肉を含んだフードを給与したときのネコの腸内細菌叢の変化を明らかにするために、去勢成雄ネコ4頭に対照飼料として市販のドライフード、あるいは、対照飼料と市販鹿肉ウェットフードを混合したもの(混合フード)の体重維持量を給与した。混合フードは対照飼料と鹿肉ウェットフードを1:4の割合で混合して調製した。1期30日(25日間の馴致期間と5日間の採糞期間)で2期60日間の飼養試験を反転法として実施した。科レベルでは、混合フードを給与したネコのほうが糞中のCoriobacteriaceae、Peptostreptococcaceae、FusobacteriaceaならびにSutterellaceaeの割合が対照飼料を給与したネコよりも高かった(P<0.05)。Erysipelotrichaceaeの割合は混合フードを給与したほうが低かった(P<0.05)。属レベルでは、混合フードを給与するとFusobacteriumとSutterellaの割合が高くなった(P<0.05)。これらの結果は、肉を含んだフードをネコに給与すると腸内細菌叢が変化することを示している。乾物ベースでは、対照フードの粗タンパク質含量は33.1%であり混合フードは53.6%だった。したがって、混合フードは高タンパク質フードといってよい。本研究で観察した細菌叢の変化は高タンパク質フードの給与に起因する可能性がある。あわせて消化試験も実施したところ、粗タンパク質の消化率は混合フードを給与したほうが低くなった(P<0.05)。
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