昭和24年の4~10月に亘る7カ月間, 青森縣内の18觀測地點における毎日午前10時の氣温と風向とを整理して, 各月別の4方位風向別氣温即ち風温を求め, その平均値に對する4方位の風温偏差を考察した結果, 次のよ5な風温特性が認められた。
偏東風温は盛夏の6, 7, 8月において4方位風温中最も低温を示すから, 盛夏低温風ともいうことが出來よう。春秋の候には偏差0℃附近にまで上昇して偏北風よりも暖いことが認められた。
偏北風温は盛夏の3カ月間, 偏東風に次いで低温を示すが, 春秋の候には偏東風よりも却つて低温であるから, この風は常時低温風とも解される。その風温偏差は7カ月平均値においても, また
sにおいても共に, 4方位風温中最低又は最小を示している。
偏西風温は盛夏の3カ月間だげ4方位風温中の最高を示すが, 春秋には0℃附近まで低下するから, 盛夏高温風とも解される。しかしその高温偏差は偏東風の低温偏差ほどに著しくはない。
偏南風温は盛夏の3カ月間, 偏西風温に殆ど接近して高温を示すのみでなく, 春秋にも比較的高温であるから常時高温風ともいえよう。その風温偏差7カ月間の
xは4方位風温中の最高を示し,
sは偏北風温に次いで小さい。
これら4方位風温偏差間の
rを求めた結果, 相對する東:西風温又は南:北風温の間には-0.98の
rで0.1%水準の有意差をもつ殆ど1直線状の高い相關々係が認められたが, 隣接風の東:北, 東:南, 西:北, 西:南の間には5%水準でも有意の
rは認められなかつた。
偏南 (北) 風温が常時高 (低) いのは, この資料を取材した觀測地18點がN41°附近に位置しているための, 北半球中緯度地帶の一般的特性によるものと考えられ, 偏東 (西) 風温が盛夏に低 (高) いのは, 東高西低の夏型氣壓配置に影響される結果によるものと考えられる。從つて冬季には逆に偏東 (西) 風が高 (低) くなるべぎことが豫想され, 兩季の轉換期に當る春秋の候には各々移行して偏差℃附近に位置するという結果になつたものと推定される。
抄録全体を表示