原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
23 巻 , 1 号
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研究論文
  • 飯田 芳久, バール ローガン, 山口 徹治, 邉見 光
    2016 年 23 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2016/06/01
    公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物処分の安全評価において,Th-229は重要核種の一つである.モンモリロナイトおよびイライトを対象としたThのバッチ収着試験を,pHおよび炭酸濃度をパラメータとして実施した.モンモリロナイトに対する分配係数はイライトに比べ高い値を示した.分配係数は炭酸濃度の上昇に伴い減少し,pH 10付近で極小値を示した.
     Thの収着挙動を,静電項を考慮しない表面錯体モデル(NEM)により解析した.モデル計算は実験結果をよく説明し,分配係数の減少は、Thの水酸化炭酸錯体形成による溶存種の安定化によるものであることが示唆された.
  • 西尾 和久, 大澤 英昭
    2016 年 23 巻 1 号 p. 9-24
    発行日: 2016/06/01
    公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
     日本原子力研究開発機構では,これまで20年にわたり,高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の基盤研究開発を行う深地層の研究施設の1つとして超深地層研究所計画を進めてきた.本計画を1995年に公表した当時,地域社会において本計画が高レベル放射性廃棄物の地層処分施設の設置につながるのではないかとの不信感や懸念が生じたため,原子力機構は,地域社会との共生に向けた活動を行った.本稿では,原子力機構が本計画において実施した地域社会との共生に向けた活動を,NIMBY的施設の立地選定プロセスの社会心理学的な評価フレームとして取り上げられている手続き的公平さと分配的公平さの2つの視点で規範的に分析した.その結果は,手続き的公正さという観点では代表的な市民の参加を得た地域パートナーシップの早期の構築が重要であること,そしてその場において分配的公正さなどを熟慮するために,情報提供や財政的な支援で支えていくことが重要であることを示唆した.
技術報告
  • 中山 雅, 丹生屋 純夫, 南出 賢司
    2016 年 23 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2016/06/01
    公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
     高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において,坑道の空洞安定性確保や周辺岩盤のゆるみ領域の抑制,掘削に伴う湧水量の抑制のため,セメント系材料を用いた吹付けコンクリートやグラウトが検討されている.これらの材料の影響で坑道周辺の地下水のpHが高アルカリ化することにより,緩衝材を構成するベントナイトや周辺の岩盤を変質させ,人工バリアおよび天然バリアとしての性能に影響を与えることが懸念されている.このような影響を低減するために,国立研究開発法人日本原子力研究開発機構では,普通ポルトランドセメントにポゾラン材料を混合した低アルカリ性セメント(以下,HFSC)を開発し,化学的特性,機械的特性,施工性などについて検討を実施してきた.本報告では,HFSCを吹付けコンクリートとして,幌延深地層研究センター地下施設の深度350m調査坑道の施工に適用し,施工性について確認した.その結果,HFSCが現地のプラントを用いて製造可能であること,地下施設の設計基準強度を上回る強度発現が可能であること,および地下施設の通常の施工に使用されているセメント系材料と同等の施工性を有することが確認され,HFSCの地下坑道への適用性が確認された.
総説
  • 長田 正信, 近沢 孝弘, 赤堀 邦晃, 北村 暁, 舘 幸男
    2016 年 23 巻 1 号 p. 31-54
    発行日: 2016/06/01
    公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
     わが国では,使用済燃料の全量を再処理し,そこで発生する高レベル放射性廃液のガラス固化体を深地層中へ埋設することとしている.一方で,将来のエネルギー情勢の変化に柔軟に対応するため,代替処分オプションのひとつとして使用済燃料を直接地層中に埋設処分する手法(以下,直接処分)についても技術的成立性を検討している.直接処分の安全性を評価するためには,処分後のある時期に閉じ込め機能が喪失した際に,使用済燃料から地下環境中へ放出される核種の種類や放出量等(総称してソースタームという)を設定する必要がある.とくに,閉じ込め機能喪失後に速やかに放出される成分の割合(以下,瞬時放出率(IRF))は,直接処分の安全評価に大きな影響を与える可能性がある.しかしながら,IRFを設定するための詳細な検討は国内では未実施である.このことを受け,わが国における直接処分の安全評価に資することを目的として,直接処分を計画している諸外国の安全評価報告書におけるIRFの評価事例を調査した.諸外国における安全評価の内容を比較した結果,引用する試験データは各国でほぼ同様であったが,最終的なソースターム設定は,各国の事情(炉型や想定燃焼度等)を加味した結果として各国間で違いがみられた.また,設定値が含む不確実性の表現も各国で異なり,推奨値に加え悲観的値を設けるケースや,中央値と標準偏差を与えるケース等の違いがみられた.本調査内容は,わが国における代替処分オプションのひとつとしての直接処分の安全評価のための基盤情報として有効である.
  • 北村 暁, 近沢 孝弘, 赤堀 邦晃, 舘 幸男
    2016 年 23 巻 1 号 p. 55-72
    発行日: 2016/06/01
    公開日: 2016/07/14
    ジャーナル フリー
     わが国では,従前の高レベル放射性廃棄物の地層処分に加えて,使用済燃料を直接深地層中に処分する方策(以下,直接処分)など,代替処分オプションに関する調査・研究が開始されている.このことを受け,直接処分の安全評価に必要となるパラメータのうち,使用済燃料および構造材(ジルカロイ被覆管や制御棒など)の溶解速度の設定に資することを目的として,直接処分の安全評価を進めている欧米各国の設定値を一覧するとともに,設定根拠および不確実性評価について調査した.欧州各国については,設定に当たって欧州委員会主催のプロジェクトの成果を踏まえていることから,その内容についても概説した.溶解速度設定の根拠となる実測値については,各国とも共通して用いられているものが多く,得られた設定値についても類似しているものが多く見受けられた.また,不確実性については定量的な評価が難しいことから,各国とも保守的にパラメータを設定している様子が見受けられた.以上の内容は,わが国の代替処分オプションの検討としての直接処分の安全評価における溶解速度の設定の基盤情報として有効である.
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