日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
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ISSN-L : 1881-3011
68 巻, 4 号
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原著
  • 城 友泰, 岡田 和也, 小尾 夏野, 秦 明日香, 諫田 淳也, 近藤 忠一, 髙折 晃史, 足立 壯一, 上田 恭典, 長尾 美紀, 新 ...
    2022 年 68 巻 4 号 p. 479-485
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/09/08
    ジャーナル フリー

    同種末梢血幹細胞移植において,ドナー負担を最小限に抑え,かつレシピエントに最適な幹細胞数を移植するには,幹細胞採取前に収量を正確に予測して採取計画をたてることが重要である.そこで健常ドナー92例に実施された末梢血幹細胞採取を後方視的に検討し,幹細胞収量に影響する因子を解析した.ドナーは女性32例(34.8%)で,年齢とG-CSF製剤投与開始前の血小板数の中央値は41.5歳(14~61),24.7×104l(13.9~41.0)であった.添付文書に則った標準量に対する実際のG-CSF投与量割合は中央値96.3%(56.4~109.0)であった.採取1日目(G-CSF開始4日目)の血液処理量とCD34細胞収量の中央値は10l(4.5~18),195.8×106個(43.1~622.7)で,14例(15.2%)で2日間以上の採取を要した.高齢ドナー,G-CSF製剤投与開始前の血小板数低値,G-CSF投与量低値が有意にCD34細胞収量を低下させた.十分量のG-CSF製剤を投与することの重要性と,ドナー背景に基づく収量予測により,日程延長を防ぎ,ドナー負担を軽減できる可能性が示唆された.

症例報告
  • 秋山 友子, 岸野 光司, 古川 泳玉, 今野 雄斗, 武井 生成, 秋山 小雪, 進藤 聖子, 大槻 郁子, 尾島 佐恵子, 小林 美佳, ...
    2022 年 68 巻 4 号 p. 486-490
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/09/08
    ジャーナル フリー

    症例は63歳男性.非小細胞肺癌と診断され,2次治療としてニボルマブの単独投与が行われた.治療68日目,肺障害によりニボルマブは中止となった.治療111日目から皮疹,肝機能障害,肺障害を認め,ステロイドの全身投与が開始された.治療115日目,急な貧血の進行を認め輸血依頼があった.不規則抗体検査と直接抗グロブリン試験は陽性を示した.抗体解離試験にて自己抗体の特異性なし,ZZAP処理法にて血液型はB型,RhD陽性(CcDee),同種抗体なしと判定した.自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断され,交差適合試験で凝集反応の弱いE抗原陰性赤血球製剤計12単位の輸血が行われた.ステロイドパルス療法が奏功し徐々に貧血の改善を認めた.免疫関連有害事象としてのAIHAは重篤となり輸血を必要とする場合が想定され,迅速に血液型判定や反応の少ない赤血球製剤の確保等の対応が必要と考えられる.

  • 新山 侑生, 澤山 靖, 藤岡 真知子, 加藤 丈晴, 糸永 英弘, 佐藤 信也, 安東 恒史, 今泉 芳孝, 新野 大介, 木下 克美, ...
    2022 年 68 巻 4 号 p. 491-495
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/09/08
    ジャーナル フリー

    IgA欠損患者に対する血液製剤の使用に際しては,IgAを含まない製剤の使用が推奨されているが,抗IgA抗体を有するIgA非欠損患者に対する輸血実施の対応は確立されていない.今回我々は,抗IgA抗体を有するIgA非欠損例において,洗浄血小板製剤の使用と骨髄濃縮により非血縁者間同種造血幹細胞移植を重篤な有害事象なく施行し得た1例を経験した.症例は48歳男性,基礎疾患は原発性骨髄線維症で,アレルギー・輸血・手術歴はない.初回輸血から9日後の血小板輸血中にアナフィラキシーが出現した.IgA欠損はなかったが,初回輸血前検体でIgG型抗IgA抗体を認め,抗体獲得機序は不明であった.洗浄血小板製剤に切り替えて対応し,有害事象なく経過した.また,ABO血液型一致非血縁者間同種移植であったが,輸注前に骨髄濃縮を実施することで輸注関連有害事象を認めることなく施行できた.移植後はドナー型造血となり,抗IgA抗体価の経時的な減少も認めた.抗IgA抗体保有IgA非欠損例においても,安全に移植を行うため,移植片の骨髄濃縮と洗浄血液製剤の使用が有用であると考える.

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