私たちが道路ネットワークデータを取り扱うとき, 高速道路や国道などの主要道路のみを整備したもの, 主要道路に県道や市道を含めて整備したものといった具合に, 同じ地域でも詳しさの違うデータがある場合が多い. 詳しさが違うと, 道路ネットワークの総延長距離が異なったり, 道路ネットワーク上の任意の2点間の最短経路が異なったりする. 本稿では, このネットワークの詳しさを詳細度と呼び, その違いが空間分析に与える影響を考えた. 具体的には, 空間分析法の中でもネットワーク
K関数法を取り上げ, ネットワークの詳細度によってその分析結果が異なってしまう問題を検討した. まず, ネットワーク
K関数値の振る舞いを放射ネットワークについてモデル化して, ネットワークの詳細度との関係を検討した. 次いで, 実際の道路ネットワークを利用して, ネットワーク
K関数値の振る舞いとネットワークの詳細度との関係を明らかにした. その結果, ネットワーク
K関数値にはネットワークの詳細度によらない下限値のあることがわかり, その下限値を利用すればネットワークの詳細度によらず分析結果を一意に解釈できる場合のあることがわかった.
抄録全体を表示