本論文は,筆者の一人が関わった経団連の調査と他の文献調査によって,21世紀に産業界で活躍できる人材の要件を明らかにし,そのための人材育成法および新しい産学連携の在り方を提案して実践し,その有効性を示したものである。情報化と国際化が進む産業界で活躍するためには,創造力,自立性,協調性,国際性,情報活用力などがその要件になることを,経団連その他の調査によって明らかにした。その上で,筆者らの専門である情報システム学のような産業界と結びついた「実学」の立場から,以下に示す三つの具体的な人材育成法を提案し実践した。一つ目は,産業界の現実を知って,要件全体の基盤となる実学の学習意欲を増すための「産学連携授業」である。二つ目は,創造力,協調性,国際性,情報活用力を養うために初等中等教育における「海外との遠隔授業」であり,三つ目が自立性,協調性,情報活用力を考えた高等教育における「グループ学習型講議」である。これらを実施して評価した結果,筆者らが提案する人材育成法が,要件に挙げた能力の育成に資すると考えられる。
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