2001年10月~2002年10月の積雪期を除いて毎月,北海道の落葉広葉樹林とカラマツ林において,リタートラップやリターバッグを用いずに,自然条件の林床から直接リーフリターを採取した。分解の初期段階(最初の一年間)における微生物呼吸によるリターのCO
2発生の季節変化や環境依存性を調べるために,採取したリターのCO
2発生速度を,異なる温度および含水率の条件で,チャンバー法を用いて実験室で測定した。リターの分解速度を意味する単位乾物重あたりのCO
2発生速度(
Pdw)は季節変化を示した。
Pdwの季節変化は温度やリターの種類によって少し異なったが,いずれの場合も
Pdwは6月に最低になった。
Q10で表される
Pdwの感温性には明瞭な季節変化がみられなかったが,
Pdwの含水率に対する感受性(感湿性)には,落葉広葉樹およびカラマツのリターの両方で季節変化が認められた。
Pdwの感湿性は,落葉からの時間とともに低下し,夏期に最低となった。落葉広葉樹のリターにおける
Pdwの季節変化は,C:N比で代表されるリターの化学特性で一部説明できた。しかしカラマツのリターでは,夏から秋にかけて少しずつ供給される新鮮なリターフォールの影響を受けたため,C:N比と
Pdwの関係は複雑であった。なお,
Pdwの感温性(
Q10)および
Pdwの感湿性は,両者ともにC:N比と同様の季節変化を示した。このことは,リーフリターの分解過程の初期段階における化学特性の重要性を示しているとともに,化学特性の指標としてC:N比が有効なことを示唆している。
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