研究 技術 計画
Online ISSN : 2432-7123
Print ISSN : 0914-7020
22 巻, 3_4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 岡本 信司
    原稿種別: 本文
    2008 年 22 巻 3_4 号 p. 172-187
    発行日: 2008/03/14
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    科学技術の振興を図るためには,国民の科学技術に対する関心を高め,その理解を増進することが不可欠である。2001年に実施した我が国の「科学技術に関する意識調査」において,科学的リテラシーに着目して分析を行った結果,以下のことが明らかになった。科学の基礎的概念の理解度については,先行研究の課題であった共通質問項目の少なさや調査年の相違を排除しても,我が国は欧米諸国と比較して低いレベルにあることが改めて明らかになるとともに,17ヵ国国際比較における主成分分析結果では,我が国は「学校教育での思考を要する知識」よりも「学校教育後の単純知識」に強く,他の欧米諸国とは異なる傾向を示していることが明らかになった。科学技術用語及び科学基礎的概念の理解度と科学的研究プロセスの理解度で構成される「市民科学的リテラシー」の構成比率については,1991年調査から向上しており,米国1995年調査と同等レベルにあり,パス構造解析により,市民科学的リテラシーは高学歴,男性が高く,18〜49歳でほぼ同じ構成比率にあることが明らかになった。さらに「科学技術に注目している公衆」との比較では,科学的リテラシーを高めることが直ちに科学技術に注目させることにはならないことを示す結果が明らかになった。これらの結果を踏まえて,今後の我が国の科学的リテラシー向上のための科学的リテラシー定量的計測手法について提言する。
  • 江藤 学
    原稿種別: 本文
    2008 年 22 巻 3_4 号 p. 188-200
    発行日: 2008/03/14
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    技術標準の作成において,その標準に含まれる知的財産の権利保護と,標準利用者側の便益とのバランスは,標準を策定する上で避けることのできない問題であり,近年,標準化活動における知的財産の取扱は重要度を増している。こうした標準化と知的財産権の問題解決手法として,多くの国際標準化機関において制定された,標準を作る際に特許等の知的財産をどのように扱うかを定めた,いわゆるパテントポリシーに注目が集まっている。2005年2月,国際標準化機関の代表であるIS0,IEC,ITUが,このパテントポリシーの統一整備活動を開始した。これは,いわゆるホールドアップ問題の発生をできるだけ防ぎたいという,メンバー各国の強い要請によるものである。しかし,本当にパテントポリシーはホールドアップの防止に効果的なのであろうか。パテントポリシーを整備し,厳格に運用することで,全ての特許を発見でき,ホールドアップ問題を解決できるのであろうか。本稿では,このような視点からパテントポリシーの有効性について検討を行い,パテントポリシーの本質的価値は,関連特許を発見することではなく,ホールドアップを起こす可能性のある者に対する抑止効果であることを指摘した。
  • 鈴木 康之
    原稿種別: 本文
    2008 年 22 巻 3_4 号 p. 201-211
    発行日: 2008/03/14
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    今日の超競争社会においては,企業は自己矛盾した新規創発および既存活用のイノベーションに挑戦せざるを得ない状況にある。即ち,将来のための新規市場を効果的に開拓するイノベーション(破壊的イノベーションに通じる)を推進しつつ,現在のためのビジネスを効率的に機能させるイノベーション(継続的イノべーションに通じる)を推進することである。しかしながら,既存活用のイノベーションを推進しながら,新規市場を効果的に開拓した事例は少なく,いくつかのリーディング企業の中に見出し得る程度である。本論文では,技術経営的視点からイノベーションに対する考え方を整理するとともに,上記相矛盾するイノベーションを推進することを「二重化主義」と呼ぶこととし,いくつかの事例を分析して,この「二重化主義」を実現する新しいイノベーション・マネジメント・システムとしてデュアル・イノベーション・マネジメント・システムを提案する。さらに,このマネジメント・システムを機能させるマネジメント上のポイントを明確にする。
  • 石川 雅敏
    原稿種別: 本文
    2008 年 22 巻 3_4 号 p. 212-219
    発行日: 2008/03/14
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本論文では,ジェネンテック社におけるバイオテクノロジーを基礎とした医薬品開発の過程を振り返り,ジェネンテック社におけるイノベーション・ダイナミクスについて考察した。ジェネンテック社は1980年前後に遺伝子組換え技術を発明した。この遺伝子組換え技術を用いることによって,ジェネンテック社は,数多くの遺伝子組換え医薬品を発明することに成功した。ジェネンテック社は,さらに遺伝子組換え技術から抗体技術を開発した。そして,抗体技術を用いることによって,さらに連続的に抗体医薬品を開発することに成功した。このような特徴的なイノベーションのダイナミクスによって,ジェネンテック社は連続的な医薬品開発に成功したと考えられた。ジェネンテック社におけるイノベーションのダイナミクスは,アッターバックがタイプライター産業において報告したイノベーション・ダイナミクスとは異なる方向性のダイナミクスである。
  • 西尾 好司, 原山 優子
    原稿種別: 本文
    2008 年 22 巻 3_4 号 p. 220-235
    発行日: 2008/03/14
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本研究は,米国で始まっている特許を取得せず広く公開する(Open Collaboration)という原則の下,企業から高額の資金を集めて実施している産学連携活動に焦点を当てるものである。米国の3つの事例研究を活用して,それが成立する要因を分析する。そして,最後にこの分析から日本の産学連携に対するインプリケーションを提示する。
  • 原稿種別: 文献目録等
    2008 年 22 巻 3_4 号 p. 237-238
    発行日: 2008/03/14
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
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