日本小児看護学会誌
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21 巻, 3 号
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  • 白木 裕子
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 1-7
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、幼児をもつ保護者の食生活の現状と食育への取り組みの関連を明らかにし、家庭における食育への支援のあり方について検討することである。360名の幼稚園児の保護者を対象に質問紙調査を実施した(有効回答率57.5%)。保護者の87.0%が朝食を毎日摂取しており、42.9%がバランスの良い朝食を摂取していた。35.7%の保護者が食事を作る知識や技術は「ない/あまりない」と回答していた。保護者が毎日朝食を摂ること、朝食の栄養バランスが良いことは朝食における子どもとの共食や食育への取り組みとの間に有意な関連が見られた。また保護者の食事作りの知識・技術があることは、朝食摂取、朝食の栄養バランス、食育への取り組みのすべてにおいて有意な関連が見られた。家庭における食育への支援として、保護者自身の食生活への支援および、保護者の食事作りの知識・技術を高めていく支援の必要性が示唆された。
  • 中島 登美子
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 8-13
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、先天性健康障害をもつ子どもと家族に対する看護実践の課題を明らかにすることである。対象は新生児や乳児が入院する病棟の看護師および助産師であり、調査方法は質問紙法を用い、有効回収(率)109(41.60%)であった。結果は、基礎的看護実践能力の「生活支援」「精神的支援」「家族の希望の明確化」の3領域全てにおいて、〈実施〉は〈必要性〉よりも有意に低く(t=4.52〜15.75,p<0.000)、課題得点は、「精神的支援」7.66,「家族の希望の明確化」7.54,「生活支援」7.02,の順に高く、対象の所属別では、新生児集中治療室は小児病棟等より「家族の希望の明確化」の課題得点が有意に高かったことから(t=3.31,p<0.001)、家族に関わる実践能力の育成を検討する必要があるといえる。
  • 小代 仁美, 楢木野 裕美
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 14-21
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児看護学実習指導を行っている教員の視点から、小児看護学実習初期に学生の子どもとの関係に影響する要因を明らかにすることを目的とし、質的帰納的研究を行った。近畿圏の看護系大学で小児看護学実習指導担当教員8名を対象に半構成面接を行った。データ分析の結果、【子どもの姿】【親の存在】【実習生の立場】【小児看護に臨む姿勢】【医療者の存在】【教員の存在】【場の条件】【不安の先取り】の8カテゴリーを抽出した。教員は、学生の子どもとの関わりには、踏み出せる状態要因と足踏みする状態要因とがあり、踏み出せるか足踏みするかは【親の存在】が大きく影響していると考えていた。また、学生が子どもと積極的に関われるかどうかは教員自身も影響していると捉え、学生は《教員の評価を意識した過剰な構え》がある半面、《教員の助言》や《教員の助け》を求めており、教員や医療者からのモデル提示で子どもへの関わり方を学んでいると考えていた。
  • 森 浩美, 小口 初枝, 岡田 洋子
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 22-28
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、小児看護学実習において看護学生の受け持ち患者になった子どもに付き添う家族の認識や思いを明らかにすることである。受け持ち患者終了後の家族24名を対象に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。その結果、家族は学生の受け持ち患者になることへの心配や懸念を感じつつ、協力するのは当然という思いと子どもの成長や付き添い生活の支援など得られるものへの期待から承諾していた。そして、家族は学生の消極的な態度や不慣れな対応に戸惑いや心配を感じていた。しかし、家族は楽しむ子どもの姿や学生の子どもを思う接し方、自分自身も支援を受けられたことに満足し、時には学生が付き添い生活のパートナーになると感じていたことが明らかとなった。教員は学生の看護の質を高め、家族の心配や懸念が実際のものとならないように、期待したことは叶えられるようにするという役割がある。
  • 吉田 佳代, 山崎 祥子, 楢木野 裕美
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 29-36
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、学童前期の小児がんの子どもに闘病仲間(以下、仲間)の死を尋ねられた看護師の対応を明らかにすることである。研究方法は、小児看護経験3年以上の看護師11名に対し半構成的面接を行い、質的記述的研究を行った。その結果、子どもが質問してきた時、看護師は子どもへの応え方を考えるために【子どもの質問の意図の分析】を行いながら【仲間の死を覚らせない関わり】をしていた。そして、【伝え方に関する親の意向の判断】や【対応が子どもに及ぼす影響の予測】を行い、【親の意向に沿った関わり】を実践していた。【親の意向に沿った関わり】を行った後、【子どもなりに納得しているかどうかの観察】【仲間の話題に触れてはいけないと感じている様子の観察】【子どもが心理的に変化する様子の観察】を行っていた。また、不安を表出できないと判断した子どもに対し、思いを引き出し【子どもの思いへ寄り添う関わり】をしていた。
  • 藤田 優一, 藤原 知惠子
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 37-43
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児が入院する際の、サークルベッドと成人用ベッドの選択基準の現状を明らかにし、選択基準と転倒・転落率との関連を検討することを目的とした。全国の総合病院603施設において、小児が入院している病棟の看護師長を対象に、郵送による自記式質問紙を用いた横断調査を実施し、252施設(41.8%)から回答を得た。病棟内で統一したベッド選択基準ありは164施設(65.1%)であり、成人用ベッドを使用し始める年齢は「3歳以上4歳未満」(26.4%)と「4歳以上5歳未満」(28.2%)が多かった。年齢以外の基準として、発達(40.4%)、身長・体格(33.1%)、疾患・病状(13.2%)によりベッドが選択されていた。転倒・転落件数は162施設より回答があり、統一した選択基準がある施設は転倒・転落率が低かった(p=0.02)。成人用ベッドを使用し始める年齢が4歳未満の施設と4歳以上の施設で転倒・転落率を比較すると、4歳以上の施設で転倒・転落率が高かった(p=0.01)。
  • 北野 景子, 内海 みよ子, 和田 聖子, 宮井 信行
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 44-51
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、プレパレーションの5段階における看護師の認識と実践の現状を明らかにすることである。2010年5月から7月にかけて、総合病院および小児専門病院の小児病棟、小児科病棟、小児成人混合病棟、小児科外来に勤務する看護師を対象に自記式質問紙調査を行った。207名の看護師から回答を得て(回収率36.1%)、171名を分析の対象とした。調査項目は看護師の基本属性、プレパレーションに関する項目、プレパレーションの5段階における看護師の認識と実践からなり、認識と実践の関連をSpearmanの順位相関で分析した。子どもの年齢階層や調査項目により看護師の認識と実践頻度に相違が認められた。しかし、実践頻度は認識と比較すると全体的に低い傾向にあった。また、プレパレーションの第1から第3段階までの認識と実践に相関が認められない項目が多く、今後は入院前の関わりや入院生活、処置、検査に向けての準備段階における看護師の実践を強化させ、5段階に準じたプレパレーションの実践が求められる。
  • 若山 志ほみ, 泊 祐子
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 52-58
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は小児看護実践の質の向上のために病棟看護師が小児と家族を包括的にアセスメントし、個別的な看護実践ができるような小児看護アセスメントツールの作成と実践の浸透を図ることであった。従来の看護記録の記載状況における問題を分析し、小児の成長発達に応じた身体的・心理的変化や生活習慣の獲得状況、家族環境、家族関係、家族の強みと対処能力がアセスメントしやすいアセスメントツールを作成した。次に学習会、個別面談、ケースカンファレンスなどの教育的支援を実施することで小児看護アセスメントツールの浸透を図った。その結果、病棟看護師全員が従来の記録様式より記載しやすくなったと回答しており、アセスメントツールの情報項目が対象理解のための視点を示唆し、意図的に情報収集することで問題の背景に気づくことができた。新しい視点で家族像を見つめ直し、家族にアプローチしたことで家族-看護者の援助関係を構築できたと考えられる。
  • 合田 友美, 阿部 裕美
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 59-63
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児看護学の保育園実習において、看護学生が弁当を持参し子どもと一緒に食事を摂る機会を持った。そこで、子どもと一緒に食べるための弁当の作成時および保育園実習の食事場面で看護学生が心がけたことを明らかにすることを目的として、看護学生125名を対象に無記名の質問紙調査を実施した。主な質問内容は、(1)弁当の調理者(2)弁当作りに要した時間と費用(3)弁当作りに使用した食品(4)弁当作りで心がけたこと(5)子どもと食事を摂る際に心がけたことである。約65%が自分で弁当作りをしており、そのうち70%以上は500円未満で30分未満の時間をかけて「見た目や彩り」を工夫しながら弁当を作っていた。一方、「栄養バランス」を意識した人は半数以下で、特に「価格」「安全性」への意識が低かった。また、子どもと食事を摂る場面で心がけたことには、〈食事のマナーを守る〉〈残さずに食べる〉〈食べるスピードを調整する〉〈楽しい雰囲気を作る〉〈よく噛んで食べる〉〈安心感を与える〉の6カテゴリーがあった。
  • 立松 生陽, 市江 和子
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 64-70
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究では、重症心身障害児(者)施設における医療的ケアの現状、職員のメンタルヘルスについての実態を明らかにし、看護職と非医療職者が連携し、医療的ケアを提供できる環境を整備するための示唆を得ることを目的とした。対象は、重症心身障害児(者)施設2ヶ所、重症心身障害児(者)B型通園事業5ヶ所における、看護職、福祉職、保育職などの133名である。125名回収(回収率94.0%)、有効回答116名(有効回答率87.2%)であった医療的ケア実施について必要とされている内容は多いが、自信をもってできると回答した者は少なく、自己の技術到達度への認識は低かった。これは、施設職員のケアに対する知識・技術の不足、実施への不安の表れと推測される。看護職の多くが、研修の必要性を感じていた。対象の半数以上がストレスを感じ、心配事があるとしていたが、健康状態に関し、施設間、職種間での有意差はなかった。
  • 清水 史恵
    原稿種別: 本文
    2012 年21 巻3 号 p. 71-77
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児病棟以外の場における小児看護学実習での学生の学びに関する国内の文献を分析し、実習の場ごとの実習内容と学生の学びの違い、今後の研究課題について明らかにすることを目的として研究を行った。医学中央雑誌Webを用い、2007年1月から2012年6月までの過去5年間の文献を検索し、小児病棟以外の場における小児看護学実習での学生の学びに関する26件を分析対象とした。結果、小児病棟以外の場での小児看護学実習において、子どもの理解など共通した学びがみられていたが、各実習の場の特徴をふまえた学びもみられていた。また、短期間の実習でも、学生が主体的に計画し実施する体験を実習内容に含める工夫がされ、多くの学びにつながっていたことが明らかになっていた。今後の研究課題として、複数の場で小児看護学実習を行った場合、実習の場の組み合わせ方が学びへどう影響するのかを明らかにすることや、研究における倫理面の配慮が見出された。
  • 原稿種別: 付録等
    2012 年21 巻3 号 p. App4-
    発行日: 2012/11/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
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