松本盆地南部や伊那盆地北部に発達する南風は,総観スケールの気圧傾度が北東方向に低い場合と,北西方向に低い場合に発達する.前者をNE型,後者をNW型として,二つのタイプの気流に対する地形の影響をスコラー数(
l)を用い検討した.NE型は冬季に多く,冬型や二つ玉低気圧で発現し, NW型は暖候期に多く,前線型,日本海低気圧型,移動性高気圧型などで発現する.両タイプの850hPaの風向は250°,
lは0.81km
-1を境界とし, NE型では風向は北よりで
lはより小さく, NW型では南よりで
lはより大きな値となって,NE型では山越え気流, NW型では迂回流の性質が強くなると考えられる.それぞれのタイプの850hPaの風と地上の風速,局地的気圧傾度,温位差などとの相関分析を行った. NE型では,局地的気圧傾度や温位差等と高い相関を持って山越え気流の特徴を,NW型では,局地的気圧傾度等と相関を持つが温位差との相関は低く迂回流の特徴を示した.
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