水資源・環境研究
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2001 巻, 14 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 若菜 博
    2001 年 2001 巻 14 号 p. 1-9
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    本論説では、第1に、日本における現代「魚附林」研究および思想は環境科学の源流の一つであったと位置づけ、この視点から、札幌農学校水産学科・東北帝國大学農科大学水産学科・北海道帝國大学附属水産専門部教授であった海藻学者・遠藤吉三郎(1874~1921)、北海道帝國大学農学部・理学部教授で函館水産専門学校校長を歴任した動物学者・犬飼哲夫(1897~1989)、北海道林務部職員・北海道立林業試験場特別研究員であった三浦正幸(1913~1985)、文学者の大滝重直(1910~1990)などの研究や言説の系譜および社会への影響を整理し位置づける。第2に、日本の明治時代以降の「磯焼け」に関する研究史の系譜を、「魚附林」研究および思想の展開の一部として整理する。第3に、上の「魚附林」研究および思想の影響を受けつつ進められた漁業者たちの植林活動の取組(「お魚を殖やす植樹運動」、「森は海の恋人」など)およびそれが行政に与えた影響を整理する。
  • 大阪府熊取町の事例より
    鎌田 さやか, 池上 甲一
    2001 年 2001 巻 14 号 p. 10-20
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    地域開発の際に住民参加を謳うことが一般化している。住民参加とは住民の意向を事業に反映させるだけでなく、住民自身の労働や知恵の提供、あるいは意思決定などオーナーシップの発揮を意味する。本稿では、住民参加によって農業用溜池を整備し、コミュニティ再生を図ろうという大阪府熊取町長池地区の意義と課題を分析した。この事例は大阪府溜池オァシス構想のモデルに位置づけられている。というのは、計画段階からの長期にわたる住民参加が実現されてきたからである。この過程は工事以前のワークショップによる計画作りの時期と地区全体への計画浸透を図る時期に区分される。そうした周到な準備があっても、アンケート調査によると溜池整備事業は住民の問に十分浸透していない。そこで、住民参加型開発には住民の自覚と意欲、力量の向上に加えて、役員層に続く初期適応者の役割に注目する必要がある。
  • 水上オートバイを例に
    中野 桂
    2001 年 2001 巻 14 号 p. 21-27
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    近年増加の傾向にあるレジャー用動力船の多くは、2ストロークエンジンを使用しており、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンや、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、多環芳香族炭化水素(PAH)等の化学物質を水中に排出するとされる。本稿ではまず、水上オートバイを例に、これまでの研究について概観および検討した。その結果、改良型の直接噴射式エンジンは決定的な排出削減とはならないが、4ストロークエンジンはかなり排出を減らすといわれており、有効であることがわかった。この他の対策としては、走行区域・隻数・時間等の制限、あるいは動力船の使用禁止が考えられる。消極的な対策としては、飲料水の取水口付近での航行を禁止すること、取水口の位置を深くすること、また塩素処理を行っているところではそれを止めて、オゾン処理等に切り替えることなどが考えられる。最後に、今後望まれる調査ならびに対策について議論した。
  • 地域環境基本計画策定過程を事例として
    森田 健太郎
    2001 年 2001 巻 14 号 p. 28-35
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
  • 「オーバーシュート」を感知する新パースペクティブ
    和田 喜彦
    2001 年 2001 巻 14 号 p. 36-44
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    地球環境問題の本質は、環境収容力を超える量の資源が引き出されていること、すなわちオーバーシュートが発生していることである。しかし、オーバーシュートを感知するための有効な指標が存在しなかったため、問題認識が一部でしか共有されてこなかった。これが問題の根本的解決を遅らせている原因である。新しい指標の必要性に応えるためにエコロジカル・フットプリント指標がカナダで開発された。エコロジカル・フットプリントの計測によると、日本人と同レベルの資源消費を地球の全人囗が行えば、地球が約2.3個分必要となる。別の研究から分かってきたことは、人間経済活動による資源消費量は、地球生態系の環境収容力を既に30パーセント程度超過していることだ。アンケート結果などによると、エコロジカル・フットプリントは、オーバーシュートという問題を認識・共有するための有効なツールであると言えそうだ。
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