作業療法
Online ISSN : 2434-4419
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38 巻 , 3 号
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巻頭言
研究論文
  • ─デルファイ法による内容的妥当性の検討─
    横井 安芸, 大嶋 伸雄, 小林 隆司, 小林 法一
    2019 年 38 巻 3 号 p. 253-265
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    高齢者の生活期リハビリテーションに携わる作業療法士(以下,OTR)に必要なコンピテンシー項目を抽出し,その内容的妥当性を検討することを目的に,生活期専門家OTRを対象として4段階のデルファイ調査を行った.結果,第1次調査では【専門職としての態度】,【クライエント(以下,CL)を中心としたチーム作り】,【CL中心の根拠に基づく作業療法実践】,【リスクマネジメント】,【OTR業務の運営】,【地域に根ざした支援】,【地域作業療法発展への寄与】の7カテゴリ64項目の原案が作成され,第2次調査以降は,中央値と四分位数範囲などで項目の内容的妥当性を確認し,最終的にコンピテンシー68項目が同定された.
  • 中嶋 克行, 坂上 真理, 坂上 哲可, 仙石 泰仁
    2019 年 38 巻 3 号 p. 266-276
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,地域に住む要支援高齢男性が価値を置く作業の特徴を,当事者の視点から理解することを目的に,質的研究法を用いて調査した.北海道内の通所系サービスを利用する男性10名を対象に,1人60分程度の半構造化面接を実施した.分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.その結果,価値を置く作業は,【見える達成を実感できる作業】,【社会的に意味あることが確認できる作業】の2つの特徴が確認できた.さらに,作業に価値を見出す背景には,【作業選択を動機付ける自己資源】,【現状の生活に対する認識】があった.作業療法支援では,当事者による価値を置く作業の捉え方とその背後の状況の理解が,有効である可能性が示唆された.
  • 近藤 健, 関根 圭介, 武田 智徳, 野口 直人, 李 範爽
    2019 年 38 巻 3 号 p. 277-284
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    急性期脳卒中患者に上肢機能評価を用いて,麻痺した利き手で箸操作自立を予測する因子を調べた.初期評価は発症から6.4±1.4日に握力,ピンチ力,10秒テスト,Fugl-Meyer Assessment for Upper Extremity,簡易上肢機能検査(以下,STEF),Motor Activity Log を実施した.退院前(発症から17.3±4.6日)に箸操作の自立度を評価し,予測因子を求めた.予測因子にSTEFが抽出され,カットオフ値は50点であった.STEFが箸操作自立の予測因子に抽出されたことで,箸操作が自立するためには物品操作の速度が必要であることが示唆された.
  • 片岡 聡子, 畑田 早苗, 宮本 謙三
    2019 年 38 巻 3 号 p. 285-293
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    育児中・非育児中および男女を4群に分けて比較することにより,育児中の作業療法士(以下,OT)の生涯学習の現状と課題を明らかにする目的で,高知県作業療法士会所属のOTを対象に,私生活や生涯学習についてアンケート調査を行った.結果,育児中の女性OTは他のOTと同程度に生涯学習への関心があるにもかかわらず,生涯学習の機会への参加と,それに対する満足度は有意に低い状況が明らかとなった.育児中のOTが生涯学習の機会への参加に必要な要素として,本人の意欲,家族の理解や協力,時間の工面など,自助努力に依存するものが挙げられた.自助努力だけでなく,育児中のOTを取り巻く環境的側面からの支援の必要性が示唆された.
  • 諸星 成美, 京極 真
    2019 年 38 巻 3 号 p. 294-303
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,身体障害を有する地域在住高齢者164名を対象に作業的挑戦,作業参加,作業機能障害,抑うつ,健康関連QOLの構造的関連性を検証した.方法は横断研究を用い,仮説モデル1(作業的挑戦が作業参加を促進し,作業機能障害を軽減し,抑うつを改善する),および仮説モデル2(作業的挑戦が作業参加を促進し,作業機能障害を軽減し,健康関連QOLを改善する)を共変量の有無で評価した.その結果,いずれも共変量なしの仮説モデルが採択された.作業的挑戦は作業参加を促進,作業機能障害を軽減し,抑うつや健康関連QOLの改善に関与した.作業的挑戦への介入は,身体障害を有する地域在住高齢者の抑うつや健康関連QOLを改善する可能性がある.
  • ─健康中高年者のコホート研究─
    今井 忠則
    2019 年 38 巻 3 号 p. 304-313
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    意味のある作業への従事(作業参加)は,健康・well-beingにとって重要だが,その疫学的根拠は乏しい.本研究では,作業参加が健康関連QOL(SF-36v2で測定)に及ぼす1年間の影響を明らかにすることを目的とし,地域中高年者460名を対象に1年間の追跡調査を実施した.各自の作業参加の変化量により「維持・向上群」と「低下群」を設定し,SF-36v2の各尺度の群間差と群ごとの継時的変化を検討した結果,維持・向上群の方がSF-36v2の全尺度で良好であった(p<.05).さらに肯定的影響は早期に発現しその後維持される傾向が,否定的影響は半年以上の期間を経て発現する傾向が見出された.本結果は,健康増進・予防的作業療法の疫学的根拠の一つとなる.
  • ─Defeatist Beliefsと陰性症状の検討─
    渡部 誠一, 杉原 素子
    2019 年 38 巻 3 号 p. 314-324
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    我が国の調査では,長期入院統合失調症患者のうち20〜50%は退院意向を示さないとされ,厚生労働省は,「退院に向けた意欲の喚起」を強調している.本研究では,長期入院統合失調症患者の退院意向に関連する個人因子を明らかにする目的で,精神科病院に1年以上入院している統合失調症患者50名を対象に,退院意向質問紙,将来への否定的自己評価であるDefeatist Beliefsおよび陰性症状を横断的に評価した.その結果,Defeatist Beliefsは退院を示さない群において有意に重度で(p=0.001),交絡因子を含めても有意な関連が認められた(p=0.01).本結果により,退院意向を示さない統合失調症患者の退院への意欲喚起には,心理社会的介入の重要性が示唆された.
  • ─テキストマイニングを用いた分析─
    赤堀 将孝, 亀山 一義
    2019 年 38 巻 3 号 p. 325-334
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,日常生活圏域ケア会議に参加する他職種を対象に,作業療法士が果たせる役割を調査し,テキストマイニング手法により,個別ケア会議,日常生活圏域ケア会議,地域ケア推進会議に共通する役割と,それぞれに異なる役割を明らかにすることを目的とした.その結果,共通する役割は,生活のアドバイスをすることであった.また,個別ケア会議では身体機能や動作に対するアドバイス,日常生活圏域ケア会議では集団に対する関わり,地域ケア推進会議では施策の取り組みを考えることが,役割として明らかになった.そのため,これらの役割を把握した上で,それぞれの地域ケア会議へ参画していく必要性が示された.
実践報告
  • ─生物医学的側面,現象学的側面からの考察─
    上杉 治, 山根 伸吾
    2019 年 38 巻 3 号 p. 335-343
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    本報告の目的は,難渋する高次脳機能障害をもつ事例に対して行った介入のリーズニング過程を構造化し,介入方法の一助とすることである.事例は,左中大脳動脈梗塞後,多彩な高次脳機能障害を呈し,入浴や更衣,家事といった生活障害があった.介入では,本人,家族に面接を行い,Mattinglyの指摘する叙述的リーズニングの視点から捉え,本人,家族の価値を重要視した.また,介入方法を考察する際には,同じくMattinglyの科学的リーズニングの側面から捉えた.結果,事例は更衣,入浴,家事の一部を獲得した.
  • 塩津 裕康
    2019 年 38 巻 3 号 p. 344-350
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    本報告の目的は,限られた介入頻度でも,Cognitive Orientation to daily Occupational Performance(以下,CO-OP)を用いた介入の有用性を示すことである.方法は,2事例の事例報告で,介入はそれぞれ2回(約1ヵ月に1回)であり,その前後を比較した.結果は,CO-OPを用いることで,粗大運動および微細運動スキルどちらの課題でも,スキルを獲得することができた.さらに,最小限の介入頻度で,スキルの獲得およびスキルの般化,転移を導く可能性が示唆された.結論として,CO-OPの適応児の選定に検討の必要性はあるが,認知戦略を発見および使用できる子どもに対しては,有効である可能性が示された.
  • ─生活行為向上マネジメントシートを活用した臨床教育の実践─
    松本 幸樹, 小池 祐士
    2019 年 38 巻 3 号 p. 351-357
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    臨床実習での症例レポート(以下,レポート)作成がトラウマとなっていた作業療法学生に,生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)シートを活用し指導した.指導方法として,学生はMTDLPに不慣れであったので,養成校で習ったICFによる問題点抽出,目標設定,治療計画立案を行ってもらい,指導者はMTDLPシートを作成して,互いのレポートを照合し学生の不足していた知識や思考過程を補うという教授法を行った.その結果,学生のレポート作成における負担が軽減し,自己効力感が改善した.作業療法を見える化するツールであるMTDLPの活用により,学生にとって作業療法士の思考過程の理解が容易になったことが,良好な結果に繋がった.
  • 髙野 大貴, 寺岡 睦
    2019 年 38 巻 3 号 p. 358-364
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    作業に根ざした実践(Occupation-Based Practice 2.0:OBP 2.0)は,クライエントの作業機能障害を評価しつつ,それを取り巻く信念対立に対処していく方法論である.本報告では,地域在住で脳卒中後遺症を有するクライエントに対してOBP 2.0を用いた評価と介入を実施し,訪問作業療法(訪問OT)におけるOBP 2.0の臨床有用性を検討した.その結果,作業機能障害の改善と生活機能の向上が見られ,作業療法士,家族とクライエントの間で生じた信念対立の解明が進んだ.OBP 2.0は,作業機能障害の改善に向けて訪問OTの方針の共有と,状況に応じ様々な方法の使用ができると考えられた.また,クライエントや周囲の人々と協業した訪問OTを促進できた.
  • 吉本 尚斗, 仲村 淳, 新城 治, 砂川 長彦
    2019 年 38 巻 3 号 p. 365-370
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    外来心臓リハビリテーション(以下,外来心リハ)を実施するにあたり,目標設定のために作業選択意思決定支援ソフト(以下,ADOC)を使用した.症例は50歳代の女性で,本態性高血圧による心不全を呈したと診断された.その再発予防を目的に外来心リハと薬の内服を開始した.外来心リハに際しADOCを用いた面接で目標設定を行った.目標は「心不全再発予防のための食事療法および運動療法の継続」と「スィーツビュッフェでの友人との交流」であった.目標設定後,症例は週1回の外来心リハと自宅での食事療法および運動療法を行った.結果,友人との交流は可能になった.また血圧および体重は退院時に比較し大幅な改善を認め,薬は1剤が中止となった.
  • 平田 淳也, 小原 謙一, 鈴木 啓太, 井上 桂子
    2019 年 38 巻 3 号 p. 371-378
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,体幹を前方から支持する補助具(以下,支持具)によって直立座位姿勢を保持し,かつ体幹筋群の筋活動量を減少させることができるかを検討した.対象者は健常男性12名とした.支持具を使用した座位姿勢と,支持具を使用しない座位姿勢で,パーデューペグボードテストを実施し,体幹の支持性を調査した.体幹傾斜角は,支持具を使用しない場合と比較して,支持具を使用した座位姿勢が,有意に高値を示した.支持具を使用した座位姿勢の内腹斜筋と腹横筋の筋活動は,支持具を使用しない場合と比較して,有意に低値を示した.座位姿勢は,支持具の使用によって前傾座位姿勢となるが,体幹筋群の筋活動量を減少できることが示された.
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