獣医臨床皮膚科
Online ISSN : 1881-2236
Print ISSN : 1347-6416
ISSN-L : 1347-6416
29 巻, 3 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
Full Paper
  • 伊藤 直之, 中西 莉香子, 伊藤 哲之, 亀島 聡, 木村 祐哉
    2023 年 29 巻 3 号 p. 137-145
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    角質層のバリア機能を形態学的に評価することを目的として,5頭の犬でテープストリップ(TS)による急性角質層バリア機能障害モデルを作出した。TSで採取した角化細胞の面積,重層剥離率,有核細胞率,およびスルフヒドリル(SH)基の割合を経時的に測定し,同時に測定した経表皮水分蒸散量(TEWL)と比較した。TEWLは,TS障害直後にTS障害前と比較して有意に増加し,7日後も有意に高かった。14日後および28日後のTEWLは,TS障害前と差がなかった。角化細胞の面積は,TS障害直後にTS障害前より有意に減少し,その後は7日後,14日後,および28日後と増加傾向を示したが,TS障害前と差がなかった。重層剥離率は,TS障害前と比較してTS障害直後に有意に上昇し,7日後も有意に高かったが,14日後と28日後の値はTS障害前と差がなかった。有核細胞率とSH基の割合は,TS障害前に比べてTS障害直後,7日後,および14日後に有意に高かったが,28日後の値はどちらもTS障害前と差がなかった。今回測定した細胞面積(相関係数:r=–0.651),重層剥離率(r=0.809),有核細胞率(r=0.464),およびSH基の割合(r=0.726)は,いずれもTEWLと有意な相関がみられ,TSで採取した角化細胞の形態学的評価は,角質層のバリア機能を評価する方法として有用である可能性が示唆された。

Letter
feedback
Top