鹿児島県離島における輸血医療に関して院内血(warm fresh whole blood)の使用を含めて実態調査を行った.
鹿児島県赤十字血液センターから120km~160kmと比較的近距離にある種子島,屋久島では,輸血必要患者に自施設で対応できない場合,島内中核医療機関へ搬送され,必要に応じて本土の医療機関に搬送されていた.
一方,約390km~600kmと遠距離にある奄美大島,喜界島,徳之島,沖永良部島では,自施設で対応できない場合,当該離島中核医療機関,又は奄美大島の医療機関へ搬送され,輸血目的のみで本土医療機関への搬送は行われていなかった.
日本赤十字社の赤血球在庫を5離島の6施設で保有していたが,3年間で6離島,44人に院内血が使用されていた.大量出血時に血液が緊急に入手困難であることが1つの要因と考えられた.
院内での輸血管理体制改善を進めると共に各離島の中核医療機関への輸血供給備蓄体制の充実が求められる結果となった.また奄美大島は本土からの距離,人口の多さ,島内に搬送先となる医療機関が複数あることを考慮すると血液供給体制への更なる配慮が必要と考えられた.
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