地理学評論
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79 巻, 2 号
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  • 斎藤 功
    2006 年 79 巻 2 号 p. 53-81
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    ロサンゼルスの近郊酪農は都市の拡大とともに,南東部のアルテジア地域に集中し,1940年頃には搾乳型専業酪農drylot dairyが確立した.酪農家はこのアルテジア地域からチノバレーへ,さらにチノバレーからサンホワキンバレーへという3段階の立地移動を繰り返した.この延長線上に北部諸州やハイプレーンズへの立地移動がある.本稿は3段階にわたる酪農家の立地移動の実態と要因を解明し,その民族的背景を探ったものである.1960年代のアルテジア地域からチノバレーへの立地移動で,搾乳型専業酪農の規模は2倍の700頭に拡大した.1980年代,特に1990年代にチノバレーからサンホワキンバレーに移転した酪農場は搾乳規模が2,000~3,000頭になる大規模な工業型酪農に変身した.その際,兄弟や息子が独立する複数移動や連鎖移動が存在した.サンホワキンバレーでは移動時期と酪農規模に明確な差があるので,チノバレーの30年間が規模拡大のゆりかごになった.また,大規模酪農家の転入によりオランダ系酪農家がポルトガル系酪農家と肩を並べるまでになった.さらに,チノバレーなどから北部諸州やハイプレーンズに移転した大規模酪農家は,そこでも悪臭などの大気汚染や硝酸塩濃度の上昇という環境汚染を引き起こしつつあり,集団畜産肥育経営(CAFO)をめぐる規制が強化されつつある.
  • 森田 匡俊, 奥貫 圭一
    2006 年 79 巻 2 号 p. 82-96
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    境界効果とは,分析対象とする地域境界の定め方が分析結果に与える影響のことであり,いくつかの問題がある.本稿では,そのうち特に,地域境界によって定まろ対象地域の大きさが分析結果に与える影響に焦点を当てて検討を行う.境界効果の既存研究では,平面上でのK関数法の実践における境界効果は扱われているものの,ネットワ-クK関数法の実践における境界効果は,いまだ検討されていない.そのためネットワ-クK関数法の実践には,境界効果によって分析結果から誤った解釈を行ってしまう危険がある.本稿では,まずネットワ-クK関数値の振る舞いを一直線上のモデルとして構築し検討した.次に愛知県日進市の道路ネットワ-クとコンビニエンスストアの立地点分布を利用して,一般のネットワ-ク上のネットワ-クK関数値の振る舞いと境界効果の関係式を導出した.
  • 伊藤 慎悟
    2006 年 79 巻 2 号 p. 97-110
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,横浜市において1960年代後半に開発された住宅団地を対象とし,人口高齢化に差異が生じるかを検証した.その結果として,1975年という開発間もない時期に,すでに年齢構成に差異がみられた.そこで本研究は,住宅形態ごとに四つに類型化し,高齢化の進展状況を比較した.1975年は持家率の高さが居住者の年齢や,その偏りに影響を及ぼすことが判明した.しかし,1985年になると持家率にかかわらず公団・公社の共同住宅において居住者がかなり入れ替わり,居住者年齢の偏りは大幅に緩和された.一方,公営の借家住宅ではこの偏りがあまり緩和されず,中高年層の転入もあって急激に高齢化が進展した.戸建て住宅も同様に高齢化の進展が著しく,公営の借家住宅と戸建て住宅の中には,2000年時点で,高齢人口比率が30%を超えた地区も出ている.
  • 2006 年 79 巻 2 号 p. i-iv_2
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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