ペット栄養学会誌
Online ISSN : 2185-7601
Print ISSN : 1344-3763
ISSN-L : 1344-3763
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著論文
  • 五十嵐 寛高, 奥田 歩, 伊藤 哲之, 新田 卓, 久末 正晴
    2024 年 27 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/05/10
    ジャーナル フリー

    高脂血症は血清中のトリグリセリド(TG)および総コレステロール(T-Cho)濃度に基づいて診断されており、これらは食後に上昇することが知られている。本研究では、食事療法の違いによる食後の血清TG・T-Cho濃度への影響を明らかにすることを目的とした。健常なビーグル6頭を2頭ずつ無作為に3群へ振り分け、3×3のラテン方格法により高栄養食、低脂肪食、または高繊維食を2週間ずつ給与した。各食事を2週間給与した時点の朝における食前および食後2、4、6、8、10、12時間における血清TGおよびT-Cho濃度を測定し、各食事間で比較検討した。血清TG濃度は、高栄養食でのみ有意な食後の上昇が認められ、低脂肪食および高繊維食と比べて食後2〜10時間において有意な高値を示した。一方で、いずれの食事でも食後12時間までに基準範囲内の水準にまで低下した。血清T-Cho濃度は、いずれの食事でも食後の上昇は認められず、全ての時間帯において食事の差異による有意差も認められなかった。高栄養食では血清TG濃度を長時間にわたって上昇させることから、日常的な高栄養食の給与によって慢性的な高TG血症を引き起こす可能性が示唆された。

  • 伊藤 春佳, 鈴木 武人, 勝俣 昌也
    2024 年 27 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/05/10
    ジャーナル フリー

    肉を含んだフードを給与したときのネコの腸内細菌叢の変化を明らかにするために、去勢成雄ネコ4頭に対照飼料として市販のドライフード、あるいは、対照飼料と市販鹿肉ウェットフードを混合したもの(混合フード)の体重維持量を給与した。混合フードは対照飼料と鹿肉ウェットフードを1:4の割合で混合して調製した。1期30日(25日間の馴致期間と5日間の採糞期間)で2期60日間の飼養試験を反転法として実施した。科レベルでは、混合フードを給与したネコのほうが糞中のCoriobacteriaceaePeptostreptococcaceaeFusobacteriaceaならびにSutterellaceaeの割合が対照飼料を給与したネコよりも高かった(P<0.05)。Erysipelotrichaceaeの割合は混合フードを給与したほうが低かった(P<0.05)。属レベルでは、混合フードを給与するとFusobacteriumSutterellaの割合が高くなった(P<0.05)。これらの結果は、肉を含んだフードをネコに給与すると腸内細菌叢が変化することを示している。乾物ベースでは、対照フードの粗タンパク質含量は33.1%であり混合フードは53.6%だった。したがって、混合フードは高タンパク質フードといってよい。本研究で観察した細菌叢の変化は高タンパク質フードの給与に起因する可能性がある。あわせて消化試験も実施したところ、粗タンパク質の消化率は混合フードを給与したほうが低くなった(P<0.05)。

総説
解説
学会記事
訂正
feedback
Top