地理学評論
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79 巻, 6 号
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  • 縄文時代晩期の三浦半島古逗子湾奥海岸を例として
    江口 誠一
    2006 年 79 巻 6 号 p. 309-321
    発行日: 2006/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    植物珪酸体化石群の組成とその産出量によって,過去の砂浜海岸地域の植生と地形を空間的に復原するための方法論を提案し,縄文時代晩期の三浦半島古逗子湾奥海岸の堆積物についてそれを適用した.国内6地域において現生海岸植物6種の被度と表層堆積物中の植物珪酸体分布を対応させ,分類した8微地形区ごとにそれらの最高拡散量を平均値化した.その数値と植物珪酸体化石各型の産出量の対比によって推定された母植物生育域と堆積域を,成帯構造を呈する植生と地形に置換して空間的に復原した.古逗子湾奥海岸において約2800年前に海退傾向であったが,以降少なくとも約150年後まで一時期海進傾向に転じたことが指摘できた.
  • 東京都区部を例として
    松本 太, 三上 岳彦, 福岡 義隆
    2006 年 79 巻 6 号 p. 322-334
    発行日: 2006/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では東京都区部において2004年春のソメイヨシノの開花日を調査し,気温分布との関係を考察した.その結果,開花日の分布は2004年3月の平均気温の分布とよい対応を示しており,都心部の高温域で開花が早く,郊外部の低温域で遅い傾向がみられた.よって,ヒ-トアイランド現象が開花日に影響を与えていることが明らかとなった。また,開花日と3月の平均気温との関係は,温度変換日数(積算気温のモデル)を用いて,開花日に至るプロセスを評価することによって裏付けられた.各観測地点における開花日から2004年3月の平均気温を推定し,その精度を実測値との比較により評価した.その結果,推定値と実測値との誤差はほとんどの地点で±0.3°C以内で,二乗平均平方根誤差(RMSE)は0.2°Cであった.よって開花日がヒ-トアイランドなどロ-カルスケ-ルの気候環境を表す指標となり得ると考えられる.
  • 愛知県知多半島中部の事例
    富田 啓介
    2006 年 79 巻 6 号 p. 335-346
    発行日: 2006/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    都市近郊のため池密集地域である愛知県知多半島中部を事例にして,1998年から2002年の期間におけるため池の減少率を,それぞれのため池周辺に卓越する土地利用別に検討した.調査の結果,ため池は,圃場整備の行われていない農地や,農地に宅地が無秩序に進出しているような用途混在地に多く分布していた.そこでは受益面積のない貯水量の小さいため池が多くを占め,減少率が高かった.一方で,宅地や圃場整備の行われた農地ではため池の分布数は少なかった.そこに存在するため池は,受益面積が比較的保持され,貯水量が相対的に大きいという特徴を持ち,減少率は低かった.以上のことから,土地造成が行われていない地域において,利用価値の低下を理由として小規模なため池が放棄され消滅が進んでいること,宅地や農地のための土地造成が行われている地域においては,利用価値のある大規模なため池が選択的に残されていることが確認された.
  • 2006 年 79 巻 6 号 p. 347-353,i
    発行日: 2006/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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