本実験では, ポット栽培作物の地下環境に大きな影響を与えるポットの外壁面における日射量と純放射量の分布を明らかにすると共に, ポット内土壌の熱交換量を水平, 鉛直両方向で求めた。
実験は, Wagner pot (1/2000a)の外壁面におけるアルベドを調節するための黒塗区(No.2), アルミ蒸着区(No.3), 無処理区(No.1)および一般耕地としての裸地区(No.4)で行った。得られた結果は, 8月5日と12月16日(1978年)のものである。
1) ポットの外壁面における直達理論日射量を8月5日の日総量でみると, E面とW面で最大(平地のそれの54%), S面とN面で最小(同23, 7%)を示す一種のカルジオイド型を呈し, 12月16日では太陽高度が低いので, 多くの方位で平地の値を上回り, S面ではそれが68%増となった。
2) 実測の日射量では, 直達理論日射量に比較して, 日出・日没時ごろの様相がかなり異なり, いずれの壁面においてもその日変化曲線は, 正弦波的であった。方位別の日総量は, 8月5日の場合, S面とN面では平地の36%と19%, W面とE面は約40%を示し, 方位別の差は直達理論日射量の場合より小さかった。しかし, 12月16日では, 多くの壁面の各方位での受光量が平地の値を上回った。
3) 純放射量の日変化(12月16日)では, いずれの区もポットのS面と中央部(土壌表面)は正午ごろ, W面は14時ごろ, E面は10時ごろにそれぞれ最高値を示した。しかし, N面では放射が小さく, 日変化ははっきりみられなかった。S, W, E面ともに日中は黒塗区が最も大きく, S面では12時にそれが無処理区の65%増となった。しかし, アルミ蒸着区ではそれが最も低く, 黒塗区の約半分にすぎなかった。
4) ポット内土壌の熱交換量の較差は, 水平方向の場合, 方位性はほとんどみられなかった。しかし, 鉛直方向の場合は方位性がかなりみられ, S壁面に近いほど大きく, しかもこの傾向は8月より12月に顕著であり, 季節性も若干認められた。
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