熱測定
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19 巻, 3 号
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  • 高市 恭弘, 橘高 茂治, 児玉 美智子
    1992 年 19 巻 3 号 p. 103-112
    発行日: 1992/07/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    超音波照射に基づく,Dimyristoylphosphatidylcholine (DMPC)から構成された大きいサイズの多重膜ベシクル(MLV)の,小さいサイズの一重膜ベシクル(SUV)への移行過程を示差走査熱量測定によって検討した。そこでは,最終段階のSUVが,中間過程で出現する大きいサイズの一重膜状ベシクルを経て達成されることを明らかにした。また,本研究で得られた,サイズ及び膜の多重性の異なる代表的3種ベシクル,すなわち超音波照射によって作製されたSUVおよび大きいサイズの一重膜状ベシクル,さらにMLV,のゲル-液晶相転移(Tm転移)の熱的挙動は明らかに異なることが示された。これら3種ベシクルのTm転移に基づくエンタルピーおよびエントロピー変化量,そして転移温度はベシクルのサイズが増大する順序,すなわちSUV < 大きいサイズの一重膜状ベシクル < MLVの順序でいずれも増大した。さらに,~-5℃温度での熱処理によって,SUVは大きいサイズの一重膜状ベシクルを経て,最終的には多重膜構造のベシクルヘと移行した。3種ベシクルの熱力学的諸量に基づいて作製したGibbsエネルギー(G)~温度(T)曲線は,エンタルピー(H)~温度(T)曲線と同様に,ゲル相において,SUV < 大きいサイズの一重膜状ベシクル < MLVの順序で低下することが示された。以上の結果から,DMPCベシクルは,脂質分子がより密に会合することから生じるエンタルピー効果によって,熱力学的により安定化することを示唆する。
  • 桜井 弘久
    1992 年 19 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 1992/07/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    熱分析法により公称純度9N及び7Nの水銀,5Nの水,及び7Nのガリウムを用いて純物質の三重点温度を推定した。融解分率の逆数と融解温度との関係を利用して求めた純物質の三重点温度と従来から使われている三重点装置で得られる温度とは0.1mK以内で一致していると推定できる。また,水の三重点に関しては,純度より同位体組成のあいまいさが誤差要因となっており,温度の単位ケルビンの定義の不確かさとなっている。この不確かさを除くためには,気体定数で温度の単位を定義する方法が有力である。
  • 片岡 洋右
    1992 年 19 巻 3 号 p. 119-128
    発行日: 1992/07/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    分子性液体/溶液の研究において計算機シミュレーションに期待される点をまとめる。とくに液体/溶液の熱的性質を分子レベルでの分子挙動を含めて研究する観点から,計算機シミュレーションの特徴を述べる。つぎの具体的な3例を紹介する。計算機シミュレーションによる液体/溶液の自由エネルギーの計算,水の状態方程式の導出,水の輸送係数の計算である。
  • 蓑輪 眞
    1992 年 19 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 1992/07/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    ボロメータとよばれる,熱量測定により素粒子を検出する新しい技術について解説する。素粒子物理学に関する問題,特に銀河に存在する暗黒物質の直接検出および二重ベータ崩壊の測定には,複合型ボロメータのエネルギー感度の良さと吸収体をいろいろ選択できるという特長が生かされる。
  • E. Königsberger, E. Schuster, H. Gamsjäger, C. God, K. Hack, ...
    1992 年 19 巻 3 号 p. 135-144
    発行日: 1992/07/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    Computer assisted thermochemistry is nowadays a tool that can be applied in many fields. Provided the thermochemical data, i. e. the Gibbs energy as function of temperature, and for solution phases also of composition, are known for all possible phases of a chemical system, the Gibbs energy minimization techniques available today allow rapid and reliable calculation of complex equilibrium states. Several applications of the program Chem Sage are discussed to give a better understanding of the general scope of computer assisted thermochemistry. The examples cover such different cases as salt production from brines, combustion equilibria with heat balances, the avoidance of clogging problems in continuous casting of steels and the optimization of hard-facing alloy.
  • 許斐 毅志, 杉浦 弘子
    1992 年 19 巻 3 号 p. 145-147
    発行日: 1992/07/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
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