土木学会論文集C(地圏工学)
Online ISSN : 2185-6516
ISSN-L : 2185-6516
76 巻, 3 号
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和文論文
  • 坂本 博紀, 小林 弘明, 龍岡 文夫, 曽田 英揮
    2020 年76 巻3 号 p. 221-234
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー

     フィルダムのコアゾーンなどの遮水性盛土の締固めでは,通常,粒度などの土質,含水比,締固めエネルギーを適切に管理し,締固めた盛土での試料採取,乾燥密度,含水比の現場測定を,あるいは現場透水試験も行い,品質を確認する.しかし,これらの品質確認は抜取検査であるために多くを実施できず,その頻度から盛土全体の品質の一様性の確認が難しい.著者らは地盤剛性指標Sに基づく遮水性能評価法を,室内試験と現場試験の結果に基づき検討し,フィルダムの実施工に適用した.その結果,土質と締固めエネルギーレベルなどの施工条件をSの許容上限値を決定した盛立試験と同じに保てば,Sの上限値管理によって現場透水係数が許容上限値以下であることを間接的ではあるが迅速に確認できることが分かった.

  • 長尾 和之, 澤野 幸輝, 松崎 孝汰, 加村 晃良, 風間 基樹
    2020 年76 巻3 号 p. 235-253
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー

     近年,異常降雨や大規模地震に起因して高速道路の切土および盛土が被災し,物流や日常生活に影響を与える事象が顕在化してきている.一方,高速道路の延長は約4割が供用30年以上を経過し,経年劣化のリスクの高まりが懸念されている.本稿では,東北地方の高速道路ののり面で発生した187個所ののり面の災害事例から抽出した地形,地質および盛土材料などの「素因」を点数化し,「予防保全」の視点から,東北地方の高速道路の切土および盛土のり面の健全性を評価するとともに,平成元年10月の台風19号の被災個所を用い評価の妥当性を検証した.その結果,豪雨時に崩壊する可能性のある切土のり面および盛土のり面を素因のみから評価し,予防保全的な対策の優先度の順位付けができることを示した.

  • 高田 祐希, 上田 恭平, 渦岡 良介
    2020 年76 巻3 号 p. 254-265
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     地震時におけるため池堤体の挙動に関して,基礎地盤に対策工を施した研究事例は数多くある.しかし,堤体に着目し,水位の違いや締固め度の違い,また対策工の有無が地震時挙動に及ぼす影響に関して研究した事例は少ない.そこで本研究では,浸透流が作用するため池堤体への対策工の有無が変形量や機能性に及ぼす影響について遠心模型実験により検討した.堤体は2種類の締固め度を検討した.その結果,1)湛水部の貯水位が高い場合は,上流側と下流側への変形により堤体が大きく沈下すること,2)湛水部の貯水位を下げた場合,最も変形を抑制できること,3)ドレーン工法のような下流側の浸潤面を下げる工法が高い耐震性を発揮すること,4)上流側の押え盛土が,上流側の堤体変形量を抑制することが明らかになった.

  • 赤木 俊文, 山本 肇, 佐藤 光三
    2020 年76 巻3 号 p. 266-276
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     北海道苫小牧市で実施された二酸化炭素回収貯留の大規模実証試験では,海洋潮汐による圧力変動成分の振幅減少および海洋潮汐に対する時間遅れが報告された.この現象はCO2の流入による間隙流体の圧縮率の増加に起因し,海洋潮汐による変動荷重に対する力のつり合いと間隙流体の流れによって理論的に説明できる.よって海洋潮汐による間隙流体圧変動から貯留層中のCO2挙動を推定できる可能性がある.本研究では二相流存在下における多孔質弾性論に基づく流体-地盤力学連成解析プログラム(SWN3D)によるシミュレーションにより,CO2圧入に伴い振幅減少と時間遅れが生じることを確認できた.振幅と時間遅れは貯留層内のCO2挙動に連動して変化しており,圧力変動の分析により貯留層内におけるCO2挙動をモニタリングできる可能性が示された.

  • 古川 全太郎, 笠間 清伸, 八尋 裕一
    2020 年76 巻3 号 p. 277-284
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     本論文では,3種類の海成粘土に固化材を混合した直後に定ひずみ速度圧密試験を行い,固化材混合土と未混合土の圧密・透水特性を比較した.また,固化材混合による海成粘土の透水性の改善効果を定量化するために,間隙水の水溶性陽イオン含有量及び供試体のイオン交換容量を測定し,Komine and Ogata1)のイオン交換容量を考慮した透水係数算定式を,非膨潤性粘土に適用できるように修正して透水係数を算出した.その結果,固化材を添加することにより供試体のCa2+の交換容量が増加し,それに伴って透水係数が増加することが明らかとなった.

  • 川久保 昌平, 村上 祐治, 長澤 寛和, 谷 和夫
    2020 年76 巻3 号 p. 285-294
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

     大深度地下岩盤に掘削される空洞の安定性を検討するには,岩盤の変形係数や初期応力を評価することが必要となる.国内では原位置岩盤の初期応力測定には,主に水圧破砕法や応力解放法等が用いられてきた.しかし,これらの測定法は特殊な作業を伴うためコストや労力を要する.

     一方,岩盤の変形係数を測定する有効な方法にボアホールジャッキ試験があり,岩盤の変形係数は載荷圧力-孔壁変位曲線の直線部分の傾きから算定される.本研究では岩盤の初期応力が同じ曲線の切片から求められることを理論的に明らかにした.同一試験から変形係数と初期応力が求められれば,従来の測定法に対して効率化や低コスト化が図られる.本論文では同試験から初期応力を求める弾性理論及び大型コンクリート試験体を用いた室内実験によりその妥当性を確認した結果を示す.

  • 伊藤 大知, 小峯 秀雄
    2020 年76 巻3 号 p. 295-305
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

     高レベル放射性廃棄物の地層処分におけるベントナイト系緩衝材は,数万年単位の長期間にわたって高温・高圧の複雑な地盤深部の環境下に晒されるため,膠結作用を受けて固結し,膨潤性や低透水性など,緩衝材の要求性能に係わる物理特性が変化する可能性が考えられる.本研究では,自然地盤中において続成作用を受けて生成され,かつ産地・地質年代の異なる3種類のNa型ベントナイト原鉱石から,不攪乱供試体,再構成供試体を作製し,膨潤圧,一次元膨潤変形特性について調査し,膨潤特性における膠結作用の影響に関して実験的に評価した.その結果,不攪乱供試体では膠結作用の影響により,再構成供試体に比べて膨潤特性が低く留まり,原鉱石の地質年代が古くなるにつれて低下する傾向がみられた.

  • 小友 行峰, 丸山 收
    2020 年76 巻3 号 p. 320-330
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

     プレキャストL型擁壁は,製品延長が2m以下で製品間が剛接でないため,通行する車輌の後輪荷重を直接受けている.また,通行車輌の輪荷重は,擁壁に静的に作用するのではなく,載荷,除荷が不規則に繰返されている.本研究では,小規模な箱を作製して裏込め材を詰め,表面に繰返し載荷を行い,箱壁面に作用する水平応力を測定する実験を行った.実験結果を基に,道路に設置されたプレキャストL型擁壁のたて壁に作用する水平応力を,Boussinesqの式に係数を乗じた近似式で表現することを試みた.結果として,輪荷重の繰返し載荷でプレキャストL型擁壁たて壁に作用する断面力は,等分布荷重10kN/m2による断面力よりも大きくなる場合があることがわかった.

和文報告
  • 澤野 幸輝, 長尾 和之, 加村 晃良, 風間 基樹
    2020 年76 巻3 号 p. 306-319
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

     グリーンタフ地域では現地発生土の脆弱岩ずりを利用した盛土が数多く存在し,それらは空気間隙率が15%未満となるよう品質管理して構築されてきた.しかし,近年,脆弱岩盛土の変状が増え,高速道路の維持管理の現場で問題となっている.本報告は,供用開始数年後から舗装面にクラックが断続的に発生した盛土の調査結果から物性変化を整理し,盛土の継時的な物性変化と変状との因果関係を考察した.スレーキングする岩ずりは,供用後初期段階から細粒化が進行したと推察した.また,細粒分が雨水の浸透・流出過程で下方に移動し,上方の法肩部でゆるみや空洞化が発生した.盛土下方では細粒化し粘土化した盛土材が地下水位を上昇させ,盛土の不安定化を助長させたものと推察した.また,実際に調整した粒度分布による透水性の変化も評価した.

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