我々は,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の増悪時にE抗原及びc抗原が著しく減弱し,抗E及び抗c自己抗体検出時の直接抗グロブリン試験(DAT)が陰性になる症例を経験した.
79歳女性.2010年3月に汎血球減少症の精査・加療目的で入院となった.骨髄所見は異形成を伴った赤芽球が優位でMDS(RAEB-1)と診断された.初診時の血液型はB型RhD陽性,不規則抗体は間接抗グロブリン法(IAT)陰性であった.初診時より55病日にIATが陽性となり抗Eを検出したが,DATは陰性であった.同時に実施したRhフェノタイプ検査ではE抗原が(w+
mf),c抗原が(w+
mf)と極めて弱い反応を示していた.その後,抗cも検出された.骨髄細胞を用いたG-banding法の結果,種々の染色体異常を認めたが第1染色体短腕に異常は認められなかった.また,PCR-SSP法を用いた
RHCE遺伝子解析の結果,55病日の検体においてC,c,E,eの増幅が認められ,R
1R
2(CcDEe)と判定された.
本症例はMDSの増悪に伴ってE抗原およびc抗原に著しい減弱が認められた.
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