本稿は,都市における人口密度分布から,その構造的特徴を抽出し,この特徴に基づき,都市人口分布構造を分析する方法を提案する.また,この方法を,日本における中規模都市の人口データに対して適用し,その結果について論じる.都市内人口分布を分析する方法については,従来より,いくつもの方法が提案されてきた.その代表的な方法は,人口密度が都心からの距離に応じて,指数関数的に減少するものとしてモデル化する方法がある.また,人口密度分布が張るサーフェスを多項式近似するという方法もしばしば用いられる.しかしながら,これらの方法は,そこで仮定されている量的関係からの逸脱やデータの歪みに十分対応し得ないという問題点がある.これらの方法に対し,ある程度の歪みに不変な人口密度分布の位相的特徴を用いた分析方法も提案されている.本稿では,従来提案されてきた位相的分析方法を拡張することによって,都市人口分布構造の類型化を行う方法,および,2都市間の構造的類似性を測る方法の提案を行う.また,これを人口規模30万前後の20都市に適用し,その結果得られた知見について述ベる.
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