日本神経回路学会誌
Online ISSN : 1883-0455
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24 巻 , 3 号
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巻頭言
解説
  • 木村 聡貴, 三上 弾
    2017 年 24 巻 3 号 p. 109-115
    発行日: 2017/09/05
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー
    一流の打者がどのように打撃を制御しているのかについてはよく分かっていない.そこには二つの課題があると思われる.行動計測と条件統制の難しさである.筆者らはこれらの問題を解決する方法としてバーチャルリアリティ(VR)技術に注目している.VR技術を導入することにより,高い臨場感がありながら統制された条件下で打者の行動を計測でき,打撃パフォーマンスの理解につながると期待される.本稿では,リアリティのある打者体験を実現するためのVR技術とその指針について概観するとともに,筆者らが開発している打者用VRシステム,およびそれを用いた計測事例について紹介する.
  • 進矢 正宏
    2017 年 24 巻 3 号 p. 116-123
    発行日: 2017/09/05
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー
    一定のターゲットを狙って投球した場合,感覚運動系のノイズや運動野の背景活動の揺らぎにより,実際の投球は狙ったターゲットからの誤差を伴い分布する.運動系が最適な運動意思決定を行うためには,誤差の大きさや向きといった確率的構造を定量的に知る必要がある.本研究では,野球の投手の投球する際に生じる投球誤差分布を,二次元正規分布モデルと等確率楕円を用いて解析することにより定量した.特に,これまで考慮に入れられていなかった投球誤差分布の向きに着目し,それが投球フォームによって決定されているということを示した.また,このような投球誤差分布が,最適な投球位置を選ぶ過程で大きなインパクトを持つということを,シミュレーションによって示した.
  • 井尻 哲也, 中澤 公孝
    2017 年 24 巻 3 号 p. 124-131
    発行日: 2017/09/05
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー
    近年,北海道日本ハムファイターズの大谷投手やレンジャーズのダルビッシュ有投手に代表されるように,一部のプロ野球投手は初速160km/h 程の速球を投げるようになった.この場合,投じたボールは打者の打撃点まで0.4秒未満で到達する.バットスイングに要する時間や,ヒトが外界の視覚情報を認識してから動作を開始するまでに要する時間を考量すると,複雑な意思決定をする時間は到底ないように思われる.しかしそのような状況下においても,プロ野球の打者は速球と変化球に対応したり,ボール球を見逃したりといった応答を(確率は高くないにせよ)実現することができる.どのようなメカニズムがこのようなパフォーマンスを下支えしているのかを理解することにより,打撃トレーニングの在り方が大きく変わる可能性がある.本解説では,野球の打撃に代表される素早い打撃動作におけるタイミング制御に注目し,タイミング制御の正確性を高めるための要因について議論する.
  • 那須 大毅
    2017 年 24 巻 3 号 p. 132-137
    発行日: 2017/09/05
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー
    野球では,投手がボールをリリースしてからわずか400ms程度で打者の手元に到達する.打者は,この極めて短い時間内にボールの球種やコースを判断し,その軌道に応じて時空間的に高い精度で打撃しなければならない.本稿では,実戦形式の投手-打者対戦における打者の運動を計測した結果を例に,バッティングの時間構造について解説する.打者は,ストレートとチェンジアップという球速の異なる球種がランダムに投じられた時,ボールリリース後約300msまではほぼ同じ挙動を示すが,その後の身体重心(腰部)の沈み込みの長さを調整することで遅い球に対応していた.
  • 瀧山 健, 古木 大裕
    2017 年 24 巻 3 号 p. 138-146
    発行日: 2017/09/05
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー
    野球における投球動作を始めとして,目標の結果を達成するための身体運動(目標指向型の運動)はスポーツ,芸術,日常生活の様々な場面における基礎要素である.しかしながら,目標指向型の全身運動の特性は未だ十分明らかにされていない.なぜならば,全身運動に内在する3つの特性(1. 多数の身体部位の時系列が関わる高次元性,2. 動力学が非線形である非線形性,3. 一つの運動を達成するための運動パターンは無数に存在する冗長性)が全身運動データの解析を困難にしており,どのように我々が理想的な全身運動パフォーマンスを達成しているか十分に検証されていないためである.目標指向型の全身運動の特性を明らかにするための第1歩目として,本研究では各運動要素(各運動時刻における各身体部位の動作)の運動パフォーマンスへの関連度をデータ駆動型に定量化する手法を提案する.特に,全身運動に内在する高次元性,非線形性を利用することで,線形回帰手法により各運動要素の運動パフォーマンスへの関連度を定量化できる可能性を示す.
会報
編集後記
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