal view method)を用いて実施し,計測方法間,心位相間でMS長を比較した.【結果】MS長はいずれの心位相においても三つの計測方法によるMS長間に差を認めた.Coronal view methodと他の2方法によるMS長の相関は中程度,Stretched view methodとReformatted coronal view methodには強い相関があった.心周期中でMS長が最小,最大となる頻度が高い心位相は,それぞれR–R 90%とR–R 30%であった.R–R 90%のMS長中央値はR–R 30%のMS長中央値よりもすべての計測方法で小さかった.【結語】TAVRを目的として造影CTを施行する症例でのMS長は,心位相および計測方法によって大きく異なる.MS長を評価する際は,計測方法に留意し,心周期中での最小値評価をする場合は拡張期で計測すべきであろう.

  • 津田 信太朗, 安渡 大輔, 若林 倭, 中島 健雄, 越智 悠介, 奥村 拓朗, 増田 弘和, 内藤 浩司, 坪内 健人, 木村 亜紀子, ...
    2024 年 80 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/18
    ジャーナル フリー

    【目的】レジリエンスエンジニアリングとは変化や外乱においてシステムが自分の機能を調整し,必要な動作を維持することができる能力であり,レジリエンスポテンシャルが必要な要件とされている.今回われわれはレジリエンスポテンシャルと,エラーの未然防止事例との関係を明らかにすることを目的とした.【方法】当部門で報告されたエラー事例から,レジリエンスポテンシャルとの関連を放射線治療プロセスごとに集計した.【結果】過去事例から事前のエラー対策を講ずることでエラーを検知できており,標準業務の整備によるエラーの未然防止が可能であると確認された.一方,チェック機構で発見されない事例では,通常とは異なる状況に対する違和感から発見されており,レジリエンスポテンシャルを高めることで未然防止が可能となる事例が認められた.【結語】今回の検討により未然防止事例において事前準備,観察,対処,過去経験の活用がレジリエンスポテンシャルに関連していることが確認された.

臨床技術
  • 丸山 裕稔, 大井 邦治, 島本 惟, 川俣 圭輔, 碇 直樹, 出水 和彦, 田崎 裕太郎
    2024 年 80 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/17
    ジャーナル フリー

    2010年4月に厚生労働省は,チーム医療における診療放射線技師の業務拡大について発表し,診療放射線技師による読影の補助の重要性が高まった.その中で,読影の補助能力を向上させる取り組みとして読影の補助学習支援パッケージ(読影補助学習支援パッケージ)の制作とアンケート調査による読影の補助に関する学習における有用性の評価を行った.読影補助学習支援パッケージに含む内容は,digital imaging and communications in medicine (DICOM) viewer,症例の画像データ,異常所見の解説動画とした.アンケートの結果,評価者の100%が読影補助学習支援パッケージは,緊急度の高い所見を指摘するための学習において有用であると回答した.更に,評価者の68.9%が,読影補助学習支援パッケージに含まれる内容が,臨床において役立ったと回答した.本研究により,われわれが制作した読影補助学習支援パッケージは,救急医療における読影の補助に関する学習において有用であることが示された.

  • 神宮 綾多郎, 清水 聡司, 中牟田 隆司, 伊豆野 勇太, 猿渡 祐子, 幸田 英志, 上村 忠久, 高野 浩一, 吉満 研吾
    2024 年 80 巻 1 号 p. 56-65
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/27
    ジャーナル フリー

    Magnetic resonance angiography (MRA)において現在最も主流であるthree-dimensional time of flight (3D-TOF)法は,血流速度の影響で血管描出不良になることがある.くも膜下出血後の脳血管攣縮評価に有用と報告のあるproton density weighted volume isotropic turbo spin-echo acquisition (PDVISTA)は,上記の影響を受けにくく,日常臨床でも有用である可能性がある.本研究では,流速ファントムを用いてPDVISTAの撮像条件であるrefocus flip angle (RFA)の値が血管と背景脳組織のコントラストに及ぼす影響を明らかにし,臨床画像を用いてPDVISTAと3D-TOFの血管描出能の比較を視覚的に評価した.ファントム実験の結果,RFAを小さくするほどコントラストは向上したが,signal-to-noise ratio (SNR)を考慮し,RFA80°を最適とした.臨床画像を用いた視覚評価の結果,脳血管描出能は有意にPDVISTA (RFA80°)が優れていた.日常臨床においてもPDVISTAは有用であることが示唆された.

資料
  • 大澤 充晴, 永田 敬章, 西條 貴哉, 山田 剛, 杉本 成人, 徳留 晃, 鈴木 康介, 坂本 肇
    2024 年 80 巻 1 号 p. 66-76
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル フリー

    【目的】2020年7月に,日本の診断参考レベル(2020年版)が公表された.血管撮影領域では透視線量率に加え,装置表示の患者照射基準点線量(Ka,r: mGy)と面積空気カーマ積算値(PKA: Gycm2)が設定された.東海地区の各施設へアンケート調査を行い,東海地区の医療被ばく線量管理状況の確認を行った.【方法】東海地区の各施設にアンケート調査を行った.回答項目は各領域(頭頸部,心臓,胸腹部,四肢)の透視線量率,およびdigital angiography(DA),digital subtraction angiography(DSA)の撮影線量率,そして各領域の主な手技に対する,臨床時線量(Ka,r,PKA)とした.【結果】本調査の臨床時線量の中央値はDRLs 2020に比べて低く,東海地区において適切な線量管理がなされていることがうかがえた.また透視線量率,撮影線量率に関しては,各領域(頭頸部,心臓,胸腹部,四肢)で傾向が異なっており,施設間でばらつきもみられた.【結語】今後,各領域(頭頸部,心臓,胸腹部,四肢)の透視線量率や撮影線量率がDRLに組み込まれることで,各施設の線量管理がより適切に行われるのではないかと考える.

第79回総会学術大会「シンポジウム1」
第79回総会学術大会「シンポジウム2」
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