本研究では,企業城下町相生市を事例に,企業合理化に伴う中心商業地の変容を明らかにするため,店舗交替の経年的変化と非商店の実態から非商店化の過程と要因を解明した.相生市では合理化以降,商業の衰退が深刻である.中心商業地は,企業が設置した売店組合を基盤に,戦後企業の発展とともに成長したが,近年では人口や歩行者通行量が著しく減少し,非商店化している.バブル崩壊以前は店舗交替が進展していたが,崩壊後は新規出店が少なく,店舗閉鎖が非商店化につながっている.中には住民の存在,所有者の意向により店舗交替を阻害している区画も含まれるが,賃貸可能性のある空き店舗も多い.これらから,合理化により衰退しつつあった中心商業地において,バブル崩壊以降,新規参入需要が低下したことが非商店化の主たる要因であるといえる.したがって,企業城下町の中心商業地における非商店化は,最盛期の規模・エリアの縮小を示している.
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