日本小児看護学会誌
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19 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 小泉 麗
    原稿種別: 本文
    2010 年 19 巻 3 号 p. 1-8
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    4年以内に胃瘻を造設した重症心身障害児の母親11名を対象とし、重症心身障害児が胃瘻造設をする際の母親の意思決定過程を構造化し、意思決定過程における看護実践への示唆を得ることを目的に質的記述的研究を行った。意思決定過程の構造として、【迷いを断ち切っていく過程】に並行し、【体調安定への願いが高まっていく過程】【経鼻経管栄養に伴う苦痛からの解放への願いが高まっていく過程】が生じていたこと、その過程において母親は一貫して【決断の責任を負う覚悟】を抱いており【情報の獲得】をしていたこと、子どもが障害を負って間もない頃から【子どもにとって幸せな食事方法の模索】をしており、意思決定過程に影響を及ぼしていたことを明らかにした。看護実践への示唆として、母親の迷いに寄り添う姿勢が重要であること、子どもにとって最適な胃瘻造設のタイミングを母親とともに検討すること、情報提供システムの確立が求められていることが示された。
  • 山下 早苗
    原稿種別: 本文
    2010 年 19 巻 3 号 p. 9-17
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    研究目的は、Mishelの病気の不確かさ理論を基盤に、病名・病状説明を受けていない小児がんの子どもをもつ親が子どもへの病名・病状説明に対して抱く不確かさと、不確かさに及ぼす影響要因、不確かさの受けとめに対する親の対処を明らかにすることである。病名・病状説明を受けていない小児がんの子どもをもつ親47名と対照群43名を対象に質問紙調査を行った。親が抱く不確かさ因子は、「方法に関する明晰性の不足」「病気・病状や病名・病状説明の是非に関する情報の不足」「必要性の曖昧さ」であった。小児がんの子どもをもつ親は、対照群と比較すると、不確かさの得点が高く、子どもへの説明時期を先延ばしにする傾向があった。「方法に関する明晰性の不足」は親の責任回避的態度に、「必要性の曖昧さ」は子どもの発達段階や家族の凝集性に影響を受け、不確かさの受けとめに応じた有効な対処はとれていないことが示唆された。
  • 橋本 浩子
    原稿種別: 本文
    2010 年 19 巻 3 号 p. 18-24
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、小児のターミナルケアに携わる若手看護師への教育支接を検討するために、若手看護師が感じた困難の内容を明らかにすることである。小児のターミナルケアに携わる若手看護師3名と経験豊富な看護師5名、成人のターミナルケアに携わる若手看護師3名に半構成的面接を行った。その結果、小児のターミナルケアに携わる若手看護師の困難は、【予後不良の子どもをみる辛さ】【時間がない】というターミナルケアに携わる看護師に共通した内容に加えて、【どうしていいか分からない】【自信がなく不安】という若手看護師に共通した内容、さらに、【母親の存在に萎縮する】【ターミナルケアに携わる緊張】という小児の若手看護師のみに抽出された内容によって構成されていた。若手看護師に対しては、身体的・精神的援助における先輩看護師のモデリングと、不安や緊張を軽減できるように困難を感じた時に相談できる体制の必要性が示唆された。
  • 深谷 基裕, 西田 志穗, 伊藤 孝子, 西村 実希子, 松尾 美智子, 筒井 真優美, 山内 朋子, 長谷川 孝音, 江本 リナ, 中澤 ...
    原稿種別: 本文
    2010 年 19 巻 3 号 p. 25-31
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は小児看護に関するケースを事例検討会に提供した看護師が、レビュー後に臨床へどのようにフィードバックしたのかを明らかにすることを目的とした。ケースを提供したことのある看護師5名に半構成的面接を行い、面接内容を質的に分析した。その結果、次の5つのテーマが抽出された。【看護師間で感情を共有できるように促す】【発達段階を考慮してケース提供者が子どもの生活にかかわり、子どもの言動と自分の実践を一緒に看護記録に残すことで、子どもが力を発揮できるようなかかわりを周囲に伝える】【病棟内で「仲間」や「味方」を増やしてから新たなケアをカンファレンスに提案して実践する】【他の専門職の捉えた子どもの様子を看護に活かせるように他職種とのネットワークを作り、子どもの様子について意見交換をする】【当たり前のように実践している日常生活援助の大切さを伝えるために、スタッフが実践できていることを言葉にして伝える】臨床へのフィードバックには組織文化を考慮した方略が必要であり、レビューのなかで組織文化に合わせたフィードバックの方法についても検討する必要性が示唆された。
  • 甲斐 鈴恵
    原稿種別: 本文
    2010 年 19 巻 3 号 p. 32-38
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児看護学実習指導において、学生の認識および言動が看護者として変化・発展し、患児にもよい変化があったと思われる自己の指導場面を研究対象とし、そのときの指導者(研究者)の認識の特徴を明らかにすることで、学生の認識の発展を促す小児看護学実習指導の方向性を得ることを目的として本研究に取り組んだ。4事例21場面をプロセスレコードに再構成し、各場面から"指導者の認識の特徴"《指導の特徴》を抽出し、その共通性と相異性を比較検討し、小児看護学実習指導の方向性4項目を導き出した。この4つの方向性から、学生が目の前の子どもの状態をより鮮やかに描き、子どもの素直な反応を学生が受けとめ、子どものもてる力を学生が実感し、学生の実習体験から気づいたことを根拠をもって意味づけられると、さらに学生は心が動き、子どもへの関心が高まり、看護を実践しようと取り組むので、指導者は学生のその学びを丁寧に支えて導くことが重要だと再確認できた。
  • 神道 那実, 鈴木 弘美, 中垣 紀子
    原稿種別: 本文
    2010 年 19 巻 3 号 p. 39-45
    発行日: 2010/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、学校に通う障害のある子どもの現状と問題について当事者の立場から明らかにすることを目的として行った。学校に通う障害のある子どもの親を対象にし、2006年7〜12月に質問紙調査を行った。その結果、過去に起こった問題と現在の悩み・不安において、【教師の本人及び親への対応の問題・悩み】【教師間及び教師と親間の連携の問題・悩み】【学校の管理・指導体制の問題・悩み】【障害に起因する生活上の問題・悩み】という共通した4カテゴリーが抽出された。また、様々な問題の根底には教師の知識・理解不足があり、これらの問題を解決するためには立場の異なる親と教師の間に立つ専門的知識をもった第3者が必要である。障害のある子ども達の学校生活の質を向上させ、心身の健康を守っていくためには、養護教諭や医療機関の看護者が相談窓口となり、その存在を広く周知していくことが求められていると考えた。
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