水土文化研究の課題・内容について, 民俗学の立場から論じたもの。水土文化とは, 人間が自然環境に働きかけながら育んできた経験的知識や技術, 思想の総体を表し, その研究の課題は, それぞれの地域社会で人間と水土との関係システムがどのように構築され, それがいかに資産化されているのかを明らかにすることにある。こうした課題に対する具体的な視点として, 水土文化を人間と水土, 社会, 神との関係性の中に, さらに水土と社会, 水土と神との関係性の中に水土文化の諸相を見ていくことを, 稲作の神, 稲魂, 稲の種籾, 自然暦, 小字地名など, 具体例をあげながら論じた。そして, こうした視点で全国各地の水土文化に関する実態調査を行い, 文化モデルを措定しながら研究を蓄積することが, 水土文化研究のフレームワークになるとした。
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