本稿では, 山口県岩国地域の高校生を対象とし, アレルギー性鼻炎有病率の地域差を, 居住地―通学先関係から分析した. 分析資料としては, 耳鼻科検診時の問診・視診結果を利用した. ロジスティック回帰分析による結果, アレルギー性鼻炎所見の有無に対して, 通学パターン, ぜん息の既往症, 家庭内の受動喫煙が影響を与えていることが明らかになった. アレルギー性鼻炎有病率の地域差については, 高校生の居住地を基準としてはみられなかったが, 高校生の通学先を基準とした場合には, 市部の高校への通学生は郡部の高校への通学生に比べ有病率が有意に高かった. この結果から, 市部の高校への通学生は, 日中の生活時間の多くを費やす高等学校周辺の地域において, アレルギー性鼻炎にかかるリスク要因となる環境に人体が暴露されている可能性が示唆された.
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