日本神経回路学会誌
Online ISSN : 1883-0455
Print ISSN : 1340-766X
16 巻 , 4 号
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巻頭言
JNNS創立20周年記念優秀論文
  • 我妻 広明
    2009 年 16 巻 4 号 p. 184-189
    発行日: 2009/12/05
    公開日: 2010/02/15
    ジャーナル フリー
    この二十年に進展した科学技術を概観し,脳理論研究において掲げられてきた「脳を知り,脳を創る」課題の再考を試みる.特に,急速に発展しつつあるITやロボット工学との融合を通して脳科学の基盤技術創出を提案する.脳を細分化し研究対象にするだけでなく,脳機能の相補性,統合性を踏まえた認知/行動から神経可塑性に至る時間単位の複合性に正面から向かうことが求められている.ゆえに,脳を再構成して実空間実時間で実験解析を可能とする構成論的アプローチは自然な潮流であり,今後の工学的応用への具体的方策としても期待できる.その流れを確かなものにするため,既存の研究資産の共有と再利用を促進し,脳と身体をトータルデザインできる技術基盤の確立が急務である.脳科学の現代的な課題は,万能な自律知能システムを漠然と考えることではなく,日常に浸透する基盤技術,いわばユビキタス技術を創出し続けることである.そうして脳科学がより緊密に様々な技術分野に対して貢献していくことが我々の使命と考える.また脳の自律性や社会的適応性が身近な技術へ応用される過程で,人間の「自我」,「個性」,「自由意志」へと向かって脳の理解が進むことを夢としたい.
  • 山崎 匡
    2009 年 16 巻 4 号 p. 190-195
    発行日: 2009/12/05
    公開日: 2010/02/15
    ジャーナル フリー
    小脳は様々な外的·内的オブジェクトの内部モデルを構築してその挙動を模倣する,万能シミュレータであると考えられている.万能シミュレータを実現する,万能の計算機械としての小脳の計算機構を神経回路網のレベルで解明し,Marr-Albus-Itoのパーセプトロン仮説を刷新するとともに,一方でその新しい計算機構の工学的な応用を模索する.それらを通して,小脳に関して基礎理論から応用まで統一的な視点を得ることが近い将来の課題である.この課題を解決すれば,小脳が担う運動制御のためのルーチンが抽象的な思考の制御に応用されているとする,最近の仮説をサポートする強力な小脳モデルが手に入り,『思考』を研究するための足がかりになる.さらに,従来の制御理論では対応できなかった『適応』のための機構を提供し,工学と脳科学の融合に結びつくことが期待される.まとめると,理論と実験の融合も,神経回路網の計算機構の解明も,思考研究のきっかけも,工学転用も,全ては小脳から始まる.
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