米国における創薬系biotechs(バイオベンチャー)72社を分析して,そのイノベーション戦略を考察した。Biotechsの特徴は,(1)大手企業と比較して,がん,稀少疾患に対する医薬品を多く提供していた。(2)上市医薬品を技術の面から比較したところ,biotechsの上市品は,蛋白医薬や抗体医薬といったバイオテクノロジーを用いた画期的な医薬品の割合が高かった。(3)Biotechsは医薬品の臨床開発,販売について大手企業と共同で行っているケースが多い。以上より,biotechsは大手企業が自社開発する医薬品とは異なる製品候補をdisruptive innovationとして投入して,臨床開発以降大手企業と共同でイノベーションを完成させているといえる。ここでは,このようなイノベーションをsymbiotic(共生的)innovationと呼ぶ。Symbiotic innovationを成功させるには,画期的な医薬品候補を創出する必要がある。そこで,イノベーションに成功しているbiotechsをsmart biotechsとnon-smart biotechsに分類してその要因を分析したところ,高い研究開発力が重要であることが示された。
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