犬の汎発性毛包虫症は難治例が多く,発症には何らかの基礎疾患が関係していると考えられている。今回,汎発性毛包虫症と診断された成犬15例の併発症について検討したところ,10例(66.7%)で併発症がみられた。そのうち5例は併発症としてクッシング症候群,慢性リンパ球性白血病,血管肉腫を有し,免疫不全も予想された。全例をイベルメクチン(600
μg/kg,1日1回経口投与)あるいは0.05%アミトラズ浴,週1回で治療したところ,併発症がみられた10例中7例は難治,一方,併発症の認められなかった5例は,すべて改善した。併発症を有する汎発性毛包虫症は,併発症のない症例に比べ,難治性であることが明らかにされた。
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