土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
70 巻, 2 号
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和文論文
  • 大竹 雄, 本城 勇介
    2014 年 70 巻 2 号 p. 170-185
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/18
    ジャーナル フリー
     本研究は,地盤構造物を対象として,主として日本国内の主要な設計基準の設計手法におけるモデル化誤差を包括的に整理した.対象構造物は,構造物基礎,土構造物,仮設土留めとし,構造物基礎及び土構造物については多くの関連する文献収集に基づいて整理した.仮設土留めについては,モデル化誤差に関する十分な研究が行われていないことから,施工時の計測記録や模型実験の計測記録を多数収集して統計解析によりモデル化誤差を定量化した.以上の成果は,地盤構造物の信頼性設計を合理的に行うための重要な基礎資料となる.また,整理したモデル化誤差を総合的に考察し,モデル化誤差の観点から地盤構造物設計を向上させるための課題を示している.
  • 大竹 雄, 本城 勇介
    2014 年 70 巻 2 号 p. 186-198
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/18
    ジャーナル フリー
     地盤構造物設計では,設計に必要な地盤パラメータを現場での計測値(N値など)から変換する場合が多い.この変換作業は,一般的に過去の調査結果に基づく経験式により行われるため,大きな不確実性を含む場合が多い.この誤差は変換誤差と呼称され,地盤構造物特有の不確実性の要因のひとつである.本研究では,地盤構造物の信頼性解析を行うための基礎資料を作成するために,主として日本国内の主要な変換誤差を包括的に整理した.さらに,地盤パラメータの空間的バラツキや統計的推定誤差と定量的に比較し,現行設計で用いられている変換式の適用性や課題について考察している.
  • 野村 英雄, 鈴木 素之, 杉下 裕輔, 杉村 尚樹, 大谷 直毅
    2014 年 70 巻 2 号 p. 199-212
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
     老朽化した盛土構造物の安定度を新たな設計基準で再評価する必要性が生じている.しかし,コストや時間の制約から,全ての盛土の安定度を詳細に調べることは困難である.本研究では盛土の品質は施工時の締固め管理で決まることから,簡易動的コーン貫入試験により既設盛土の締固め度を推定する方法を考案した.本研究では,中国地方で盛土材として用いられるまさ土を対象とし,既知の締固めエネルギーにおけるコーン貫入抵抗に及ぼす締固め度と上載圧の影響を明らかにし,その上で貫入抵抗値から原位置の締固め度を推定する方法を開発した.その結果,ある深さの貫入抵抗値とそれに対応する締固め度の関係を求める図が異なる締固めエネルギー別に作成できた.
  • 玉手 聡, 堀 智仁, 三國 智温, 末政 直晃
    2014 年 70 巻 2 号 p. 213-225
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
     作業者が土砂に生き埋めとなる労働災害は後を絶たないが,この災害は主に二つの要因が重なって発生していると考えられる.一つは斜面が崩れて土砂が落下したことであるが,もう一つは作業者がその予兆に気づかず逃げ遅れたことである.本研究では簡易な計測による崩壊予兆の把握を目的に,斜面の浅い部分のせん断ひずみθと崩壊危険性の関係を調査した.関東ロームを用いた大型模型実験の結果,θは変位と関連を持って増加していることが明らかとなり,その増加にはクリープ的傾向が見られた.さらに,数値解析して崩壊部周辺の変形を調べたところ,実験と同様な浅い部分での増加が確認された.以上より,本研究では工事中の斜面においてθを計測してそのクリープ的増加の発生を検知することは,現場での崩壊監視を補助する上で有効なことがわかった.
  • 太田 篤志, 三浦 房紀
    2014 年 70 巻 2 号 p. 226-237
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,有限要素法を基本とする重合メッシュ法を用いて静的荷重下の杭基礎-地盤系の応答解析手法を提案するものである.その重合メッシュ法の杭基礎-地盤系への適用に関する基本的な考えは筆者らによってすでに一部発表されているが,本論文はさらに理論を整理し,いくつかの2次元解析モデルを用いて精度の検証を行い,その有効性を示すものである.
  • 松村 聡, 三浦 清一, 横浜 勝司
    2014 年 70 巻 2 号 p. 238-247
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
     盛土の安定性・恒久性を確保するためには,その力学挙動を把握することが不可欠であるが,とりわけ地震時の盛土の耐震性能を実験的に明らかにしようとする研究は少ない.本研究は,北海道のような粗粒火山灰質土の堆積地域における火山灰盛土を想定し,締固め時の含水比および締固め度に加えて,細粒分含有率といった示標特性の違いと,締固め土の繰返し非排水せん断特性との関係を明らかにすることを目的としている.一連の実験から,締固め条件の違いが締固め土の繰返し非排水せん断強度に顕著な影響を与える一方,繰返しせん断時に含まれる細粒分含有率の違いによってその影響の様相が異なることが示された.
  • 手塚 広明, 山内 崇寛, 岡田 直仁, 川西 敦士, 龍岡 文夫
    2014 年 70 巻 2 号 p. 248-264
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
     近年,発生確率が高いとされる首都直下型地震や東海地震,東南海地震,南海地震等の巨大地震に対して,既設施設に対する地盤の液状化対策・耐震補強が急務となっており,比較的小型な施工機械で,既設施設の狭隘な箇所でも地盤改良工事が行える高圧噴射攪拌工法のニーズは高い.従来は仮設目的で適用されていた工法であるが,近年では永久構造物に関連した事例が急増しており,セメント改良地盤の変形・強度特性を正確に評価することが求められている.
     そこで,本研究ではセメント改良地盤の変形・強度の合理的な評価を目的として,微小~小ひずみレベルでの剛性の正確な評価法,剛性のひずみレベル依存性,強度・剛性の拘束圧・長期材齢依存性の評価法を検討した.
  • 片桐 淳, 松島 亘志, 竿本 英貴, 宇津野 衛, 山田 恭央
    2014 年 70 巻 2 号 p. 265-274
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
     地盤工学分野で広く用いられる5種類の粒状材料とガラス球の3次元堆積構造をSPring-8のX線CTで可視化した.得られたCTデータに画像処理を適用し個々の粒子を抽出した.その上で,得られた形状データをメッシュモデルに変換した.それらメッシュモデルのデータ解析を行い,アスペクト比,細長比,扁平度,真の球形度,Krumbeinの球形度に加え,本稿で新たに提案する楕円体表面積比および楕円体体積比を算出し,それぞれの形状指標により材料間の比較を行った.また,それら形状指標と間隙比特性,せん断強度特性との相関についての検討も行った結果,間隙比特性は楕円体体積比との,せん断強度特性はアスペクト比および楕円体積比との高い相関性を示すことが明らかとなった.
  • 寺本 俊太郎, 木村 亮, 西崎 丈能, 新村 知也, 井上 昭生, 阿久津 富弘
    2014 年 70 巻 2 号 p. 275-289
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
     液化天然ガス受入基地における構造物の安全性の確保は,エネルギーの安定供給,保安に対して必要不可欠な事項であり,とりわけLNGタンク等の大規模重要構造物を支える基礎の支持性能は重要となる.しかし大規模な群杭基礎の実大水平載荷試験,特に供用された構造物に対してはほとんど実施されておらず,その力学挙動は未解明な点が多い.今回,40年以上供用したLNGタンクを解体する機会を得て,63本群杭および3本群杭に対する実大水平載荷試験を実施した.同時に3次元弾塑性FEMによる載荷試験に対する事前予測数値シミュレーションを実施した.それら結果から,供用されたLNGタンク基礎の実耐力の検証,群杭効果の発現メカニズムの考察,大規模群杭特有の周辺地盤変形挙動について報告する.
  • 安原 英明, Debendra NEUPANE , 木下 尚樹, 林 和幸, 海野 寿康
    2014 年 70 巻 2 号 p. 290-300
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,生体触媒であるウレアーゼの尿素加水分解機能を利用した炭酸カルシウム結晶析出による地盤固化効果の検討を行った.まず,直径50mm,高さ100mmの円柱砂供試体に所定の濃度に調整したグラウト材を注入し,改良体の力学特性を評価した.その結果,炭酸カルシウム析出量の増加と共に強度が増加する正の相関が得られた.つぎに,より大型な砂地盤内にグラウト材を注入することにより,砂地盤の固化程度を評価するために,ドラム缶内に直径560mm,高さ600mmの砂層地盤を作製し,濃度調整したグラウト材の注入試験を実施した.その結果,概ね想定した領域を改良することができ,本手法の有用性を示すことができたが,改良体の強度制御が今後の課題であることが確認された.
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