日伊眼鏡産地に大きな影響を与えた3つのイノベーションである,福井・鯖江産地の「チタン製眼鏡枠」,イタリア・ベッルーノ産地における世界的な規模での「流通支配」,及び眼鏡の「ファッション・アイテム化」について論じ,それが産地の盛衰にどのような影響を与えたのかを分析する。特に,眼鏡製品のファッション・アイテム化については,これをファッション化イノベーションと呼ぶことにし,日伊眼鏡産地,産業に対してどのような意義を持つものだったのかを分析する。現在,日本企業はプロセス・イノベーションからプロダクト・イノベーションへの移行を迫られているが,目に見える,ハードな品質,機能を追求するだけのイノベーションでは限界がある。そういう意味においてイタリア・ベッルーノ産地,企業によるファッション化イノベーションは,競争優位を得ることについてのクラシカルで,シンプルなベスト・プラクティス事例であるといえる。
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