農林水産省直轄地すべり対策事業「神石高原地区」は平成7年度に着手され16年度に完了する予定である。本地区は広島県の神石郡油木町・豊松村の小起伏山地に位置し, 比較的急傾斜面が多いことから渓流浸食が盛んで, それを誘因とする地すべり発生が多い。また, 地すべり地帯頭部には豊富な地下水を貯留する玄武岩ドームが分布し, これもまた地すべり発生を助長している。
年次ごとに調査・設計された地すべり対策は順次実施され, 今回事業完了するに当たり対策工の効果判定を行った。自然現象としての地すべりを行政的処置で完全に安定化させることは, 困難であるところから完成とは言わず概成とした。概成判断するための基準は確定していないため, 本地区独自の概成基準を設定し, 個々の地すべりブロックについて踏査による観察と計器記録によって概成の判断を行った。その結果, すべての地すべりブロックで基準に合格することができた。
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