地理学評論
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78 巻, 4 号
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  • 山本 俊一郎
    2005 年 78 巻 4 号 p. 179-201
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,東京都台東区の靴産地で実施されている産業支援事業「アルティベリー」に着目し,当靴産地における新たなネットワークの形成が高付加価値生産体制に及ぼす影響について明らかにした.その結果,当事業は地域の「産」,「官」,「学」を結び付ける触媒としての機能を果たしており,そこでの新たなネットワークの形成が他産地に対するさまざまな競争優位を生み出していることが明らかとなった.当事業には問題点も山積しているが,当事業を通じた「コンペティションの開催」や「地域ブランドの創出」によって,デザインや技能の向上はもちろん,生産から販売を含め業種の枠組を越えた協力体制の構築が進んでいる.さらに,「ものづくり」に対する意識変化から,若者の製靴関連専門学校への志願者が増加傾向にあり,若者の有するセンスやデザインが当事業を通じて高齢優良技能者の有する技術と融合し得る環境が生まれつつある.
  • 大塚 俊幸
    2005 年 78 巻 4 号 p. 202-227
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,愛知県豊橋市において実施した各種アンケート調査やマンション供給業者への聞取り調査の結果を分析し,居住者側と供給者側の両面から中規模都市における中心市街地居住の実態を明らかにした.豊橋市では,戸建志向が強く,これまでマンション供給量が少なかった.しかし,2001年頃から中心市街地およびその周辺部でマンション供給が活発化している.その背景には,マンション供給業者の経営戦略,建設用地の供給,地価の下落と補助金の投入といった要因がある.一方,中心市街地居住を志向する世帯は少ないながらも存在し,受皿となるマンションの供給次第では,豊橋市のような中規模都市においても中心市街地居住が顕在化するものと考えられる.中心市街地の居住世帯は,居住地選好に際して居住環境の「快適性」よりも都市的利便施設への「近接性」を重視している.しかし,中心市街地居住が顕在化するためには,住宅の広さや駐車場の完備といった住宅自体の「居住性」の高さが不可欠である.
  • 長崎県を事例にして
    阿部 康久, 高木 彰彦
    2005 年 78 巻 4 号 p. 228-242
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    衆議院への新選挙制度の導入によって,個人後援会に代表される国会議員の政治組織が,空間的にどのような変容を遂げつつあるのかを長崎県を事例として検討した.並立制導入以降も,議員の多くは,新選挙区から外れた地区においても政治活動を行い,中選挙区時代の後援会組織を,基本的には維持している.その要因として,選挙区外の支持者であっても,選挙の際には支援を受けられるという点があるが,中選挙区時代の区割りが,現在でも議員や後援者の意識に,強い影響力を有しているという側面も指摘できる.これに対して,現在の選挙区が,交通アクセスが悪い諸地域から成り立っているところでは,中選挙区時代の後援会組織を維持することに消極的である.また,衆院から参院議員や知事に鞍替えした議員は,広大な選挙区をカバーする後援会組織を作ることが難しく,その空間的範囲は,衆院時代のものに限定されている.党派別に見ると,与党系の議員は,自前の後援会組織だけでなく,党所属の地方議員や支持団体からも支援を受けられるのに対して,保守系野党議員は,このような支援を受けにくく,従来の後援会組織に集票活動を依存する傾向が強くなっている.
  • 2005 年 78 巻 4 号 p. 243-246,i_1
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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