中国南京近郊にあるHeshangdun遺跡で採取されたレス・古土壌層の元素および鉱物組成変化をレスの堆積・古土壌の生成過程と対応づけて考察した。
Fe, Al, Li, Cr, V, Sc, Cu, Znは風化・土壌化の進行により濃集する。Ca, Na, Srは風化されやすい斜長石の強度と類似した各層の変化をしているため、風化の指標となる。Mg, K, Ba, YはK長石や粘土鉱物に含まれるため、古土壌層の上部で低い。Ti, Zrは風化に強い鉱物に含まれ、溶解・溶脱しない。Si濃度の高い層では石英のピークが強く検出された。Pは表層では現在の環境が影響したと考えられる。Mnは試料中にMnノジュールと見られる黒い粒子が観察された層で濃度が高くなる。
レス・古土壌層の風化の指標と元素・鉱物組成の変化から、氷期にレスが堆積し、その後温暖湿潤な間氷期に表層から風化・土壌化が進行し、序々に寒冷化、再び氷期となって、レスの供給が多くなり、レス層が形成したことが確認された。
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