全身熱量計はマウス全身から流出する熱を測定する装置であり,それをマウスの状態測定に応用した。測定は午前10時から翌日午後18時までの32時間行った。その結果健康はマウスは明確なリズム,すなわち Circadian Rhythm,を示した。一定の間隔で同一の個体を繰り返し測定すると,流出熱量パターンはほぼ同じであった。和漢薬の効果の判定に熱測定を応用し,和漢薬を水に懸濁し与えた。苦みあるため摂水か減り,従って摂食が減少し,結果として体重の減少が見られた。しかしリズムは乱れなかった。0.1M酢酸を腹腔内投与し痛みを誘発したとき,リズムの乱れは顕著であった。しかし100mg/kgのアスピリンを痛みを誘発したマウスに与えると,完全ではないが健康は時に近いリズムになった。アスピリンを単独で健康なマウスに投与すると,驚いた事にリズムの乱れが見られた。麻酔状態では流出熱量が検出出来なかった。これらの結果は全身熱測定がマウスの状態の測定及び個体の定義に役立つことを示唆している。
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