重炭酸リンゲル液にACD-A液を添加することにより調製できる血小板保存液BRS-A(bicarbonated Ringer's solution supplemented with ACD-A)と,血小板洗浄のための自動血球洗浄装置が新たに開発されている.本研究では,洗浄と保存にBRS-Aを用いて,自動血球洗浄装置(自動法)または用手法で調製した洗浄血小板の品質を評価した.
ABO型が一致したアフェレシス血小板を2本プールした後,等量に分割し,コントロール群(非洗浄または用手法による洗浄)及びテスト群(自動法による洗浄)のための試験血小板とした.自動法で洗浄した血小板の7日間保存中の品質を,非洗浄血小板(Study 1)または用手法で洗浄した血小板(Study 2)と比較した.
(Study 1)コントロール群とテスト群の7日間保存中における低浸透圧ショック回復率,凝集能,ミトコンドリア膜電位,ATP,及びCD42b平均蛍光強度は同程度であった.テスト群の3日目及び7日目のCD62P発現率は,コントロール群よりも低かった.テスト群の1日目及び2日目の血小板由来マイクロパーティクル(PDMP)レベルは,コントロール群よりも高かった.対照的に,テスト群の可溶性CD40リガンド(sCD40L)及びregulated on activation,normal T cell expressed and secreted(RANTES)レベルは,コントロール群よりも低かった.(Study 2)血小板数以外の品質試験項目で統計学的有意差は認められなかった.テスト群のPDMPレベルはコントロール群よりも高かった.
BRS-Aを用いて自動法で洗浄したアフェレシス血小板の品質は保存中も維持されること,また血小板洗浄工程の違いはPDMPレベルに影響を与えるが,sCD40LとRANTESレベルには影響を与えないことが示された.
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