口腔・咽頭科
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27 巻, 2 号
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シンポジウム 睡眠呼吸障害の研究はどこまで来たか?
総 説
  • 工 穣
    2014 年 27 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     小児の睡眠時無呼吸症候群は, そのほとんどが治療可能な病態であるにも関わらず多くが見過ごされている可能性がある. その理由の一つとして小児の終夜ポリソムノグラフィー検査可能な施設不足が挙げられるが, それとともに小児の診断に適した簡易検査装置の不足も大きな問題である. 今回我々は, 敷いて眠るだけで無拘束に呼吸状態を評価できる小児用多点感圧センサシート (GD-ZERO) および小児用解析ソフト (陥没呼吸検出プログラム) の開発と臨床応用を行い, ビデオ様の睡眠状態記録・可視化, および陥没呼吸 (努力性呼吸) の自動検出を可能にした. 今後更なる測定精度向上を図り, 早期に一般臨床で使用可能となるよう進めていきたい
シンポジウム 今,明らかにされた扁桃とIgA腎症を結びつけるエビデンス:腎臓内科学,病理学,耳鼻咽喉科学のアプローチから
総 説
  • 城 謙輔, 堀田 修, 渡邊 健一
    2014 年 27 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     近年 IgA 腎症の新しい治療法として扁桃摘出ステロイドパルス療法 (扁摘パルス療法) の有効性が評価されている. そこで, IgA 腎症において扁桃病変に特異性があるかどうか, あるとすれば腎糸球体病変と関連する特異的な病変があるかどうか, そして, その病変がステロイドパルス療法に影響をうけるかどうかの3点に着目して研究を進めた. その結果, IgA 腎症扁桃炎において, 中心に HLA-DR 陽性細胞が集簇し, CD208 陽性の成熟樹状細胞 (DC-LAMP-3) が共局在を示す T 細胞結節数が増加した. またその数はパルス治療に影響されず, 糸球体の細胞性半月体の頻度に相関した. 一方, 陰窩上皮の網状化阻害も IgA 腎症扁桃炎で目立ち, その程度は糸球体の分節性硬化の頻度に相関した. これらの結果から, IgA 腎症の治療においてステロイドパルス療法に扁摘が併用される根拠が示された.
  • 鈴木 祐介, 富野 康日己
    2014 年 27 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     これまでの多くの臨床研究や IgA 腎症動物モデルからの知見, およびそれを基にしたトランスレーショナルリサーチなどから IgA 腎症の病因の本態は, 腎臓の固有細胞ではなく, 全身の複雑な免疫ネットワークにあることが想定されている. 特に, 「Mucosa-Bone Marrow Axis」 における免疫学的異常が議論され, 「粘膜型 IgA がなぜ骨髄で産生されるのか」 について長年研究されてきた. しかし, 免疫学の進歩にともないケモカイン・ホーミングレセプターが急速に解明され, 粘膜型B細胞が, 実効組織として骨髄や全身のリンパ組織に展開しうる具体的なメカニズムが明らかになり, IgA 腎症における Mucosa-Bone Marrow Axis の関与がにわかに現実味を帯びてきた.
     一方, 以前より IgA 腎症患者では IgA ヒンジ部に糖鎖異常があることが指摘されてきた. 近年糖鎖異常 IgA の定量的解析が可能となり, IgA 腎症の病態が IgA 分子の側からも検討されるようになった. それにより, 糖鎖異常 IgA ばかりかその異常糖鎖を認識する内因性抗体による免疫複合体形成も, IgA 腎症の病態進展に深く関与することが明らかになった. さらに最近の研究では, 糖鎖異常 IgA および内因性自抗体産生の主座が扁桃であることが強く示唆されている. IgA 腎症患者の扁桃において, APRIL や BAFF といった B 細胞分化誘導因子の過剰発現も確認され, IgA 腎症患者の扁桃 B 細胞の分化異常が病態に関わっている可能性も高い. 本稿では, IgA 腎症の粘膜異常および糖鎖異常 IgA 産生機序に触れながら, 扁桃 B 細胞の IgA 腎症の病態における役割を概説する.
ビデオパネルディスカッション 扁桃・アデノイド手術技術
総 説
原 著
  • 北村 剛一, 清水 雅明, 矢富 正徳, 鈴木 衞
    2014 年 27 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     PSG は, 小児の SAS の診断においてはゴールドスタンダードであるが国内では検査が可能な病院が限られているのが現状である. そのため, 他の検査や問診も含めた総合的な診断が必要である. 今回我々は小児の SAS における OSA-18 の有用性につき検討した. 対象は, 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の85名の小児である.
     AHI と OSA-18 とは有意な相関を認めた. 85名中58名にアデノイド切除術および口蓋扁桃摘出術が施行されたが, 全例で OSA-18 の総合スコアおよび各質問項目で有意な改善を認めた.
     OSA-18 は, 術後の QOL の評価に有用であり, 他の簡易診断法と併用することにより SAS の重症度の診断に用いることができると思われた.
  • 河村 陽二郎, 藤居 直和, 森 智昭, 嶋根 俊和
    2014 年 27 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     今回我々は, 2008年4月から2013年5月までに難治性口腔咽頭潰瘍を主訴に当科を受診した症例12例を対象に検討をおこなった. 12例中7例で原因疾患を確定し, Behçet 病3例, Crohn 病2例, Stevens-Johnson 症候群1例, 尋常性天疱瘡1例であった. この7例中6例において皮膚症状か消化器症状が認められ, 皮膚生検や消化管内視鏡検査所見で確定診断をつけることができた. 難治性口腔咽頭潰瘍においては, 口腔咽頭所見だけでなく皮膚症状や消化器症状も慎重に観察していく必要があると考えられた. また, 自験例では診断がつくまでに最長で24ヵ月経過している症例もあり, 長期的な観察が必要であると考えられた.
  • 高橋 紘樹, 坂下 智博, 本間 明宏, 福田 諭
    2014 年 27 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     魚骨異物は, 日常診療においてしばしば遭遇するが, 少ないながらも経口腔的に摘出不可能な症例が存在する. 今回我々は, 頸部外切開を要した魚骨異物の症例を3例経験した. 症例は68歳女性, 58歳女性, 81歳女性で, いずれもカレイの魚骨異物を CT で同定し, 頸部外切開にて異物を摘出した. 症例2では異物の搜索に難渋したが, 手術操作により異物が移動したためと考えられた. 症例3では異物は咽頭収縮筋内に完全に迷入し, 術中の触診では異物の部位特定が困難であった. ペンローズドレーンを目印として留置して術中 CT を撮影し, 魚骨の正確な位置を確かめつつ手術を行った. 術中 CT を 3D 構築した画像は異物の部位特定に有用であった.
  • 中島 正己, 和田 伊佐雄, 加瀬 康弘
    2014 年 27 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     閉塞型睡眠時無呼吸 (OSAS) における鼻腔開存性を検討するため, ポリソムノグラフィー施行予定の患者48名を対象として, 座位と仰臥位でそれぞれ鼻腔通気度測定法と音響鼻腔計測法 (AR) による測定を行った.
     AR による比較では, 座位に比べ, 仰臥位のほうが最小鼻腔断面積, 鼻腔容積共に減少する傾向にあった. さらにこの変化は仰臥位になってから5分後にすでに生じていた.
     座位から仰臥位に体位変換することにより, 鼻腔抵抗値は増加し, 生理学的な変化を生じると共に, 鼻腔容積や鼻腔最小断面積の減少により鼻腔開存性が変化し, 解剖学的な変化も生じると考えられた. この変化が OSAS 患者の病態に関連することが予想された.
  • 杉山 喜一, 山野 貴史, 坂田 俊文, 中川 尚志
    2014 年 27 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     小児の頸部リンパ節感染症は日常診療においてしばしば遭遇する疾患である. 抗菌薬の進歩により保存加療のみで治癒したという報告も多い一方で保存加療に抵抗性を示し膿瘍形成に至って切開を要する例もみられ臨床現場では判断に苦慮する問題である. 今回, 2000年1月から2012年9月までに当院を受診し初診時に頸部リンパ節炎と診断し得た小児47例について膿瘍群・非膿瘍群に分類し, 年齢, 入院期間, 抗菌薬の種類と使用日数等に関して retrospective に検討を行った. 非膿瘍群では入院期間及び抗菌薬使用期間は有意に短い結果となった. また, 膿瘍形成6例中2例は保存加療で治癒しており, 膿瘍サイズはいずれも20mm以下であった. 適切な抗菌薬使用等により20mm以下の膿瘍は切開排膿なしに改善を見込めると考えられた.
  • 北野 睦三, 寺尾 恭一, 速水 康介, 土井 勝美
    2014 年 27 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     梅毒は性感染症の一つである. 今回我々は咽頭梅毒の1症例を経験したので報告する.
     患者は38歳男性で主訴は咽頭痛であった. 口腔内に Butterfly 徴候を認め, STS: 陽性, TPLA: 陽性より咽頭梅毒と診断した. 治療はアモキシシリンとプロベネシッドの投与を行い軽快した.
     性感染症として梅毒の他にクラミジア, 淋菌, HIV, HSV があげられるが, 近年これらの性感染症の口腔・咽頭病変の増加を認めている. そのため患者は耳鼻咽喉科を受診するが, 性感染症を取り扱う科は主に婦人科・泌尿器科であり, 耳鼻咽喉科医は性感染症に慣れていないのが実情である. そのため性感染症に関して耳鼻咽喉科医は診断・治療について熟知する必要がある.
  • 日江井 裕介, 加藤 久幸, 油井 健宏, 櫻井 一生, 内藤 健晴
    2014 年 27 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     症例は65歳の女性. 半年前から続く咽頭違和感を主訴に近医を受診し, 左口蓋扁桃の腫脹を指摘され当科紹介受診となった. 左口蓋扁桃に 20mm 大の有茎性腫瘤を認め, 生検にて紡錘細胞癌と診断された. CT および PET-CT による画像診断にて, 頸部リンパ節転移や遠隔転移がなく, 腫瘍は左口蓋扁桃に限局し周囲組織への浸潤を認めなかったため, 顕微鏡下に経口腔的中咽頭腫瘍摘出術を施行した. 摘出標本の外観はマッシュルーム状の隆起性腫瘤であり, 病理組織学的に紡錘形腫瘍細胞の増殖と扁平上皮癌の混在した組織像を認めた. 切除断端は陰性であったが, 側方断端の安全域が不充分と判断し, 術後放射線治療 50Gy を施行した. 治療後19ヵ月経過した現在, 再発や転移は認めていない.
  • 根本 純江, 冨田 寛
    2014 年 27 巻 2 号 p. 165-172
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     心因性味覚障害とは, その患者が訴える味覚障害が, 味蕾の味覚受容機構の障害か, 神経伝達路における障害であるよりも, 心身症, 神経症, うつ, 人格障害等の心理的要素が強く関与し, 心療内科あるいは精神科の併用治療が必要と考えられる病態である. 先行研究では, 亜鉛欠乏性, 薬剤性, 全身疾患性等に比べて, 改善率や通院継続率が低いことが報告されている. 本研究は, 2011年~2012年の2年間に当院で診断, 治療した味覚障害340症例中, 心理面の関与が疑われた症例57例 (男性14例, 女性43例) について, 病態改善の向上を目的に, 管理栄養士との医療連携により, 心理療法 (認知行動療法, 簡易精神療法等) や栄養指導を実施した結果, 味覚検査における治癒, 有効を合わせた累積有効率, 通院継続率が向上したので報告する.
  • 片岡 通子, 本多 啓吾, 安里 亮
    2014 年 27 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     Fanconi 貧血患者にみられた進行歯肉癌の1例を経験したので報告する. 症例は31歳, 女性. 13歳時に Fanconi 貧血の診断を受けた. 31歳時に上歯肉癌 T4aN1M0 に対し, 当科で局所拡大切除および遊離皮弁再建術を行った. 術後早期に緑膿菌による創部感染, 両側膿胸, 敗血症性ショックに至った. 長期間の集中治療管理を要したが, 全身状態は改善した. 術後6ヵ月の段階で再発を認めていない. 本症例では, 治療後再発が多いこと, 放射線治療・化学療法が困難であることから, 再建を伴う局所拡大切除を行い, 寛解に至った. しかし, 術後合併症は通常と比べ重篤であり, 周術期のより慎重な管理を要すると考えられた.
  • 馬場 洋徳, 相澤 直孝, 土屋 昭夫, 髙橋 姿
    2014 年 27 巻 2 号 p. 179-183
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     口腔底に発生する嚢胞性疾患として, ガマ腫や嚢胞性リンパ管腫のほかに表皮嚢腫・皮様嚢腫があげられる. 表皮嚢腫は MRI 画像にて T1 強調画像で低信号, T2 強調画像で高信号の内部均一の像を示すことが一般的である. 今回われわれは, 特徴的な画像, 病理所見を呈した口腔底皮様嚢腫の症例を経験した. 症例は35歳男性, 緩徐に増大する左顎下部病変を認めた. MRIT2 強調で低信号の無数の粒状結節が混在した, sack of marbles の所見を認めた. この所見は表皮嚢腫, 皮様嚢腫に特徴的であり, 他疾患との鑑別で重要な所見となる.
  • 平野 隆, 藤田 佳吾, 鈴木 正志
    2014 年 27 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     頭頸部癌において放射線療法は確立された治療法の1つとして挙げられるが, 放射線照射部位に新たな早期腫瘍性病変認める事が少なからず存在する. このような表在癌や早期癌が見つかった場合において, 低侵襲であり入院期間が短期的である硬性内視鏡を用いた喉頭下咽頭手術による喉頭下咽頭粘膜下切除術や内視鏡下粘膜下層剥離術 (ESD) が適応になる症例は少なくないものと思われる. 今回, 我々は上咽頭癌放射線治療後の中咽頭白板病変に対する CO2 レーザーによる中咽頭白板粘膜下切除術後に生じた外頸動脈瘤からの咽頭出血を生じた1例について報告する. 今後の放射線加療後の腫瘍再発および再発疑い症例に対する粘膜下切除術を施行した場合の術後合併症1つとして念頭に入れることが肝要と考える.
  • 阪本 浩一, 大津 雅秀
    2014 年 27 巻 2 号 p. 191-197
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     口蓋扁桃摘出, アデノイド切除の前後に OSA-18 による評価を行い, スコアの変化について検討した. また, アプノモニターによる AHI, SpO2 の値との関連も検討した.
     対象は, 2008年から2013年に当科にてアデノイド, 扁桃摘出術を施行した144例. 男児99例, 女児45例. アプノモニターは, AHI は129例で, SpO2 は132例で測定された.
     術前 OSA-18 の総スコアは平均59.7±20.1であった. 術後のスコアは, 平均30.3±10.7点で有意なスコアの低下を認めた. 術前 AHI は21.0±13.7回/hr, SpO2<90%は4.9±10.8%, SpO2 最低値は, 72.8±16.6%であった. 術後には, AHI は6.6±5.5回/hr, SpO2<90%は1.0±2.4%と低下し, SpO2 最低値は, 77.9±17.3%と上昇した. AHI と SpO2<90%に有意な改善を認めた. AHI と OSA-18 は, 総合スコアで相関係数0.52 (p<0.0001) と良好な正の相関を示した. 小児の睡眠呼吸障害の診断治療にあたって, OSA-18 は, 診断, 治療効果の判定に有用である.
  • 小野 麻友, 糟谷 憲邦, 清水 猛史
    2014 年 27 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     呼吸苦を主訴に受診した咽頭後壁に生じた側頸嚢胞例を経験した. 症例は39歳女性, 嚥下時痛と呼吸苦を主訴に平成24年7月に受診した. 左咽頭後壁に表面平滑, 弾性軟な腫瘤を認めた. 経口的穿刺により黄色透明の内容液を吸引除去したが, 再腫脹を来たすため, 全身麻酔下に経口腔的に摘出手術を行った. 病理検査結果などから第2鰓裂嚢胞と診断した. 発生部位から, Bailey IV 型に分類されると考えられた. 現在再発なく外来にて経過観察中である. 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 平野 康次郎, 小林 一女, 洲崎 勲夫, 洲崎 春海
    2014 年 27 巻 2 号 p. 205-211
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     Adenoidectomy は従来の方法では後鼻孔側のアデノイド組織が遺残し十分な治療効果を得られない症例があった. 我々は14例にコブレーター® (Coblator®) で手術を行い, 上咽頭高電圧撮影側面像, 鼻腔通気度を測定し評価した. 鼻腔通気度は平均0.727 Pa/cm3/sec から0.436 Pa/cm3/sec へ有意に改善し, 上咽頭高電圧撮影側面像では遺残し易い後鼻孔側のアデノイド組織まで切除できている事が確認された. Coblator® は出血が無いこと, 吸引・凝固機能を有すること, デバイスの湾曲角度をある程度自在に変えられることなどにより adenoidectomy において非常に有用なデバイスである.
手 技
  • 奥山 英晃, 庄司 和彦, 堀 龍介, 濱口 清海, 岡上 雄介, 藤村 真太郎, 小林 徹郎
    2014 年 27 巻 2 号 p. 213-216
    発行日: 2014/06/10
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     顎下腺唾石症の手術治療において, 移行部唾石は顎下腺摘出術が選択される場合が多いが, 当科では2004年より経口的摘出術に積極的に取り組んできた. 当科で手術加療を施行した顎下腺移行部唾石症例28例につき検討した. 26例において経口的摘出が可能であり, これらは全例で双手診による唾石の触知が可能な症例であった. 平均手術時間は36.5分であった. ワルトン管の切開部は開放創とした. 術後感染, 周術期出血, 舌神経麻痺の合併症はなかった. 術後一過性の顎下腺腫脹は4例, 再発は2例に認めた. 移行部唾石の経口的摘出術は低侵襲で合併症が少なく有用な方法であると考えられた.
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