4歳の雌ウサギが,左大腿部前縁腹部での2個の腫瘤形成を主訴に受診した。悪性腫瘍が疑われ,予後不良が懸念されたことから手術不適応と判断した。食欲が徐々に減退し41日後に死亡した。2個の腫瘤は急激に増大し癒合して卵円形を呈していた。病理組織検査で腫瘍細胞は類円形,紡錘形もしくは多形性を呈し,異型核と核分裂像および多核細胞が観察された。免疫染色で腫瘍細胞はビメンチンと平滑筋アクチンに陽性反応を示したが,サイトケラチンとデスミンには陰性であった。以上の成績から,本症例は皮膚多形型平滑筋肉腫と診断した。
1歳齢,避妊雌のヒマラヤンの側腹部,尾根部,前胸部に外傷性脱毛がみられ,体幹触診時に過剰な舐め行動が誘導された。プレドニゾロン,選択的セロトニン再吸収阻害薬,神経障害性疼痛治療薬にて改善するも,プレドニゾロン休薬に合わせ再発を繰り返し,その後認められた落屑性脱毛からDemodex gatoiを検出した。フルララネル製剤を投薬し2ヶ月後に軽快,D. gatoiも陰性になった。これまで使用していた投薬を終了後外傷性脱毛が再発,フルララネル製剤3ヶ月毎投与とともにプレガバリンとフルオキセチンの再導入により寛解,プレドニゾロンとフルララネル製剤を休薬することができた。D. gatoi寄生とネコ知覚過敏症候群との関係を考察した。