日本小児看護学会誌
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22 巻, 2 号
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  • 下野 純平, 遠藤 芳子, 武田 淳子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    在宅で生活している重症心身障害児(以下、重症児)の父親8名を対象とし、父親役割を遂行するための調整過程を明らかにし、父親役割遂行への支援を考察することを目的に質的記述的研究を行った。結果、在宅重症児の父親らは【児に障害があることによる悲哀】を体験していたが、自分なりに【現実を認識したことによる気持ちの切り替え】をし、重症児と在宅での生活のスタートを切っていた。その後父親らは【重症児と生活していくための土壌作り】や【妻と育児家事を補完し合う】【妻の盾になる】【重症児のきょうだいも大事にする】といった行動を起こしながら、父親自身【もがきながらも自己を組み直すことで現実の世界に向き合う】ことをしていた。そして父親らは決意をもって【今できることをやっていく】という過程を辿っていた。父親役割遂行への支援として、父親が感情を表出できる場の提供や父親の言動を支持していくことが必要である。
  • 石井 まりえ, 濱中 喜代, 及川 郁子, 川口 千鶴, 長谷川 桂子, 山本 美佐子, 朝野 春美, 簗瀬 順子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 9-16
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、外来における子どものヘルスプロモーション促進のために作成された看護プログラムの実践に参画した学生がどのような学びを得たのかを明らかにすることである。看護系大学で学ぶ3年生以上の学生20名を対象とし、プログラム終了後にレポートを提出してもらった。「学生の学び」に関する文脈を抽出し、質的に分析をした。その結果、【対象である「子ども」の理解】【プログラム実践における大切な関わり方】【子どもの理解を促す方法】【子どもにふさわしい環境づくり】【子どもへの効果】【親への効果】【プログラム参画による学生の学習効果】【プログラム実現に向けての可能性】の8カテゴリーが抽出された。学生はプログラム実践に参画することで、対象の理解を深め、プログラムの効果について考えることが出来ていた。さらに外来におけるプログラムの実施機会の拡大について提案するなど、外来看護を発展的に考える機会になっていた。
  • 小笠原 真織, 楢木野 裕美
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 17-24
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、プレパレーションを実践している看護師の経験知から、"この子ならできる"とアセスメントしている2歳児のすがたを明らかにすることを目的とし、看護師15名に半構成的面接を実施した。看護師は、採血や点滴挿入を受ける2歳児にプレパレーションを実践する際に、【その日の心身の状態】【慣れない環境への馴染み】【親との関係性】【言葉を理解できるようになってきている姿】【自分でやってみようと挑戦する姿】【採血・点滴についてイメージできるための経験】【今から何かをされることを察知しながらそれに向かっている姿】と、子どもに採血や点滴挿入があることを伝え、その反応から判断するために、【採血・点滴の話を聞いて何が起こるのかを受け止めた姿】【採血・点滴をされることを認識した子どもの決心】、そして、【親の子どもの医療に協働する姿勢】を捉え、"この子ならできる"とアセスメントしていた。
  • 仁尾 かおり, 石河 真紀
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 25-33
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、人の内面の強さを示すレジリエンスに着目し、先天性心疾患をもつ思春期・青年期の人のレジリエンス構成要素を明らかにすることを目的とした。研究参加者は16名(平均18.2歳)で、データ収集は4グループ(1グループあたり3〜5名)のフォーカスグループインタビューにより行った。データは質的に分析した結果、212コード、45サブカテゴリー、および「将来に希望をもつ」、「自分で病気の管理ができる」など10カテゴリーが抽出された。そして、カテゴリーをGrotbergの考え方により分類した結果、『I AM』5カテゴリー、『I HAVE』3カテゴリー、『I CAN』2カテゴリーとなった。その結果、自分の病気を受容し、頑張ることができる内面の強さ、どの発達段階においても成長のために他者からサポートを得ること、友達や家族に支えられていると実感できること、発達段階により具体的な内容は変わるとしても、発達段階に応じて自分の病気を理解して自分で管理できることが重要であることが示唆された。
  • 川上 あずさ
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 34-40
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    自閉症スペクトラム障害のある児とともに生活するきょうだいの、関係構築のプロセスを明らかにすることを目的に、半構造化面接を実施した。10歳〜22歳、10名のきょうだいによって語られた内容を質的帰納的に継続比較分析を行い、成人2名のきょうだいによって分析内容の妥当性の確保、整合性の確認を得た。結果、9つのカテゴリーから『同胞の世界との距離を保った付き合い』を抽出した。きょうだいは、「同胞が固有の世界をもっている」「同胞がもっている世界の理解しづらさ」を認識し、「思いがつながらない」「縮まらない距離」の実感や「同胞の行為に対する葛藤」を抱きながらも「同胞を思いやる」。また、「同胞のよい変化に対する肯定的受け止め」を行い「切っても切れない存在」ととらえ、相互作用によって「つかず離れずの付き合い」を創り上げ発展させていく。この関係を継続することで、きょうだいと同胞の生活と存在をまもっていた。
  • 名古屋 祐子, 塩飽 仁, 鈴木 祐子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 41-47
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、看取りの時期にある小児がんの子どもとその親をケアする看護師が葛藤を抱く内容と葛藤を生じさせる対立事象を明らかにすることである。小児がんの子どもの見取りの時期の看護を3例以上経験した看護師13名を対象に半構成面接を行い、質的帰納的に分析を行った。分析の結果《子どもの擁護者・代弁者としての役割⇔親の擁護者・代弁者としての役割》《一個人や一医療者として理想⇔親の擁護者・代弁者としての役割》《子どもと親の擁護者・代弁者としての役割⇔医療チームの一員としての役割》《子どもと親の擁護者・代弁者としての役割⇔現在の看護師個人の力量》《一個人や一医療者としての理想⇔現在の看護師個人の力量》《一個人や一医療者としての理想⇔医療の現実》という葛藤を生じさせる6つの対立事象が抽出された。また、葛藤を抱く13の内容が抽出されたが、そのうち5つの内容には、bad newsを子どもに隠していることが影響をおよぼしていた。今回明らかになった葛藤を生じさせる対立事象は、看護師が抱く葛藤に対して困難さや苦しみの認識を促し、対応策の考案に寄与するものと考えられる。
  • 長田 暁子, 江本 リナ, 橋本 美穂, 川名 るり, 草柳 浩子, 筒井 真優美, 平山 恵子, 松本 沙織, 山内 朋子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 48-53
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
  • 藤田 優一, 藤原 千惠子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 54-60
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    看護師が判断する小児の催眠剤、鎮静剤、麻酔剤使用後の転倒・転落に注意が必要な時間の指標を明らかにすることを目的として調査を行った。小児看護経験が5年以上の看護師(平均8.3年)を対象に2回のデルファイ法を実施した。第1回調査では23施設の121名に、催眠剤、鎮静剤、麻酔剤を調査票に示して「薬剤投与後は経験的に何時間後まで転倒・転落の危険があると判断するか」を質問し、第2回調査では65名に第1回と同様の質問に対して「1時間」〜「24時間」の中から回答者が選択した。回答を短い時間から順に並べて積算した時に、回答数の80%以上となる時間を転倒・転落に注意が必要な時間の指標とし、トリクロホスナトリウムシロップは3時間、抱水クロラール坐剤3時間、ミダゾラム6時間、チアミラールナトリウム3時間、チオペンタールナトリウム4時間、全身麻酔手術の帰室後6時間であった。
  • 佐久間 尋子, 廣瀬 幸美, 藤田 千春, 永田 真弓
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究では、幼児期のASD児を持つ母親が、児の食事に関してどのような認識を持ち、対処をしているのかを明らかにすることを目的とし、7名の母親を対象に半構成的面接調査を行った。その結果、認識として【食事状況に対する敏感さ】【偏食の多様性】【食べ方の未熟さ】の3つのカテゴリーが、対処として【食事マナー獲得への対処】【栄養改善を図るための対処】の2つのカテゴリーが抽出された。【食事状況に対する敏感さ】や【偏食の多様性】、【食べ方の未熟さ】はASD児の特徴であるこだわりや過敏性によるものと考えられた。【食事マナー獲得への対処】は、集団生活に向けての母親の対処と考えられ、【栄養改善を図るための対処】は、健康的な成長を望む母親の工夫であると考えられた。母親は児の特徴に合った対処を行っており、これらは栄養改善を図っていくために重要なことであり、専門職が母親の対処を支持し継続を促していくとともに、食事に関して情報提供できる体制を充実させる必要性が示唆された。
  • 宮谷 恵, 大見 サキエ, 宮城島 恭子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    学士課程の小児看護学実習の現状を明らかにすることを目的に、全国の4年制看護系大学の小児看護学の教員(経験8年以上)を対象に質問紙調査を実施し、76名の有効回答を得た。その結果、病棟と保育園の実習時間は減少し、それ以外の場へと拡大していた。情報収集の現状については71.0%が満足していたが、学生の受け持ち対象となる患児の減少は73.7%、学習内容の減少は51.3%が感じていた。さらに教員の認識において、受け持ち患児と学習内容の減少については関連があったが、学習内容と患者情報の減少には関連はなかった。以上から、看護過程を用いた実習は難しくなっていると推測され、新たな指導方法や実習の場について検討していく必要性が再認識された。また2005年施行の個人情報保護法の影響は少ないと考えられるが、受け持ち対象患児が減少している現状の中で学生の学習内容を増やす方策として、患者情報収集のあり方を再検討することの、有用性が示唆された。
  • 加古 大貴, 前田 貴彦
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、小児看護において入院中の患児と付添い者をケアする上で、男性看護師が認識する困難を明らかにすることを目的に、小児病棟に勤務する男性看護師6名に半構成的面接を実施し、質的帰納的に分析した。分析の結果、困難として【思春期の女児への羞恥心を意識したケアの実施】【思春期の女児との良好な関係づくり】【男性が苦手な患児のケア】【授乳や母親の入浴場面に遭遇した際の対処】【母親が抱く思いへの共感】【女性看護師とケアを交代する際の調整】の6つが見出された。また、これらの中には成人看護と共通する困難も含まれていた。しかし、〔授乳場面に遭遇した際の対処〕や〔男性が苦手な患児のバイタルサイン測定〕といった小児看護特有の困難もみられた。そして、これらの困難を軽減するためには、基礎教育や現任教育の充実とともに男性・女性看護師が協同していく必要性が示唆された。
  • 土屋 真美, 永田 真弓, 廣瀬 幸美
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究では、小児病棟に入院した青年期キャリーオーバー患者への看護実践の現状を明らかにすることを目的とした。4名の看護師を対象に半構成的面接法を用いて事例インタビューを行った結果、【患者に対する基本的な対応】、【青年期であることに配慮した対応】、【主体的な受療行動の獲得に向けた支援】、【セルフケア能力の獲得に向けた支援】、【入院期間中の闘病を支える支援】、【長期的な継続支援を意識した対応】、【成人移行に繋ぐための工夫】、【課題としての成人移行期支援体制】の8カテゴリーが抽出された。以上の結果から、小児病棟に入院した青年期キャリーオーバー患者への看護として、【成人移行に繋ぐための工夫】による小児病棟の特性を補完する人的・物的な環境面での支援と、【主体的な受療行動の獲得に向けた支援】、【セルフケア能力の獲得に向けた支援】による成人移行を見通した入院中からの専門的な関わりの必要性が示唆された。
  • 穂高 幸枝
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は看護師と病棟保育士(以下保育士とする)の協働を目指し、看護師がとらえた保育士の専門性と専門性をとらえることに関係した体験を明らかにすることを目的とした。看護師は保育士の専門性を【子どものことを理解している】【子どもが生活の主体になることを支援する】【子どもに教育的支援や発達に合わせた支援をする】【母子関係が育まれるよう支援する】【子どもや家族が安心して過ごせるように支援する】ととらえていた。専門性をとらえることに関係していた体験は【保育士の子どもや家族への関わりをみて感心する体験】【保育士と連携・協働した体験】【看護師の保育士に対する肯定的な感情】【子どもや親の支援における看護師の困難感】【看護師自身の専門性に関する看護師の認識】であった。以上のことから、看護師が保育士の専門性をとらえるためには、両者が一緒に子どものケアをしたり、話し合ったりする機会を積極的に持つことや、良好な関係性を育むことが必要であると示唆された。
  • 杉本 陽子, 内田 雅代, 仁尾 かおり, 竹内 幸江, 濱田 米紀, 三輪 富士代, 高橋 百合子
    原稿種別: 本文
    2013 年 22 巻 2 号 p. 97-106
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2013 年 22 巻 2 号 p. App4-
    発行日: 2013/07/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
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