獣医臨床皮膚科
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14 巻, 3 号
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原著
症例報告
  • 村山 信雄, 渡邉 智子, 石川 洵, 代田 欣二, 永田 雅彦
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 14 巻 3 号 p. 139-142
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    10歳齢,去勢雄の雑種猫にるい痩を伴う略全身の落屑と脱毛を認めた。血液検査,血清T4値,ACTH刺激試験,猫トリプシン免疫活性,猫膵リパーゼ,FeLV抗原検査,FIV抗体検査,抗核抗体検査,胸部・腹部・四肢のX線検査で異常なく,病理検査で真皮浅層のリンパ球浸潤と表皮および毛包内へのリンパ球浸潤が観察された。シクロスポリン内服とともに,鶏肉を蛋白源としたドライフードを鶏加水分解蛋白の療法食に変更したが改善せず,家庭調理除去食として鮭を給餌後発疹の改善を認めた。鶏肉が関与したいわゆる食物関連性リンパ球性毛包上皮炎と診断したが,1週間後に突然呼吸不全が生じ死の転帰をたどった。剖検にて右肺後葉に膿瘍を伴う化膿性胸膜肺炎を認めたが,他に特記すべき異常はみられなかった。
  • 橋本 健二郎, 川畑 敦, 大室 農夫, 代田 欣二
    2008 年 14 巻 3 号 p. 143-147
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/10/03
    ジャーナル フリー
    6歳齢,去勢雄の柴犬の左外耳道に,浸潤性発育を示す腫瘤が認められた。組織学的に腫瘍は,主として充実性胞巣を形成する紡錘形腫瘍細胞からなり,立方形から多角形の腫瘍細胞に内張りされる腺管構造を混えていた。腫瘍細胞は深部組織に広範に浸潤し,間質に骨や軟骨基質は認められなかった。両タイプの腫瘍細胞ともに核異型と高い分裂活性を示していた。腺管を構成する細胞は,免疫組織学的に汎サイトケラチンおよびサイトケラチン8に陽性であった。紡錘形の腫瘍細胞は,ビメンチン,汎サイトケラチンおよびα平滑筋アクチンに強陽性であり,これらの細胞が由来した筋上皮細胞の細胞学的特徴を維持していることが示された。これらの所見から,犬では稀な腺上皮および筋上皮細胞の悪性増殖を伴う耳垢腺癌と診断した。マージンを広く取り切除した後は,6ヵ月間再発や転移を認めていない。
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