日本放射線技術学会雑誌
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79 巻, 7 号
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巻頭言
原著
  • 福永 晃太, 圓﨑 将大, 小味 昌憲, 東 美菜子, 平井 俊範, 藤原 康博
    2023 年 79 巻 7 号 p. 663-673
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/05/19
    ジャーナル フリー

    【目的】Three-dimensional (3D) quantification using an interleaved Look-Locker acquisition sequence with T2 preparation pulse(QALAS)は,緩和時間を測定可能なシーケンスの一つである.3D-QALASは短時間に高い空間分解能で撮像可能な特徴があるが,3.0 Tにおける3D-QALASの緩和時間の測定精度や従来法とのバイアスは明らかになっていない.本研究の目的は,3.0 Tにおける3D-QALASの緩和時間を従来法と比較し,明らかにすることである.【方法】3D-QALASでファントムのT1値とT2値を測定し,それらの精度を評価した.次に,健常者の脳組織のT1値,T2値,プロトン密度を2D multi-dynamic multi-echo(MDME)と3D-QALASで測定し,それらの差を評価した.【結果】ファントムによる評価において,3D-QALASのT1値は,inversion recovery spin-echoのT1値より平均8.3%延長した.3D-QALASのT2値は,multi-echo spin-echoのT2値より平均18.4%短縮した.生体による評価では,3D-QALASの平均のT1値とT2値とPDは,2D-MDMEと比較して,それぞれ5.3%延長,9.6%短縮,7.0%増加した.【結語】3.0 Tの3D-QALASはT1値が1000 ms未満では測定精度が高いが,それ以上では過大評価される.また,3D-QALASのT2値は過小評価され,T2値が長いほどその傾向は大きくなる.

  • 原田 耕平, 今井 達也, 大橋 芳也, 千葉 彩佳, 沼澤 香夏子, 早坂 駿, 大森 剛
    2023 年 79 巻 7 号 p. 674-681
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/06
    ジャーナル フリー

    【目的】肝3-phase dynamic studyを行い,画質がhybrid iterative reconstruction使用においてSD 8, SD 10, SD 12となる臨床画像の後期動脈相に模擬腫瘤を加算し,低コントラスト検出能を評価することで基準画質の策定が可能であるか検討した.【方法】各画質に対して信号ありの画像と信号なしの画像を20シリーズずつ,合計120シリーズの画像を用意した.10名の観察者によって連続確信度法により模擬腫瘤の検出調査を行った.【結果】検出感度はSD 8, SD 10, SD 12でそれぞれ0.765, 0.785, 0.260(p<0.001)となり,特異度は有意に差がなく,曲線化面積はそれぞれ0.901, 0.892, 0.616(p<0.001)であった.模擬腫瘤検出率はそれぞれ74.5%,75.0%,21.5%(p<0.001)となり,観察者間信頼性を示す級内相関係数は信号なしのSD 10で0.697とわずかに低下,信号なしのSD 12は0.185と著しく低下した.【結語】SD 12の画像は病変を見落とす危険性が上がることが示唆される.後期動脈相の画質はSD 10以下が望ましい.

  • 富田 史紘, 布施 拓, 藤崎 達也, 安江 憲治, 宮川 真, 生駒 英明, 吉沢 知行, 大山 勝彦, 大山 哲史, 奥村 敏之, 玉木 ...
    2023 年 79 巻 7 号 p. 682-692
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/14
    ジャーナル フリー

    【目的】子宮頸がん腔内照射では,施設により金属製か樹脂製アプリケータが使用されるが,治療計画装置ではアプリケータの組成や密度を考慮した線量計算ができない.本研究では,モンテカルロシミュレーションにより,金属製と樹脂製アプリケータを詳細に再現し,アプリケータの素材の違いによるA点線量および線量分布を検証した.【方法】egs_brachyコードにより,子宮頸がん腔内照射に使用されるタンデムとオボイドを組み合わせた金属製と樹脂製のアプリケータをモデリングした.モデリングしたアプリケータでA点線量と線量分布を計算し,比較した.【結果】金属製アプリケータではTG-43U1式よりもA点線量が−3.2%であったが,樹脂製アプリケータではTG-43U1式との誤差が0.0%であった.タンデム先端以外のアプリケータ周辺の計算点でTG-43U1式との差の平均値は金属製アプリケータで−4.9%,樹脂製アプリケータで0.3%であった.【結語】本研究では,子宮頸がん腔内照射で使用されるアプリケータの組成や密度を考慮して線量計算を行った.金属製アプリケータと比較して樹脂製アプリケータではTG-43U1式に近い線量計算結果となることが明らかになった.したがって,金属製アプリケータから樹脂製アプリケータへ変更した場合,治療計画装置でより正確に線量が計算できるようになることが示された.

臨床技術
  • 大友 沙織, 佐川 肇
    2023 年 79 巻 7 号 p. 693-700
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/05/23
    ジャーナル フリー

    【目的】複数のmetal artifact reduction magnetic resonance sequence(MARS)の画質を2種類の静磁場強度間で横断的に比較し,金属インプラント留置患者における使用装置やMARSの選択の最適化を図ることを目的とした.【方法】チタン合金の人工股関節ステムを豚肉で覆い,模擬病変としてニフェジピン10 mgを人工股関節近傍に配置したファントムをT1WI, STIRにて撮像した.MARSは,高バンド幅(High BW),view angle tilting(VAT),圧縮センシング併用slice encoding for metal artifact correction(CS-SEMAC)とした.診療放射線技師5名で正規化順位法による視覚評価を行い,1.5Tと3Tにおいて3種類のMARSを比較した.評価項目はアーチファクト,鮮鋭度,模擬病変の視認性とした.【結果】アーチファクトはCS-SEMACで低減されていたが,鮮鋭度が悪かった.模擬病変の視認性は3TのCS-SEMACで最も良好だった.【結語】病変の視認性を優先するのであれば第一選択として3TのCS-SEMACを推奨する.

  • 田原 琢朗
    2023 年 79 巻 7 号 p. 701-707
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/12
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は頸部から下肢のthree-dimensional computed tomography angiography(頸部–下肢3D-CTA)における動脈の造影効果と体軸方向の造影剤分布状態を一段注入法と可変注入法で比較した.【方法】下肢閉塞性動脈疾患を疑い頸部–下肢3D-CTAを施行した112名を対象とした.可変注入法の可変定数を0.7とし,両群35秒間の造影剤注入を行った.総頸動脈,上行大動脈,腹部大動脈,浅大腿動脈,膝窩動脈,前脛骨動脈,足背動脈のCT値および患者ごとに各動脈のCT値を浅大腿動脈のCT値で除した値を造影均一度とし比較した.4段階の視覚評価も行った.【結果】可変注入法では膝窩動脈,前脛骨動脈,足背動脈のCT値および造影均一度が有意に高く(P<0.01),他の動脈は有意差を認めなかった.視覚評価でも同様に可変注入法で有意にスコアが向上した.【結語】頸部–下肢3D-CTAにおいて可変注入法は有用である.

  • 有谷 航, 中山 寛介
    2023 年 79 巻 7 号 p. 708-716
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/09
    ジャーナル フリー

    Magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)は低侵襲に胆汁や膵液を直接画像化できる方法であり,Heavily T2強調3Dマルチスライス法では自由呼吸下で呼吸同期撮像を行うことで高画質な膵胆管の全体像が得られる.1回のデータ収集時間(echo train duration: ETD)を被検者の呼吸状態に合わせることで撮像時間が調整できるが,高速スピンエコー法におけるETDの変化は,画像コントラストや空間分解能に影響を与える.本研究では,ETDが画質に及ぼす影響について,ファントムを用いて評価した.いずれの条件でも模擬膵臓と模擬膵管は高い画像コントラストを示した.また,ETD延長に伴い空間分解能が劣化したが,視覚評価では有意差が認められなかった.より臨床的な条件では一部で視覚的に有意な差が認められ,phase partial Fourier(PPF)による影響が考えられた.PPFを使用せずに被検者の呼吸状態に応じてETDを変化させることで,画質を損なうことなく被写体の動きを抑えた最適な撮像時間での画像取得が可能になると考えられた.

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