作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
40 巻, 3 号
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巻頭言
原著論文
  • 諸星 成美, 京極 真
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 3 号 p. 273-280
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,身体障害を有する地域在住高齢者の作業的挑戦の特性をクラス分類し,作業参加,抑うつ,人格特性との関連性を検証した.データ収集は,調査用紙を用いて対象者から回答を得た.分析は,記述統計量の算出,潜在クラス分析,多項ロジスティック回帰分析を実施した.結果,作業的挑戦には,肯定的な作業的挑戦,危うい作業的挑戦,否定的な作業的挑戦の3つの特性があることがわかった.そして,肯定的な作業的挑戦に影響を与える因子には,生産的活動やセルフ・ケアへの作業参加,抑うつの身体症状やポジティブ感情,協調性や勤勉性の人格特性があった.本研究により,作業的挑戦への介入のための解釈可能性が広がると考えられる.
  • 備前 宏紀, 木村 大介, 大歳 太郎, 吉弘 奈央, 水野(松本) 由子
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 3 号 p. 281-290
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    脳機能とパフォーマンスとの関係性の解明は,脳機能の視点から運動課題介入期間を検討する基礎的資料の提示につながる.そこで健常者18名を対象とし,運動学習進行過程の前頭前野と運動感覚関連領域を近赤外線分光法にて測定し,脳血流動態および脳内ネットワークとパフォーマンスの関係性を検討した.その結果,運動学習の進行とともに前頭前野の脳賦活時間が漸減し,また,脳内ネットワーク効率が上昇した.さらに,パフォーマンス上達後,一部前頭前野の再賦活および脳内ネットワーク効率が低下した.本結果から,更なるパフォーマンス上達に向け,脳機能は変化し続ける可能性があり,同一運動課題の継続実施もまた,一手段と考えられた.
  • ─運動学的特徴を中心に─
    中谷 優太, 中村 裕二, 梅田 信吾, 中島 そのみ, 仙石 泰仁
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 3 号 p. 291-299
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    座面の前傾および前方移動機構が健常成人におけるリーチ動作時の運動学的特徴に与える影響について二次元動作解析と筋電図から検討を行った.運動学的指標として,前方リーチ課題を行った際の角度変化量と筋活動を使用し,筋活動はリーチ課題の全体,前半と後半に分割し算出した.座面が後傾した後傾固定条件,前傾かつ前方移動する可動条件とした結果,体幹前傾角度と上部体幹回旋角度は可動条件の変化量が有意に小さく,リーチの前半では左外腹斜筋が,後半では左脊柱起立筋の活動が可動条件で有意に小さかった.前傾および前方移動する座面は,健常成人の身体運動を補助し,体幹の移動距離と筋力が少なくリーチ動作を行えることに寄与する可能性が示された.
  • ─地域で自主活動に参加する高齢者を対象とした分析─
    武田 将, 谷村 厚子
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 3 号 p. 300-310
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,東京都区部に在住する高齢者サロンなどの自主活動に参加する地域高齢者を対象に,作業参加とプレフレイルやその要素,及び心理社会的状態の関連構造を明らかにすることである.対象は146名で,分析は一元配置分散分析,Kruskal-Wallis検定と多重比較によるフレイル群,プレフレイル群,ロバスト群の比較,及び構造方程式モデリングによる関係性の推定を行った.その結果,プレフレイルを有すると作業参加の状態が良好でない傾向にあった.構造的関連性から,作業参加の状態がプレフレイルに関連すること,身体,社会的状態が作業参加に,作業参加が心理的状態に,それぞれ促進的に働くことが示唆された.
  • 水野 純平, 西浦 裕子, 齊藤 千晶, 小長谷 陽子, 井上 剛伸
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    様々な非薬物療法の要素を取り入れた,認知リハビリテーションプログラム「いきいきリハビリ」のタブレット版アプリケーションを開発した.本研究は,タブレット版「いきいきリハビリ」による認知機能の低下した高齢者の認知機能,QOL,ADLへの有効性を明らかにするために,量的・質的評価結果と先行研究を用いて検討することを目的とした.その結果,旧来版で効果の認められた認知機能に関しては改善が認められなかったのに対し,QOL評価の下位領域「落ち着きのなさ」で改善が認められた.タブレット版においても旧来版と同様に,認知機能の低下した高齢者のQOLに対して効果を示したことで,タブレット版の活用可能性が示唆された.
  • 見須 裕香, 大庭 潤平
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 40 巻 3 号 p. 319-328
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,在宅における重度要介護高齢者の離床に関連する環境因子を明らかにすることを目的に調査を実施した.調査項目は,対象者の属性,離床状況,移乗に関わる環境因子とした.対象者を離床状況別に4群に分類し,各調査項目を比較した.その結果,環境因子のうち,医療管理・処置の有無,使用している福祉用具,移乗介助者の種別数,利用しているサービス,離床目標の有無と離床の関連が示された.移乗に関わる福祉用具の普及や重度要介護高齢者が利用可能な通所系サービスの拡充,活動や参加を目的とした離床目標の設定など,環境因子に着目した離床の支援が,重度要介護高齢者の活動や参加の促進に繋がることが期待される.
実践報告
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