地理学評論
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77 巻, 6 号
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  • 成田 健一, 三上 岳彦, 菅原 広史, 本條 毅, 木村 圭司, 桑田 直也
    2004 年 77 巻 6 号 p. 403-420_1
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    新宿御苑を対象に夜間の冷気の「にじみ出し現象」の把握を主眼とした微気象観測を夏季約7日間連続して行った.緑地の境界に多数の超音波風速温度計を配置し,気流の直接測定から「にじみ出し現象」の把握を試みた.その結果,晴天かつ静穏な夜間,全地点でほぼ同時に緑地から流出する方向への風向の変化と約1°Cの急激な気温低下が観測された.にじみ出しの平均風速は0.1~0.3 m/sで,にじみ出し出現時にはクールアイランド強度が大きくなる.このときの気温断面分布には流出した冷気の先端に明確なクリフが現れ,その位置は緑地境界から80~90 mであった.このような夜間の冷気の生成に寄与しているのは樹林地よりも芝生面で,芝生面は表面温度も樹冠より低い.芝生面の顕熱流束は夜間負となるが,にじみ出し出現夜はほぼゼロとなる.すなわち,クールアイランド強度の大小と大気を冷却する効果の大小は,別のものと考えるのが妥当である.
  • 武者 忠彦
    2004 年 77 巻 6 号 p. 421-440
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,地方都市の宅地開発政策にみられる農協の主体的な役割を,政策過程分析の枠組を援用して明らかにしている.事例とした長野県松本市における宅地開発の政策過程は,次のように再構成される.(1)1980年代初め,無秩序な開発による財政需要の増大と,開発を抑制することによる隣接市町村への人口流出という相反する問題に直面していた松本市では,市街化区域拡大によって周縁部の農地を開発し,人口を定着させることが行政課題として正当化された.(2)一方,当初は市街化区域拡大に反対であった農家の立場も徐々に変化してきたことから,行政は農家の利益団体である農協との協働によって「地域開発研究会」を設立し,区画整理事業を推進するという政策を選択した.(3)行政にとっては事業の合意形成などにおける農協の主体的役割は不可欠であり,農協にとっても市街化区域拡大による事業は組合員の農外所得創出,資金運用や不動産取引に関する利益があった.このような,両者の利益の接点となる政策実現のため,農協の主体的な役割は地域開発研究会によって制度的に維持されていた.
  • 佐川 正人
    2004 年 77 巻 6 号 p. 441-459
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    北海道の寿都地方では,例年5月から7月頃にかけて南ないし南東寄りの「寿都のだし風」,「寿都だし」などと呼称される局地的な強風が吹走する.本研究ではこの期間に合わせ,強風の吹走が予想される地域に風向・風速計を設置して数ヵ月間気象観測を行い観測値を解析した.また併行して寿都測候所の資料を基に数年間の風の吹走傾向についても,天気図型に区分するなどして総観気候学的解析を試みた.その結果,寿都地方の強風吹走時には,白炭~南作開(狭窄部)を境として風の吹走傾向の異なることが判明し,加えて,北作開(開放部中央)の風速が7ms-1前後を境に樽岸(開放部東)における風速の現れ方に違いのあることが認められた.また,北作開の風速の増大に対し,樽岸の風速の増大が大きくなる場合には,オホーツク海高気圧型に限られることが明らかになった.
  • 2004 年 77 巻 6 号 p. 460-462,i
    発行日: 2004/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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