研究 技術 計画
Online ISSN : 2432-7123
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20 巻, 1 号
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  • 麻生 渡
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 2-3
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    Recent trends in the economy show that not only Governments, but also Regional Communities have to develop their own industrial development strategies in order to be competitive. Fukuoka Prefecture, where a number of enterprises, universities, and research institutes are located, provides an example with the "Silicon Sea Belt Fukuoka Project". This project aims at establishing a world-scale Design and Development Center for System LSIs. The project goals include : the training of 300 LSI designers per year, implementing 50 research projects annually as part of collaboration schemes between academia, industry and government. Another goal is creating 500 venture businesses in 5 years. The Fukuoka System LSI Center, established in November 2004, assists these projects with training, research and by providing incubation rooms. Independent industrial clusters of this kind will produce a synergistic effect, which will eventually contribute to further development of the Japanese economy.
  • 姜 娟, 原山 優子
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    For the last few years, the government policy initiatives to overcome impediments to university-industry collaboration and to give a powerful impetus to the commercialization of university's knowledge capitals have been worked out in rapid succession. The most notable examples are MEXT's "Knowledge Cluster" Program and METI's "Industrial Cluster" Program. This paper attempts to answer the following questions : ・What is M.E. Porter's original idea of the cluster approach? ・Why the concept of cluster has been so attractive among policy makers around the world? ・What are common core elements of cluster policies, whose characteristics and content have been interpreted very differently due to the path dependency of these policies? It also examines the background and implementation processes of Japanese cluster programs claiming to shape cluster development.
  • Steven COLLINS
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    アメリカにおけるバイオテクノロジー・センターに関する最も際立った特徴の一つは, いくつか少数の地域にクラスターが集中していることである。2003年の時点で, アメリカのバイオテク企業1,466社のうち60%が5つの州に立地し, カリフォルニア州だけで30%を占めている。しばしば商業的なバイオテクノロジーの誕生はバイドール法の制定に結び付けられるが, その起源はアメリカのナショナル・イノベーション・システムにおける三つの発展-1930年代から始まるロックフェラー財団の支援による分子生物学の発展, 冷戦期の科学システム, 50年代から70年代におけるNIHによる生物医学への財政的支援-に遡る。そして, 70年代半ばまでに, 商業的なバイオテクノロジーのための科学的及び政治的基礎が適宜据えられたのである。本論文では, アメリカにおけるバイオテクノロジーの地理的クラスターについて概観するために, 主要な6ヶ所を取り上げる。バイオテクノロジー企業のほぼ半数が本拠を置くサンフランシスコ及びボストンは, 前者では76年のGenentech, 後者では78年のBiogenの設立によって, 創始的なクラスターの誕生した地域で, 1995年から2001年までの期間, バイオテク企業に対するベンチャー・キャピタルの約3分の1を前者が, 20%を後者が引き寄せ, またNIHのトップ100市に対する研究資金の配分において前者が6%, 後者が12%を得ているが, それらインプットの集中は, 最初のバイオテク企業のパイオニアを生み出したことや多くの研究者・企業家・ベンチャー・キャピタルを引きつける地域的比較優位条件をもっていたことと, 冷戦期の科学技術政策と歴史的合成の結果である。それら二つの地域の後に続く, サン・ディエゴ, ワシントンDCメリーランド, ノースカロライナ州のリサーチトライアングル, シアトルの4つの地域を加えてみると, アメリカにおける主導的なバイオテクノロジー・クラスターには, 共通するいくつかの特徴-NIHの研究基金のより大きな受納者にランクづけされる研究大学が存在すること, バイドール法の制定以前に技術移転のメカニズムや手法がよく開発されていたこと, ベンチャー・キャピタルが利用可能であることや起業家精神の風土, そして時宜を得た戦略的政策関与が支援的な役割を演ずること, バイオテクノロジー・センターの必要に対して専門化された人的資本の充分に開発されたプール(科学者だけではなく, 工学者, パテント弁理士, 建築家, 技術者, そしてスタートアップの立ち上げに経験をもつ経営者たちなどを含む)があったこと-が見出されるのである。
  • Alexandra WALUSZEWSKI
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    シリコンバレーをめぐって最先端科学とビジネスとの地理的近接性による産業化という神話があって, 世界中の政策計画者達が我も我もと次のシリコンバレーを目指すが, 科学とビジネスが「クラスター」あるいは「イノベーション・システム」と名付けられるネットワーク型の組織構造の創出を通じて結び合わされれば産業化が進むとする神話は, 実は一世紀にも及ぶ歴史を被い隠している。シリコンバレーに類比できるように, 今日, スウェーデンのUppsalaが, 繁栄する「バイオ・テク・バレー」の一事例として国際的に喧伝されている。しかも, それは90年代後半にスウェーデン企業Pharmaciaがアメリカ企業Upjohnと合併したことによる企業組織の再編成を触媒とする急成長のフェニックス物語として語られている。しかし, それらの神話や物語が依拠する理論, つまり人的あるいは物的資源の経済価値はそれらの資源がどのように結び合わされるかとは独立であるとする古典的経済理論の遺産を放棄して, 資源の価値は他の資源とどのように結び合わされるかに依るという, IMP(Industrial Marketing & Purchasing Group)の産業ネットワークというレンズを使って事態を観るとどうなるであろうか。2001年にUppsala大学のイニシアティブで始まった, Uppsalaのライフサイエンス/バイオテク産業に関する研究-その地域の当該センター内部における産業活動の出現の背後にある歴史的及び同時代の発展パターンに関して調査することを目的とする-によると, この場所が新たに繁栄するライフサイエンス・バイオテク地域として出現するにいたったのは, Pharmacia-Upjohnの合併による魔術的な効果の故ではなく, 1920年代にまで遡るさまざまな資源を結び付けるための相互作用の積み重ね-しかも, スイッチボードの役割を果したのは, GE/Amersham Biosciences, Pharmacia Diagnostics, Fresenius Kabiといった大企業の外に, Pharmaciaの再編よりも以前から製品のプロトタイプをもち, ユーザーとのネットワークを立ち上げていた企業群, 多くの中小企業, この地の外の研究機関との繋がり, Uppsala大学や農科大学(SLU)の周りで応用を求める研究者と産業のカウンターパートとの間で設立された多くの企業など, 実に多様である-の結果であった。本論文では, それらの歴史を辿ることによって, Uppsalaバイオメデイカル・クラスターの台頭に関するフェニックス物語に代る説明を提示するとともに, フェニックス物語的説明の効用とその反面の危険についても論ずる。
  • Daniel PARDO
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    1970年代の初期に始まったサイエンス・パーク計画について, その成功物語とされるフランスのソフィア・アンティポリスとアメリカのサンディエゴの30年後の姿を比較すると, 後者は世界級のバイオ・クラスターとしての認知を獲得しているのに対し, 前者は研究機能や産業機能が高成長したが専門が分散している点が特徴となっている。80年代初頭に, 統治組織の分権改革の波と重なって, 「ソフィア・アンティポリスのクローン」がフランス全土に拡がったが, 90年代末には, クラスター開発の観点からみてあまりに諸機能が分散したため, 新たな戦略が採用されるに至った。同時期に, ヨーロッパ・レベルで「バイオ・バレー」の創出計画が推進されることになったが, 当時フランスには国際的に競争力のあるバイオ・クラスターが存在していなかったのである。99年に, フランス政府(研究省)は, 23のレジオン(地域)それぞれに拠点を配置するという分散方式から転換して, 8ヶ所のみ-Ouest, Lille, Evry・Pasteur・Ile de France, Strasbourg・Alsace Lorraine, Rhone・Alpes, Toulouse, Montpellier・Languedoc・Roussillon, Marseille・Nice-を「ゲノ・ポール」に指定するゲノム・サイエンス・ネットワーク計画を開始する。また, 保健省も2002年に同様の戦術に基づく「キヤンサー・ポール」計画を開始する。そして, それらの集中化計画に基づくバイオ・ゲノミックス・クラスターEvryが, ソフィア・アンティポリスの後に続く30年後の成功事例となるのである。さらに, 2004年12月に, フランス政府は「競争的ポール計画」を打ち出し, 80年代初期の全レジオン, その後の8ヶ所のゲノム・サイエンス・ネットワークをさらに的を絞って, 全国の3ヵ所-Evryを含む遺伝子学のパリ, ナノバイテクのグルノーブル, ガン研究のツールーズ-を指定する。ツールーズの場合を事例に取ると, 航空学や宇宙学のクラスターがあるエアバス都市であり, また, フランスで第一の大学都市でもあり, 技術移転を促進するためのイノベーティブな技術プラットフォームを発展させていた。さらに, バイオテクノロジーの領域では産業のクリティカル・マスも存在したが, グローバルなレベルでみた場合, どこにニッチェの的を絞るべきかの問題があった。2003年に, ツールーズ市当局は「競争的ポール計画」を先取りして, la Cite des Biotechnologies(バイオ都市)の計画に着手し, 国のガン計画と統合させることによって, ガンに焦点をあてたバイオ・クラスターの指定を得たのである。フランスでは, 70年代のソフィア・アンティポリス型サイエンス・パーク政策から, 30年を経て, 90年代末以降, 「競争的ポール」政策への転換を図ることによって, 知識基盤型経済に対応しようとしているのである。
  • 田口 康
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 38-51
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    The Knowledge Cluster Initiative, started in 2002, will soon see the results of the intermediate review for the 12 cluster areas where activities began in the first year. In addition, the Second Phase of the Science and Technology Basic Plan, the promoter of the Knowledge Cluster Initiative, is to enter the final fiscal year of the planned period. The Government has already begun studies for the Third Phase. Although the Knowledge Cluster Initiative has contributed to establishment of regional industry-academia-government collaboration schemes, it has not yet formed real clusters. Evaluation of results and development of future policies expected after the conclusion of the five-year period should take into account the period needed to cluster formation. The intended cooperation with the national Industrial Cluster Project is has generally been successful ; many activities are based on regional characteristics and leadership. Increasing autonomy of local governments is reflected in the movement towards more effective and efficient implementation of policies through more concerted actions of government agencies in terms of policies concerning promotion of regional innovations, as exemplified by the Council for Science and Technology Policy's initiatives for collaboration, and the Inter-Agency Liaison Committee on Regional Technology with the Regional Block Conferences. Establishing competitive regional innovation systems that support development of the national economy and society is an important national goal. The present situation described above requires further enhancement of policies for creating innovative clusters.
  • 塚本 芳昭
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    The Ministry of Economy, Trade and Industry launched the Industrial Cluster Project in 2001, which has resulted in 19 projects centered at various locations in Japan where METI's Regional Bureaus of Economy, Trade and Industry have collaborated with the private sector. About 5,800 small- and medium-sized companies and researchers from more than 220 universities and colleges have been involved in those projects. Examples of the projects include Regional Industry Revitalization Project (TAMA : Technology Advanced Metropolitan Area (western part of the Metropolitan Area)), Hokkaido Super Cluster Promotion Project (information technology and biotechnology), and Bio Five-Star Company & Tissue Engineering Project in KANSAI. While these activities have created new businesses, the Project has not yet succeeded in establishing a world-level cluster. Important tasks for the future include : (1) consolidating the general framework for the direction of the plan as a whole, (2) formulating more explicitly of the goals, action plans and outcome monitoring schemes for specific projects, and (3) promoting competitiveness of clusters through enhanced interactions among them, including that with counterparts in other countries.
  • 原稿種別: 文献目録等
    2005 年 20 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
  • 姜 娟, 原山 優子
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 63-77
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    1980年代以降に顕著となる, 科学技術政策と地域政策との意識的な接合-それを「地域科学技術政策」と呼ぶことにする-への取り組みは, 社会における科学・技術の位置や性格の変化とグローバル化という二つの大きな歴史的変化を背景とした科学技術政策と地域政策の双方における一つの転換を印している。その転換において, 新たな政策の目標や手段は, 時代変化の性格とそれが課す挑戦についての一定の理論的理解に基づくと同時に, 政策の形成や実施の制度的条件によっても規定されるが, さらに, 政策転換も一直線ではなく, 学習によって段階を経るという点で歴史的経路依存性をもっている。本稿においては, 「地域科学技術政策」は当初の「サイエンス・パーク・パラダイム」から, 90年代に入って, 「ラーニング・リジョン・パラダイム」へ進化してきたと捉えているが, 日本におけるその進化過程を欧米におけるそれとの対比で検討する。
  • 高津 義典
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 78-89
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    産学等の連携研究は幅広い知見を結集して技術革新を現実化することを目的とする。しかし, 全てのプロジェクトにおいて成果をあげうるわけではない。研究から商品化に至る過程において「死の谷がひそむ」といわれるように諸困難が待ち受ける。香川県における実態調査によると, 連携研究に始まって商品化に至る成功率は17%であった。研究過程での困難は, 基本的な技術課題を克服するにおいてよりも, コスト, 形状, デザイン, 耐久性, 使いやすさなど, 新商品が市場の要求に合致しうるかどうかにおいて強く意識されている。「発明よりも商品化において, より大きな努力が必要」と指摘されるゆえんである。「死の谷」を克服して成功に至るには, 参画する研究者が市場条件を第一に考えること, つまりマーケット・ニーズをつかみ, 製品イメージを明確に持ち, かつコスト意識を重視して取組むことが重要である。あわせて構成員の熱意や努力が持続する体制を組むことも欠かせない。「企業」の研究者の意識と「大学・研究所」の研究者のそれとを比較すると, 前者の方が市場条件を意識することの大切さをより強く認識している。また商品化で成功と考える判断基準についてよりきびしい考えを持っている(単に売り上げが計上されるだけではなく採算性をも考慮に入れる)。工場の海外移転が進む中で, もはや工業集積地からの工場誘致を期しがたい地方において, 地域活性化を図るには, 連携研究などによって産業技術を革新し, 内発的に新商品や新サービスを生み出すよりない。連携研究の立ち上げには公的助成が大きな役割を果たしているのが実情で, 地域活性化の実をあげるには, 連携研究に対する助成予算を拡大することが有効である。そのためにも連携研究の成功率を高めなければならない。
  • 近藤 正幸, 長谷川 光一
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 90-102
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
    日本の大学発ベンチャーも年間100社以上が誕生するようになり, 多様な展開がなされている。その戦略や課題は産業, 地域, 起業者などにより大きく異なる。本稿では, 2001年度に文部科学省事業として網羅的に実施した大学発ベンチャー調査のデータをもとに, 産業別・地域別・起業者別に分類してその多様性の状況を明らかにした上で, そうした類型別の特性を明らかにしている。大学発ベンチャーは産業別には, 製造業が60.6%と最も多く, 次いでソフトウェア業31.2%, 専門サービス業等7.3%となっている。製造業では「技術の実用化」を目指した起業が多く, ソフトウェア業では「ビジネスアイデアの商業化」を, 専門サービス業等では「社会的貢献」を目指した起業が多い。地域別には, 関東, 近畿が31.2%, 30.3%と最も多く, 中部と九州・沖縄が11.0%と続いている。北海道・東北と九州・沖縄では他の地域に比べ創立者の自己資金割合が高く, 株式公開志向が強い。起業者別には, 大学関係者が起業に直接関与している場合の起業者別割合は, 教官72.6%, 学生21.9%, 研究者・技術系職員5.5%である。教官による企業の場合は製造業が多く, 学生による企業の場合はソフトウェア業が多い。
  • 森 俊介
    原稿種別: 本文
    2005 年 20 巻 1 号 p. 103-104
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー
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