温度波熱分析法は,薄膜の表面でジュール熱を発生させ,全方位に拡散していく波のうち,試料の厚み方向に伝搬する成分のみに着目し,温度波の位相遅れを観測する方法であり,これは,振幅変化など温度の絶対値測定は,接触抵抗など,測定上の外乱に強く影響を受けるが,位相はほとんど影響を受けない点に注目した方法である。
本報告では,この方法を液体試料に適用し,物性値既知の石英ガラスをバッキング物質として,あるいは液体試料に投入するプローブとして使用し,試料と周囲の物質を入れ替えて測定する方法を検討した。特にプローブ法は,与えた通電量と試料内を伝搬後観測される温度波の振幅との関係から,液体の熱伝導率を比較的安定に計測する方法を提案するものである。
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