地理学評論
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76 巻, 1 号
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  • 熊谷市におけるソメイヨシノ開花日を例として
    松本 太, 福岡 義隆
    2003 年 76 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    ソメイヨシノPrunus yedoensisの開花日に及ぼす都市の温暖化の影響にっいての研究は時系列的にみた研究が多く,水平的な都市の気温分布と開花日の観測を向一の都市において同時期に行った研究はほとんどみられない.そこで春の都市気候とソメイヨシノの開花日との関係を埼玉県熊谷市において調査した.その結果,熊谷市におけるヒートアイランドは市街地の地上構成物質の熱的性質(1/cρ√κの値)と密接に関係していることが明らかとなった.そして,ソメイヨシノの開花日の局地差は都市の気温分布とよい対応を示しており,ヒートアイランドが開花現象に影響を与えていることが明らかとなった.よって,ソメイヨシノの開花日は都市の温暖化などの気候環境を表す指標として有効であると結論された.また,観測から得た熊谷市における気温分布と開花日との〔空間的な関係〕を熊谷地方気象台における気温と開花日との〔経年的な関係〕に置き換えて評価することも可能であった.
  • 佐野 静代
    2003 年 76 巻 1 号 p. 19-43
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,歴史地理学的手法による環境問題研究の可能性を再検討することを目的とし,琵琶湖沿岸域の淡水性潟湖である入江内湖を対象に,主に近世以降の景観を分析することから地域住民の生業活動と内湖の環境変化を論じることを試みた.内湖の生態的条件に応じて形成された環境利用システムの実態を,近世以来の文書・絵図資料から検証し,人間を含めた生態系としての水陸漸移帯の全体像と,その崩壊メカニズムを解明した.
    入江内湖の生態的環境とその伝統的環境利用システムの崩壊は,昭和初期の水位低下に伴う生物資源の減少と,同時期に生起した農・漁複合生業形態から専業的活動への生業変化を契機としていたことが明らかになった.漁携・藻取り・ヨシ刈りなど多様な価値を含んでいた内湖=水陸漸移帯の「空間の多義性」が捨象され,「農地への転換可能地」という単一の価値観へと収斂されていったことが,干拓促進の要因となったことを指摘した.
  • 有留 順子, 石川 義孝
    2003 年 76 巻 1 号 p. 44-55
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,東京大都市圏の事例企業を対象に,テレワークの代表的な形態である分散型オフィスでの業務内容とオフィス立地の特色を明らかにした.データは,主に企業のテレワーク推進者への聞取り調査から得た.情報・通信技術の進展により,分散型オフィスでは,文書作成など個人単位の業務がより効率化されただけでなく,従来は対面接触が不可欠であった会議などのグループ単位での業務形態も変わりつつある.分散型オフィスは,東京大都市圏の南西部,都心から約30kmの圏内に多く立地している.調査事例では,分散型オフィスへ勤務地を変更した就業者は,全般的に通勤時間を大幅に短縮していた.
  • 2003 年 76 巻 1 号 p. 56-58,i_2
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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