研究 技術 計画
Online ISSN : 2432-7123
Print ISSN : 0914-7020
26 巻, 1_2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 平澤 (リョウ)
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 2-3
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    The author, as an examiner, feels that the number of really "interesting" papers that deserve the prizes has been decreasing. Good papers should excite readers with at least one of the following features. First, novelty of the topic: unexpected problems or surprising conclusions are an important feature of interesting papers. Second, useful results: practical usefulness is an important rationale of research in our Society. Even analysis of a single case will be useful if any new aspects, models or methods introduced are applicable to other similar cases and thus extend our understanding. Third, logical coherence: this does not only concern the logical completeness per Se, though indispensable in the natural science. Studies of subjects covering natural, human and social sciences, which are of interest for us, require sound logic in modeling phenomena involving both physical and social aspects and applying the model to the real world. In fact, many papers fail in meaningful combination of logic and usefulness. The author expects more effort of both authors and examiners to improve the quality of papers appearing in our Journal.
  • 前田 知子
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 4-16
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本稿では,1950年代の日本において提案された「学術情報所」設置要求及び「科学技術情報センター」構想について,前者が概算要求の段階に留まったのに対し,後者が日本科学技術情報センター(JICST)設立に至った要因を明らかすることを目的に,2つの政策案をめぐる経緯を当時の関連資料や関係機関の年史等の記述に基づいて分析した。その結果,2つの政策案が共に,科学技術情報への需要の高まりに相応した効率的な提供ができていないという課題に対し,科学技術情報報機関の設置を求めるという政策案を示しながら,後者については次の3つの点が見られたことが,政策案の実現に寄与したことを明らかにすることができた。1)科学技術情報に関する課題が科学技術振興体制の強化という大きな動きの中で検討されたこと。2)学術界及び経済界からの支援と理解,特に経済界からの強い支援がえられたこと。3)国立国会図書館との業務内容が調整され,相違がより明確にできたこと。また,科学技術情報機関の新設と国立国会図書館との調整の結果として二次情報の提供を主眼とするとしたことが,それぞれ,研究者コミュニティーとの連携の弱さと政策検討の対象範囲の限定化をもたらし,近年の科学技術情報に関する課題への対応の弱さにつながった可能性があることを考察した。
  • 辻 洋一郎
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 17-28
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    特許情報は技術開発の直接の成果物として,技術開発のプロセスを分厚く記述するための有望な情報源となり得る。本稿では,インクジェットプリンタ開発の事例を対象に,出願された特許の内容分析を行う。その結果,特許情報を補強することで,既存文献から得られる技術開発のプロセスを鮮明に彫琢できることを示す。最後に特許分析の有用性と限界について議論し,併せて分析の結果得られた発見事実について考察する。
  • 安彦 元
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 29-39
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本研究では,「権利形成過程における特許請求の範囲に対する意思決定が特許権侵害訴訟における判決と相関を持つ」という仮説をあくまで定量的に検証するため,独立請求項の出願から権利化に至るまでの格成分数(技術的範囲)の変動比率CLD率を介して数値化した。そして実際の特許法第104条の3が施行された後の5年間の裁判に焦点を当て,あくまでステップ数や動作数,条件数により技術的範囲の広狭が主に支配され,それが格成分数として現れ易い電気,機械分野を調査対象の中心に据えて実例分析を行った。その結果,1)敗訴(無効)は,勝訴と比較して,よりCLD率が高くなること,2)敗訴(逸脱)は,勝訴と比較してCLD率は大きな差が無かったが,ややCLD率が高くなること,が分かった。本研究を通じて,侵害訴訟の勝率を向上させる上であくまで権利形成過程における特許請求の範囲に対する意思決定の観点から一つの方向性を示したものであるが,知財高裁や最高裁の判決をも考慮に入れて分析を行うことで,また違った角度での考察もできると考えられる。
  • 福澤 尚美
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 40-51
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    大型競争的研究資金である21世紀COEプログラムにより,どれだけ研究が促進されたのかを,学術データベースにより作成した個別研究者の論文数と1論文あたり被引用数を成果指標としてDifference-in-differences推定量により実証分析した。その結果,生命科学分野全体では論文数,被引用数共に正に有意な増加効果が得られ,情報・電気・電子分野全体では被引用数で正に有意な増加効果が得られた。社会科学分野全体では論文数,被引用数共に正に有意な増加効果は得られなかった。本分析からこのプログラムにより概ね研究が促進されたと評価出来る。また,推定結果をピアレビューと比較した結果,生命科学分野では大きな相違は見られなかったが,情報・電気・電子分野と社会科学分野では相違がみられた。従って,分野により研究の特性が異なるため,ピアレビューのみならず定量的な分析との併用が研究評価の手法として望ましいと考える。
  • 木村 壽男
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 52-61
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    真の技術経営を実践するためには効果的な技術戦略が不可欠となる。そしてその技術戦略の策定のためには,必要な技術を棚卸しして評価することがその第一歩となる。しかしながら,この技術の棚卸し・評価は「見える範囲,わかる範囲,できる範囲」という言葉に象徴されるように,意識は内部志向で行動は部分的アプローチにという不完全なものであった。そのため,本報では未来志向の技術戦略の策定に向けた,あるべき技術の棚卸し・評価の基本的な考え方と推進プロセスの概要について提言する。論者が考えるその要点は,1)未来に立った有望技術の棚卸し(抽出),2)特許分析を通じた定量的な技術評価の加味,3)未来コア技術等の戦略技術の仮説づくり,の3つである。
  • 金間 大介
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 62-72
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    若手研究者は国や組織の競争力を高める重要な資源であるため,今後の科学技術政策やイノベーション戦略を立案する上で,彼らの意欲を高めるような方策を検討することには大きな意味がある。そこで本研究では,直接若手研究者に対しインタビューを行い,研究を行う動機や,やる気を低下させる要因,その対処法などについて調査した。その結果,若手研究者には,彼らの持つモチベーション特性の違いから,課題解決型と課題発見型の2つのタイプが存在することが分かった。課題解決型の若手研究者は,自己の能力や技能を用いて課題解決に挑むことに研究の面白さを感じる一方で,対応不可能と思われる課題や暖昧な課題を与えられた時に意欲の低下が見られた。このような時彼らは,暖昧な作業の中から挑戦すべきテーマを見つけ出すなどして自らのモチベーションを保つよう対処していた。課題発見型の若手研究者は,自身が関与する研究分野を既知の領域と未知の領域に別けて考え,自らが先頭に立って未知の領域を開拓することを研究意欲の源泉としていた。また彼らは,外部からの強いコントロールを感じた時に意欲の低下を示した。このような時彼らは,何らかの外的な報酬に行動の原因を帰属させることでモチベーションを取り戻そうとしていた。
  • 伊藤 裕子
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 73-84
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    大学等の教員における論文生産性と研究環境等の関連性について明らかにすることを目的として,本論文では,「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(2009年文部科学省発表)」のデータを用い,「過去3年間の査読ありの外国語の論文・記事の件数」の回答を「外国語論文生産の少ないグループ(0〜1件)」と「多いグループ(11件以上)」に分けて再集計し,オッズ比による分析を行った。その結果,外国語論文の生産性の違いに強く関連した因子は,性別,大学等の種類,研究資金の金額,外国語特許取得件数であることが示された。また,論文の多いグループでは,「研究時間の減少」に「学内事務」および「社会サービス」が強い関連を示すことがわかった。これらのことから,大学等において,研究活動の多様性を反映した多様な業績評価の実現,大学等の運営と研究体制の関係の見直しなど,構造的な改善を行うことが必要と考えられた。
  • 板谷 和彦, 丹羽 清
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 85-97
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本論文では,発見を支援するマネジメントに関する新たな視点を導くことを目的として,発見のプロセスの理解に基づく現場主導型マネジメントを提示する。さらに,大手技術系企業の研究所において,4チームに対し,2ヵ月半にわたり非適用群を設定した実証実験として適用を行い,研究者の研究行動に与える効果を定性的方法により分析した。研究行動の事例は,適用群,非適用群によらず,「仮目標の設定」,「試行の場の設定」,「試行錯誤」の3つにカテゴリー化された。一方,適用群の事例では,発見志向の研究行動に多く適合する傾向にあり,相互に関係性を示す複数の発見志向の研究行動に適合する事例も見られた。現場主導型マネジメントの適用の効果は,高い自律性を有する施策によって,発見への探索の方法や経路の選択に関する制約や失敗に対する躊躇を抑制するとともに,偶然の結果に対する気付きや洞察,飛躍に結びつく視点の変化を導くことにあるとの考察を示した。
  • 安彦 元
    原稿種別: 本文
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 98-105
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    先行技術調査の定量的価値をベイジアン決定理論を利用して分析するスキームを提案し,提案したスキームを通じて, 1)要素技術の戦略優位性や2)要素技術の特許性が不明確である場合の方が,先行技術調査の定量的価値が高くなることを検証した。
  • 原稿種別: 文献目録等
    2012 年 26 巻 1_2 号 p. 107-110
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
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