CRTA (Controlled transformation Rate Thermal Analysis,制御反応速度熱分析)法および従来の熱分析的手法による固体分解反応の速度論的解析を比較検討した。また,熱分析的手法による固相反応の速度論的パラメータに付随する誤差の原因を検討した。
CRTA法の特長の一つとして,固体分解反応の活性化エネルギー
Eは,試料量20~200mgの範囲で,試料量に無関係にほぼ一定の値を示すことがあげられる。他方,CRTA法以外の通常の熱分析法では
Eに及ぼす試料量効果が多かれ少なかれ認められるので試料量2mg以下での測定が望ましい。固相反応を通常の非等温的熱分析法で解析する場合,異なった昇温速度で測定を行い一定の反応率において
Eを算出する方法(isoconversion method)が有益で信頼度も高いと考えられる。また,古典的な等温的解析法や試料の直接観察法も固相反応動力学を理解する上で不可欠の方法であることが示された。
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